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これだけ知っておけば100倍楽しくなる! 「サグラダ・ファミリア」ガイド

 
最近では直前にチケットが買えないほど人気のサグラダ・ファミリア。入場券にオーディオガイドがついてきますが、その説明を聞きながらいちいち進むのはちょっと……という人のために、サグラダ・ファミリアに入る前に押さえておきたい基本ガイドを掲載します。
 

サグラダ・ファミリアは誰のプロジェクトだった?


サグラダ・ファミリアは、ガウディが「いままで金持ちの家を建ててばっかりでうんざりしたから、今度は教会を建てたいなぁ」と思って建設しはじめたわけではありません(カサ・ミラの建築に携わって、ブルジョワたちにうんざりしたのは事実ですが)。
 
このアイデアを出したのは、バルセロナで本屋を営んでいたマリア・ジョゼップ・ボカべジャでした。その時代、市民たちのキリスト教への信仰心が薄れていることを懸念したボカべジャは、建築家のフランシスコ・デ・パウラ・デル・ビジャー・ロレンソに依頼して教会を建てることにしたのです。これが1882年のことです。完成予定は、高さ85メートルのネオゴシック様式。
 
ところが、建設費は寄付金で賄われていたために予算はカツカツ。無料同然で働いていたビジャーですが、使いたい資材も調達できない、建築方法も自由にできないということで依頼主と揉めた結果、ビジャーはこのプロジェクトから降りてしまいます。そこで、白羽の矢が立ったのが当時31歳のアントニ・ガウディでした。
 
ガウディはサグラダ・ファミリアを「石の聖書にしたい」と考え、着任してからわずか1週間でデザインをガラッと変えたそうです。だから、サグラダ・ファミリアの外観には聖書の場面が彫られているんですね。
 
サグラダ・ファミリアで一番高い塔になるのが、現在建設中のイエスの塔です。完成すれば172.5メートルの高さになります。では、なぜ172.5メートルなのか。ガウディは、神の創造物である自然を何よりも大切にしていました。バルセロナにある一番高い“山”であるモンジュイックの丘は173メートルあります。そこでガウディは、人間の力が自然を超えてはいけないということで、モンジュイックの丘よりも少し低い172.5メートルに設定したのです。
 

生誕の門



サグラダ・ファミリアに入って最初に辿り着くのが、生誕の門です。世界史の資料集で登場するのは、まさにここ。階段を上がったところにあるスペースには、未完成の部分がオレンジ色で塗られた模型があるので、まずはそこで全体像を把握すると理解しやすいでしょう。
 
生誕の門には、その名の通りイエスの誕生場面つまりクリスマスのシーンが描かれています。このファサードに彫られているのは、「生の喜び」です。

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