見出し画像

初のメンタルヘルスイベントを終えて

お久しぶりです。小林です。
7月15日に、私がうつ病の治療開始時からずっとお世話になっているメンタルヘルスソーシャルワーカーの土志田 務(どしだ つとむ)さんとメンタルヘルスイベント「オンライン・ファーム!」を共催しました。
有料のイベントにもかかわらず、当日は30人近い方にご来場頂き、その後のアンケートの回答率も80%以上と、とても積極的にご参加頂きました。

【メンタルヘルスセッション】第一回 オンライン・ファーム!

初のオンラインイベントだったこともあり、手探りな部分もありましたが、皆さんの温かいご支援もあり、無事に終えることができました。ありがとうございました。
今回は、このイベント開催のあれこれをnoteにまとめたいと思います。

イベント開催のきっかけ

きっかけは、医療プログラムの一環であるリワークデイケア「Remake(リメイク)」への参加です。
初めて私が参加したのは、2020年の5月くらいでした。
当初、下記のような概要や言葉の響きから、リワークデイケアに対しリハビリや介護的なイメージを持っていました。

リワークとは
決まった時間に施設へ通うことで会社へ通勤することを想定した訓練となります。また仕事に近い内容のオフィスワークや軽作業、復職後にうつ病を再発しないための疾病教育や認知行動療法などの心理療法が行われます。(http://www.utsu-rework.org/rework/ より)

デイケアとは
精神疾患のため生活のしづらさを抱えている方が、同じ立場の人たちと一緒に様々な活動(プログラム)を通して、楽しみながらよりよい社会参加をめざすリハビリテーションの一つです。
(http://seishin.kanagawa-pho.jp/treat1/psycho-dc.html より)

しかし、実際に参加してみると、ストレスやメンタルヘルスにおける体系的な知識はもちろん、参加者の実体験から来るリアルなケーススタディなど、事前に描いていた「デイケア」「リワーク」のイメージとは全く異なる実践的な取り組みにとても衝撃を受けました。

0715イベント冒頭

正直なところ、精神医療については前職の関係もあり、それなりの専門性はあると自負していましたが、いくつかの内容は私自身の知識の外でした。特に下の図のように整理され、体系化された形での知識は「既知の内容であっても、より実戦、効率的に使いこなせるようになるのでは?」と感じました。

0715イベント冒頭

例:ストレス対処の分類

また、リワークデイケアは「回復を目的とした医療プログラム」として提供されている当事者(患者)向けのプログラムではあるものの、先にこれらの知識や対策を日常から知っておけば、治療・回復だけでなく、発症予防や日々のQOL向上・ウェルビーイングにも役立つ印象を受けました。

実際に周囲の知人に学んだ内容や気づきを共有したところ、「実際仕事や生活に役に立った」「通院していないけど、一度リワークデイケアに参加してみたい。」などポジティブなコメントを多く頂きました。その中には、マイナス面のリカバリーではなく「特に自身のメンタルには課題はなかったが、仕事効率や能力向上に繋がった」など、よりプラス要素を伸ばせたというお話しもいくつかありました。

周囲からの声を講師の土志田さんに話したところ「一緒に何かできることはないか?」と言ってくださりました。
土志田さんは、メンタルヘルスソーシャルワーカーとして、治療・回復領域だけでなく、日常生活のメンタルヘルスや、発症予防にもリワークデイケアの知識を活用したいと前々から考えられていたそうです。当事者が支援者となり、その支援者が新たな支援者を創るという、正のスパイラルを実現したいと熱い思いを話してくれました。

何度か議論を重ねた結果、土志田さんが実現したいビジョンとも合致したことで、本イベントの共催につながりました。

どのようなイベントだったか?

「オンライン・ファーム!」は通常オフライン(対面形式)で行われるリワークプログラムをオンライン用にアレンジした参加型のイベントとして開催しました。初のオンライン&オープンイベントでもあることから、人によっては発言必須だと参加のハードルになってしまうことや、ラジオのように楽しみたいというニーズもあったため、議論に参加したい人向けの「セッション参加」と耳だけ参加の「観覧席」の二つを用意しました。

通常のリワークでは対面形式で話しやすいこともあり、講座と議論が3:7くらいの比率で議論が多いのですが、オンラインで、かつ初参加の方全体の1/3ぐらいいたことから、4:6くらいの比率に変更しました。

また、講座と議論を織り交ぜた形で行い、通常の対面形式と同じく、個と集団による相互作用が起こりやすい人数構成を意識しました。

最終的に、講座パートでは主にメンタルヘルスの基礎知識を解説し、議論パートは参加者のこれまでの経験や感じたこと、気付きなどを語り合う2つのパートを組み合わせた形式に落ち着きました。

初イベントを終えて

事前にかなり準備をしていたにもかかわらず、イベント開始後はいくつかのアナウンスを飛ばしてしまうなどありましたが、参加者の皆さんからのフォローを頂きつつ、無事に終了することができました。ありがとうございます。

今回、強く印象に残ったのは以下2点です

1点目は「場」の重要性です。
回復の経緯や実体験、具体的な対策、現在進行形での悩みなどの意見交換があり、聞き手でも話し手でも情報が得られる「場」の大切さを改めて感じました。

イベントに参加した知人から、「皆が語る経験談はメンタルヘルスへの理解はもちろん、回復の糸口やストレスの打開策、リワークへの興味など、様々な面で参考になった。元気づけられた」とフィードバックがあり、嬉しかったです。

2点目は「いつでも帰れる居場所(コミュニティ)」です。
私も日々感じているのですが、メンタルヘルス領域は健常者と当事者はもちろん、当事者同士でも症状によって分断が起こりやすい傾向にあります。昨今は随分改善したとはいえ、この傾向はまだまだ根強く社会に残っています。

このような環境の中で、メンタル不調から休職、退職した場合は、特に社会とのつながりが希薄になったり、周囲に相談しにくかったりすることから、安心して相談したり、参加できる居場所(コミュニティ)が少ないと感じていました。

この課題に対し、ひとつの解答になったのが「共通の目的があり、かつメンタルヘルスに対して理解がある」リワークプログラムとそのコミュニティでした。しかし、復職プログラムという特性上、復職後は参加頻度が激減するため、コミュニティとのつながりが希薄になりやすく、折角学んだ知識も忙しさの中で忘れがちになるという課題がありました。

私が抱いていた課題とその想いに対する一歩として開催した「誰でも参加できるオンラインイベント」は一定の成功を納めたと感じました。イベント中に居場所(コミュニティ)に関する話をした際、この考えに共感して下さった方もおり、開催して良かったなと素直に思いました。

今後のイベントについて

イベント後に実施したアンケート結果を元に、次回に向けた企画を考えていますので、近いうちにまたお知らせできると思います。

対面形式のリワークデイケアは同じテーマでも参加者によって経験談やその時の空気で全く違った展開になるため、毎回新しい気づきを得られる不思議な場所です。オンラインも同様に、毎回新しい気づきを得られるような場にできればいいなと考えています。

土志田さんとは、「オンライン・ファーム!」以外の新しい企画も準備中なので、楽しみにしていてください。もし参加してみたい方がいましたら、PeatixTwitterをフォローしてもらえると情報が届きやすいと思います。

また、自分としてもこれまでの情報を還元するためにスタートアップに特化したメンタルヘルスイベントの開催をこの夏に予定しています。こちらも決まり次第、私のFacebookTwitterなどのSNSで告知しますのでお楽しみに。

ご支援ありがとうございます。頂いたサポートは今後メンタルヘルス分野で皆さんに還元できるよう、今後の活動にむけて、大切に使わせて頂きます!