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「発達障害グレーゾーン」

岡田尊司先生といえば、発達障害の本をたくさん出してらっしゃる有名な先生ですから、
今更私が言うまでもないのだけど、この本は素晴らしかった!

岡田先生の本を昔読んだときは、正直、
「発達障害特性のひどいところばかり取り上げてるなー」と感じてしまいました。
「発達障害」=得体がしれない というネガティブイメージを強調しているように思えたのです。

元いた職場の同僚が、岡田先生による、大人の発達障害の本を片手に「あの人もこの人も発達障害だと分かった!」と話していたことがあった、というなんともモヤモヤした記憶もあり、
「発達障害」がひとを裁く言葉として使われているように思ったものでした。

しかし、「発達障害グレーゾーン」を読んでみると、こんなところに深く共鳴しました。

◯発達障害的な特性を持つ人には、少なからず子どもの頃の親との愛着に問題がある人が含まれていること。

つまり特性が、先天的な症状ではなく、
親の養育態度に問題があったことで愛着形成が十分されず、不安と自己否定の中で成長することによる、後天的に発達障害特性を獲得してしまった人たちがかなりの割合でいる、とおっしゃっています。

前職で、ネグレクトや児童虐待の案件にかなり深く関わっていた身としては、成長過程で形成される特性や、症状もあると思います、ほんとうに。

また、
◯その人全体を総合的に見た時にはASD、ADHDと診断はされなくとも、はっきりとした特性が認められるいわゆるグレーゾーンの人は、明らかにその特性ゆえに生活に困難をきたしているのに、診断を受けないことによってなんの支援もされない。

そうなんです、そうなんですー!
診断名があるから大変なのじゃなくて、特性ゆえの苦しさがあるから、社会生活が辛いのですよね。

ゆえに、
「診断のあるなしにかかわらず、その人の特性に着目して、適切な支援をしていこう」というご本なのでした、この本は。

素晴らしいじゃありませんか!
100%賛成です🙌
っていうか、岡田先生!ほんとはこういうお気持ちでいらっしゃったのですね。
きっと、時代の流れに乗りたい出版社の意図に沿ったご本を書かれていただけなんでしょうね。
「発達障害グレーゾーン」からは、特性ゆえに苦しむ人への温かい眼差しや思いやりが感じられて、きっと優しいお方なのだと察せられました。

お優しいゆえに出版社の意図を汲みすぎていらっしゃったのかもしれないですね。(余計なお世話ですけれども。)

また、岡田先生は、「精神科医の中には、何種類ものスクリーニング検査を実施せずに、本人や親からの訴えのみで診断名を出す人も多い」と憂えてらっしゃいました。

私もつい先日、
たった一度の精神科受診で「あなたはアスペルガーだね」と言われたという話を聞いたばかりです。
「え、検査もせず?!」と驚いたものでした。

なんのための受診なのか、診断名をつけられたその方の、その後の人生まで考えているのか。
と思っていたので、
「診断名ではなく、特性にフォローを」
という岡田先生のご本、胸にしみました。

特性へのフォローっていうと専門的な領域ではありますが、日常においても、「あの人のこういう発言は、こんなことが言いたかっただけなのかな?」と、ほんの少しの予測と思いやりとで、生きやすいまろやかな世の中になるんですからね!

発達障害特性は、程度の差こそあれ、だれもが少しは持っているものだと私は感じてます。
かく言う私は、大人の顔が覚えられません笑
これが子どもだとしっかり覚えられるんですよねー。
ひとさまの名前も、音だけではあいまいで、一度、正式に漢字として見るとばっちり覚えられます。

まあだから、おたがいさまですし、世の中もちつもたれつでいきましょう!







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