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【実録シリーズ】大腸内視鏡物語~其の2~

これは

抗えない運命に果敢に挑んだ

ある一人の女性の物語である。

まさかの大腸内視鏡検査を受けることになった彼女。

襲い掛かる幾多の試練にどう立ち向かっていくのか。


前回のお話はこちら
【実録シリーズ】大腸内視鏡物語~其の1~


第3章:下剤と自分との闘い

大腸の中にカメラを入れるためには
お腹の中のものを全部出す必要がある。


そのために必ず通る道がある。

それが【下剤】である。

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その方法はというと

「午前中かけて、
2リットルの下剤をコップ一杯ずつ、
15分おきに飲んでいく。」

というもの。


普段出にくいことはあっても、
下剤に挑戦したことはない私。

【人生初の下剤戦】がこれより始まるのだ。


いよいよだ。

ついに始まるのだ。

唾をゴクリと飲み込む。



そして
看護師さんがコップに下剤を注ぐ。


ついにはじまる。



●下剤1回目

下剤

なんとも甘いような、まったりとしたその液体。

なんとなくトロっとしている。


美味しくはないが、すごく不味いわけでもない。
それがなんとも飲みにくい。

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”コップ一杯の下剤を15分以内に飲むこと”

これが今の私に課せられた使命。


あまり一気に飲むと気持ち悪くなるらしく
ゆるゆると飲む。


一口ずつ

(不味くはないけど不愉快だな。ゴクリ)


一口ずつ

(これを繰り返すのはきつそうじゃない?ゴクリ)


そして10分後・・・

早速トイレに駆け込む。

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(おいおい効果早すぎだよ。下剤ってすごいな)


だが、これは序章に過ぎない。



あくまで【2リットルの下剤】を
全て飲む必要があるのだ。


看護師さんが持ってくる下剤のパックは
とてつもなく大きく
その未来がはるか遠いことを如実に表していた。

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そして2回目。

・・・3回目。


一杯目はまだ飲めたものの、
回を重ねるごとに
飲むのがつらくなってくる。

美味しくもなく不味くもない
ドロッとした液体をただ飲むだけ。

そう、飲むだけなのだ。


ただ飲むだけなのに、

「飲む」という行為が
こんなにストレスになるとは知らなかった。



いつまでこの地獄は続くのだろうか。



いつまで続くんだこれは・・・

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飲み始めて1時間半後。

おおむねお腹の中もきれいになってきた様子。


「飲む液体は透明なのに
下から出てくる液体は黄色い」

私の目の前で謎の現象が起きている。



人体の不思議を目の当たりにする。

人の体とはなんとも複雑で
なんとも素晴らしい構造なのか。



分かり得ない部分が大きいからこそ、
こういう不思議に出会うことで

壮大な【人体のストーリー】に出会えたような気分になる。



そして人体そのものに畏敬の念を抱くのだ。

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しかし、
今はそんなことを考えている暇はない。


はじめに看護師さんに言われたじゃないか。

「どんどん便が柔らかくなっていき、
最後は何も浮かない状態で黄色い液体だけになります。

そうなったら
一度排泄したものを見せてください”」

と。




出てくるものも黄色い液体のみになった今。


ついにそのときがやってきた。


トイレにて

何も混じらなくなった排泄物をじーっと見つめる。


自然と
その行為は自分の心をも見つめることとなる。

自分とは・・・

人間とは・・・



いよいよだ。



「出てくるものが液体だけになったら
トイレの呼び出しボタンで呼んでくださいね」


ただボタンを押せばいい。

そうすれば看護師さんが見にきてくれる。

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これは、
看護師さんにとってはいつものルーティーン。


大したことではない。

大したことでは・・・。


ボタンに向かうその手は
ただただ震えていた。



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汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる

汚れつちまつた悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる


中原中也

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私がこれまで生きてきて
必死に守ってきたものはなんだったのだろうか。

人は何のために生きて
何のために死んでいくのか。



下剤開始から2時間半後。


7回目を持ちまして下剤を
全て飲み終わりました。


そしてそのときには
私の中の何かが確実に

砕け散っていた。


これは

抗えない運命に果敢に挑んだ

ある一人の女性の物語である。


予想より長くなってきました。

こんな話を続けていいのかという疑念はあれども、
もう後には引けないので

まだまだ続くよ!


続きはこちらから↓
【実録シリーズ】大腸内視鏡物語~最終章~

衝撃の第1話
【実録シリーズ】大腸内視鏡物語~其の1~


綺麗道(きれいどう)


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