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【実録シリーズ】大腸内視鏡物語~最終章~

これは

抗えない運命に果敢に挑んだ

ある一人の女性の物語である。

まさかの大腸内視鏡検査を受けることになった彼女。

襲い掛かる幾多の試練にどう立ち向かっていくのか。

怒涛の第3話。


これまでのお話はこちら↓

【実録シリーズ】大腸内視鏡物語~其の1~

【実録シリーズ】大腸内視鏡物語~其の2~


第4章:まだまだトイレ

2時間半をかけ
2リットルの下剤を飲み干した彼女。

これで終わりではない。

飲み終わってからもまだまだ下からの
猛攻は続く。


トイレに駆け込む回数も増え、
ベッドに戻ってすぐさまトイレ。

出てくるものも
もはや飲んだ下剤が
そのままINとOUTを繰り返している。

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そして下剤開始から3時間後
検査の説明。

検査開始まで2時間となったことが明らかに。

ついに【カウントダウン開始】だ。


トイレ回数は
【10回越え】を記録しついに時を迎える。

(面倒になり最後の方はカウントしなくなった)


第5章:ついにこの時来る


そして迎えた検査の時間。


病院着と大きな使い捨てパンツ

これが彼女の戦闘服。

パンツには大きな切れ目が入っている。

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その先の運命を彷彿とさせる


「穴あきパンツ」




✳️






最終決戦地【検査の部屋】


一歩足を踏み入れる。

部屋の中は少し薄暗く
少し肌寒い。

張り詰める空気感。


レントゲン室のようだ。

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硬い板の上に寝るよう指示され、
言われるがまま進む。


【排泄物を見られる】という
山場を越えた彼女には
何が起きてももう怖くない。

あとはつとめて冷静に
ただ目の前で起こることを
一つ一つつぶさに観察するだけ。

いつかこれが誰かのためになると信じて・・・

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もう恐れるものはない。

そう思った。




早まる鼓動。
表面上はいたって冷静な彼女。

始めにおしりに注射を一本打たれる。

痛さに顔を歪ませる。


打った後もしばらく痛みが続く。

痛みは彼女の不安を増大させた。



検査担当は40~50代の男性医師。

にこりとも笑わない理系メガネだ。

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医師「じゃあ、始めますね」

相変わらず言葉に感情はこもっていない。



始まる・・・。

胸は高鳴る。


【人生初のおしりからカメラ】

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入れる時は痛みもなくほっと一安心。


医師「お水入れていきますね」

おしりに刺さっている管から
なんだか温かいものがおしりの中に入ってくる。

ときどきぶわーっと勢いよく
何かが出てきているようだが、
なんだかよく状況がわからない。


ただされるがまま。


おしりから始まってじわじわと移動しつつ、
ぐねぐねカーブを経ながら
少しずつ胃の方へと向かって管が進んでいく。


腸のカーブのところなのか、
曲がっている部分は特に痛みを伴う。

ぎりぎりとした痛みに体をよじりたくなる。
しかしなんとか我慢する。


ハヤクオワレ・・・


ただそう願うことしかできない。



管は大分お腹の奥まで来ているのを感じた。

終わりは近いはず・・・

彼女は思った。





医師「一番奥まできましたよ。
後は抜きながら診ていきますね」

(え、今は検査じゃなかったの?)

まだ終わりでなかった。


カメラを奥まで送るために腸を膨らませていたようだ。

こんなに苦痛を伴うとは知らなんだ。


ここから腸の中を診ていくという。

ここからは抜いていく過程になるので
特に痛みもなくするすると進んでいく。

痛みがないのというのは何より。


(このまま終わって一安心)

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そのとき


医師「おや、入り口のほうにけっこう大きいのがいるな。
じゃ、これ処置しますね。」




???



なんだか看護師さんにいろいろ指示を出し始めた先生。

少し緊迫した雰囲気。

心臓の鼓動が急激に早まる。



「え、何か見つかった?

手術・・・・!?」


普段冷静な彼女も
さすがに恐怖の表情を隠しきれない。


・・・



医師「はい、終わりました」


(え、もう終わり?)

覚悟の割にはすぐ終わった。


手術とはいえども、
入っている管でそのまま処置をするので
痛みも何もなくあっという間に終わる。


処置を終え、ついに
大腸内視鏡検査終了のファンファーレが鳴り響く。

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検査自体は時間にして30分程度。

実際にはもっともっと長く感じたという。


最終章:終わりました

長かった30分を終え、
着替えて検査結果の報告。

診察室に呼ばれ、医師から話を聞く。

医師「今回はひとつポリープが見つかりました。

悪性の模様には見えませんが、
腫瘍の組織が場所によって様子が違っているので、

完全に陽性ではなく
少し悪性寄りの腫瘍かもしれませんね。

それを今回取ったわけですが、

一応病理解剖にかけるので、
その結果を後日聞きに来てください。」

という。


悪性寄りと言う言葉が気になるものの、
とにかく終わったことで一安心。



検査後はお腹がパンパンで苦しかったが、
それも次第にガスとともに抜けていくという。

他はとくに痛みは感じない。


1週間は
旅行、運動、飲酒はNG。

その他は特に何も指示もない。


終わったことによる達成感

まだまだ残るお腹の苦しさ

病理解剖への少しの不安

様々なものを胸に医院を後にする彼女。


彼女の横顔はどこまでも清々しかった。

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多くのものを失ったようでいて
実は
多くの何かを手放すためだったのかもしれない

大腸内視鏡。

この経験は忘れない。


大腸内視鏡物語 完


後日談:腫瘍は悪性ではなかったので大丈夫でした。


悪ノリで始めた話でしたが、
やっと終わりました。

なんだかお腹いっぱいです。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

綺麗道(きれいどう)


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