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atelier DOMA@アート・コレクションナイフ国際サロン フランスの食関連ニュース 2021.09.22

今週のひとこと

9月第2週の週末はパリ市内開催SICACというナイフのサロンに弊社DOMAとして参加しました。SICACとは、アート・コレクションナイフ国際サロンの略で歴史は長く、今年で32回目を迎えていました。私たちは初参加です。コレクターの多いポケットナイフやサバイバルナイフが中心のサロンで、我々は和包丁を展示。デザインはもちろん、レアな素材に最新の技術を取り込んで職人が仕上げた一点ものは、ナイフコレクターにとっては涎垂もの。我々の隣にスタンドを構えたDavid Lespect@knives_david_lespectは、サロンで最も人気の高い職人だと、前々から主催者側から聞かされていました。なんでも、毎年サロン開始後1時間以内にはすべて売れ切れてしまうということ。会場では、南仏モンテリマールのアトリエで仕上げたと話す、ナイフの美しさには、私も惚れ惚れとしてしまいました。鋼の焼き入れから持ち手の素材やライン、柔らかで素早いムーブメント。時計職人に似た精巧な技に魅了されて、毎年のこのサロンに駆けつけるコレクターが多いのも頷けました。

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毎年10本弱ほどの限定展示。「いつも1時間もしないで売れてしまい、店じまいをするのが常。しかし今年はそれではもったいないから、販売の趣向を変えたんだ」とDavid Lespect。購入権を得られるくじ引き制にする。希望者に数字の書かれたくじを引いてもらい、当選者を一日の終わりに選ぶというもの。1本850ユーロから1500ユーロのナイフを、1日目は4本、2日目は3本展示して抽選会に。我々DOMAチームの4人とも、一か八かで抽選に参加して、見事外れてしまいましたが、抽選会は、たくさんの人々が集って、当選発表には歓声が上がり、華やかで楽しいひと時になりました。

飛ぶように売れるからといって、オートマティックに販売するのではなく、皆に楽しんでもらおうという戦術。彼をよく知るマニアだけでなく、店じまいせず長くスタンドにいることで、知らない客にも彼の存在を知ってもらうというチャンスを逃さないという思考回路。また、彼のナイフを購入したら、早々とサロンから立ち去ってしまうお客の足止め作戦にもなって、サロンの主催者をも喜ばせていました。職人技だけでなく、他人も慮りながら商売も見事にこなすサバイバル根性に脱帽。おそらく、通常は世界中からマニアが訪れるが、今年はパンデミックで客足が少ない。足もとの客の市場を広げるためにはどうしたら良いかということを試行錯誤して、至ったアイディアかもしれません。ちょっとした思考と行動の変化がもたらしてくれる、人々の心理と経済の好循環の一幕だったと思います。

我々のスタンドでは、弊社マリナが2日間にわたり庖丁の研ぎでナイフ職人たちを魅了。David Lespect、サロンの最後に私たちのスタンドで気に入ったという包丁を一本選んでご購入いただきました。サロンで出会った人々と分かち合ったひとときに感謝。

今週のトピックスは今週のひとことのあとに掲載されます。どうぞご笑覧いただけますと幸いです!【A】アルザス地方出身の名パティシエール、オンライン販売開始。【B】売れ残りのパンとパティスリーを翌日安価で販売。【C】「カルフール」、人気シェフとのコラボで、霜被害にあったりんご生産者支援の商品販売予定。【D】3つ星「ランブロワジー」のオーナーシェフ、ベルナール・パコーの一生を語る本出版。【E】消費者とホテル・レストランオーナーをダイレクトに結ぶ予約サイト登場。

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