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【映画鑑賞記録】『アンテベラム』(2020)

あらすじ

リベラル派として知られるベストセラー作家の主人公ヴェロニカ。優しい夫、娘との幸せな家庭を築き上げていた。ある日、ニューオーリンズでの講演会のあと、友人たちとディナーを楽しむ。その直後に何者かに誘拐され…。一方、アメリカ南部のプランテーションで囚われの身となり、過酷な労働を強いられているエデン。しばらくは耐え忍んでいたが、1人の死をきかっけに奴隷仲間とともに脱走計画を実行するが…。

感想

Amazon Primeで気になっていた作品。表紙からちょっとシリアスな感じか!?と特に前知識なしで鑑賞してみた。
まず、ある1人の女性エデンに焦点が当てられ、奴隷生活の様子が流れる。ここでは黒人が連れてこられ、日々綿花を摘むなどの労働を強制させられていた。となると、南北戦争時代の話なのかな?と考える。
この最初の描写で気になった点。のちの伏線回収につながると思われるのだが、奴隷たちは互いに一切会話をしてはいけないということ。もう1つは、ある日に連れてこられた黒人女性がエデンのことを知っていて、かつ、エデンに脱出を促すような動きがある。エデンは当時有名人だった?と疑問が浮かび上がった。

そして、物語は次の場面へとうつる。ある朝にベッドで目覚める女性。それが夫と幼い娘と3人暮らしをするヴェロニカ。スマホのアラームで起き、一気に現代へと場面がうつりかわったので、エデンの生まれ変わり?子孫?などといった想像をしながら鑑賞をすすめた。ここでエデン時代につけられた「腰の焼き印がない」といった事実を象徴づける描写も印象的である。

この世界のヴェロニカは、リベラル派として絶大な人気を誇るベストセラー作家。大成功をおさめつつある彼女だが、ある講演会のあと、ディナー直後に何者かに誘拐されてしまう。

そこでまさかのプランテーションの場面へとうつり、エデン=ヴェロニカであることがわかる。ヴェロニカ(=エデン)は、奴隷仲間と一緒に脱走することを決め、スマホを取り出す。ここでも、なんでスマホ?南北戦争時代の話じゃなかったの?と軽く衝撃。スマホで夫に位置情報を送るヴェロニカ。もう絶対現代のお話って確定。馬に乗って逃げるヴェロニカ。これまで隔離されて労働を強制されていた場所、そこは白人の上院議員によって作られた南北戦争再現パークだったのだという。もう衝撃…時系列にうまく騙されていたパターン。ここで上記の伏線2つも回収されるのだが、本当に怖いのは人間だなぁって思い知らされた。

黒人というだけでホテルのフロントで後回しにされるし、レストランでは狭い席を通され、安いワインをすすめられる…
過去から現在まで続く人種差別についても考えさせられる内容だったと思う。目を背けたくなる描写もあるけれど、時系列のトリックに気づいたときは、ハッ!とさせられた。最後の馬に乗って逃げるシーンは、かっこいいというか勇ましいというか…ちょっとスカッとするものがあった。この手の映画は結構好きなので、同プロデューサーの『ゲット・アウト』『アス』も観てみよう。


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