暮らすこと、生きることを楽しむヒント【オランダ人のパートナーと暮らしてビックリした10のこと】
今年のはじめから、オランダ人のパートナーと暮らしています。
言葉も慣習も違う相手と一緒にいると驚くことがいっぱい。無意識のうちに当たり前だと思っていたことがたくさんあるということに気づかされます。
大人も子どもも幸福度が高いと言われているオランダですが、彼を見ていると本当にそうなんだろうなあという気がしてきます。
とは言え、色々な価値観、生き方の人が住んでいる国。
「オランダ人の特徴」ではなく、あくまで、「こんな人もいるんだな」「こんな考え方もあるんだな」と楽しんでいただけると嬉しいです。
1. 休みの日はサイクリングかピクニック
自転車大国とも呼ばれるオランダで生まれ育った彼は本当に自転車が大好き。(バンコクからシンガポールまで自転車で旅をしたこともあるそうです)
まだ寒い時期も時間さえあるとハーグの街からすぐのところにあるビーチや近くの森(公園)にサイクリングや散歩に行っていました。
4月にトルコに来てからは何度も一人で山にハイキングに行き(オランダは平なので山がほとんどありません)、さらに私が休みの日も必ずと言っていいほどハイキングかピクニックに一緒に行こうと言ってきます。
オランダ人はケチだと言われますが、彼にとってハイキングやピクニックはお金を使わないためにではなく、身体や心が満たされるからしているようです。
*ハイキングでは道なき道を行くのが好き。一人で6時間くらいハイキングをして帰ってくることも。
2. 物を簡単に捨てない、身近なものでDO IT YOURSELF
そんな彼と4月にピクニックに出かけたときのこと。
近くのベーカリーでパンとサラダを買って5kmほど歩き、海沿いの公園のベンチにつくと、彼が小さなリュックサックの中から牛乳の入っていたボトルとアイスクリームの入っていたプラスチックの箱を取り出しました。
ボトルには水が、箱にはカットしたオレンジが入っています。
数日前から「プラスチックのゴミが取ってあるなあ。トルコでは分別しないで捨てられるけれど、分別したいのかなあ」と思っていたものの、まさかこんな形で使うとは。
水を飲もうとボトルに口をつけるようとすると、何と中にはカットしたレモンが。「生活力高!」と思わず心の中で声を上げました。食べ終わった後はオレンジの皮をアイスの箱にいれてそのままゴミ箱へ。合理的というかなんと言うか…。
さらに先日は、オランダで飲んでいたオートミルク(麦から作られるミルク)がトルコでは手に入らないからと、コーンフレークのような麦のパウダーからオートミルクを手作り。「これでクッキーを作ろう!」と、水分を切って残った麦の粉でクッキーを作っていました。
「これは何かに使えるかな」
「自分ではどうやって作れるかな」
は、彼の中では当たり前の問いのようです。
*ピクニック先でおもむろに取り出されたオレンジとお水にビックリ。
3.必要だと思うことは自分でやる、ゴールだけ共有する
一緒に暮らしていてとっても楽なのは、自分が必要だと思うことは、自分でサクサクやっていくけれど、同じことをすることを強要しないこと。
何かに取り組むプロセスに口を出さないこと。
私は料理のセンスがなく、好きでもなかったのですが(そんな私が料理を楽しめるようになったプロセスについてはまた別途ご紹介できればと思います)、一緒に料理をするときも「今日はリゾットとサラダを作ろう!」と、それだけ。
サクサクとリゾットを作り始める彼の横で私はちょこちょこ野菜を切る程度しかできないものの、特に何も言わず。
いつもそんなスタンスなのである日「あなたはゴールは共有するけど、やり方について細かく指示しない。それが私はとっても楽に感じる」と伝えてみると…
「僕の仕事(コンサルタント)はいつもそんな感じだよ。キッチンと食材は用意されていて『これであとは料理してね』って任される。細かいプロセスを指示するんだったら自分でできるってことだから僕に頼む必要はないよね」
「あなたもきっとそうでしょう?ゴールを共有したら、それぞれにできることをすればいい」
とのこと。
それにしても、キッチンを都度都度ピカピカに掃除する彼を見て(そしてキッチンの掃除が上手でない私に特段何も言わない彼を見て)、「物事に対してオーナーシップがあるんだなあ」と常々感じています。
*料理好きの彼はササッと盛り付けも素敵に仕上げます。見た目をちょっとだけ素敵にするのも暮らしを楽しむ秘訣なのだと学びました。
4.好きなことも好きじゃないこともハッキリ言う
オランダよりも暖かいだろうと思って移動したトルコでしたが4月は思った以上に寒く、夜はくたびれたヨガウェアのズボンに、くたびれた長袖のTシャツを着て寝ていました。
だんだんと暖かくなる中で、このままパジャマ代わりに着てていいかなーとヨガズボンとTシャツを着たところ…
「その上下は合っていないと思う。セクシーじゃない」と。
(ガーン!!!!そんなにハッキリ言わなくても…)
と思ったけれど、30年経ってから「その(寝巻きの)スタイルがずっと好きじゃなかった」と言われるよりはいいかもしれません。
好きじゃないものは好きじゃないとハッキリ言う代わりに、好きなものは好きだとハッキリ言って、あからさまに喜んでくれるのである意味とても分かりやすいです。
*このワンピースとカーディガンは好きだけど、下のスパッツは好きじゃないとな。すみませんね、寒がりなんです…。
5. 手はつなぐけど引っ張らない
出かけるときは自然と手をつなぐ私たち。
そんな中で最近気づいたのは、彼は手はつなぐけど引っ張らないということ。
トルコは外に犬や猫がたくさんいるので、道端にフンがあることも少なくないのですがそんなときも「気をつけて!」と言うだけ。
同じ状況で、思わず「あ!」と彼の手を引っ張ったときにすごくビックリされて、「そう言えばこの人は手をつなぐけど引っ張ることはないなあ」と気づきました。
これはいろんなときにスタンスとして現れている気がします。
「手をつないで、何かあったら引っ張る」
自分でも気づかないくらい無意識に当たり前のようにされてきて、おそらく人にもしてきたであろうことが、彼にとっては当たり前ではない。
そんなことが他にも日常の中に実はたくさんあるかもしれません。
*犬と気が済むまで遊んだ後に、「手を洗ってね」と言われました笑 基本は見守るスタンスのようです。
6.勉強の仕方は自分で決める
日本語のオンラインクラスに参加していた彼がある日不満そうに言いました。
「このクラスでは毎回何を勉強するかその日にならないと分からない。僕は先に自分で勉強して分からなかったことをクラスで教えてもらいたいのに」
どうやら彼は、毎回、ベーシックなこともまだ分かっていない生徒が多いクラスで先生がどんどん難しい構文を紹介していくことが嫌なようです。
そして、間もなく、何冊かの日本語の教科書を見比べながら基本の動詞の変化表を自分で作り始めました。
「自分には全体の構造を見渡してから学んでいく方が合っているんだ」
「勉強の仕方は自分で決めたい」
とのこと。
彼はモンテッソーリの学校に行っていたそうで、その影響もあるのかもしれませんが「勉強の仕方を自分で決める」という発想そのものが私にはなかったのでビックリしました。
*トルコに持ってきた日本語の教科書(と私のウクレレ)。お互いぼちぼちだけど、まあいいか。
7.一年働いて一年旅する
観光ではなく、一つの場所に1ヶ月以上滞在して暮らすように旅をするのが好きな彼はここ数年は「一年働いて一年旅する」ということをしてきたそう。
「みんなできないと思っているけど、そんなことないんだよ」
「できるけれど、結局やらないんだ」
とのこと。
ちなみに彼は私よりひとまわり年上。
おそらくオランダでも「そんな考え方が当たり前」な世代ではありません。
それでも人は自分にとって大切な生き方を見つけてそれを叶えることができるんだ。
彼の生き方を見ているとますますそんなことを信じることができます。
*持っているTシャツは全部黒のVネック。どこでも買えて楽なんだそうです。
8.「ありがとう」と数字を真っ先に覚える
いろいろな国を旅してきた彼は、いろいろな国の言葉が話せます。
トルコに来るときも、出発の数日前にトルコ語の単語を復唱し始めました。
「それはどういう意味?」と聞くと、「ありがとうという意味だよ」と教えてくれました。
さらには、毎朝行っているワークアウトの時間にトルコ語でスクワットの回数を数え始めました。
そしてトルコに着いた翌日から、早速、パン屋さんでトルコ語で注文。
カフェでもトルコ語で注文。
たくさんの言葉は通じずともあっという間に打ち解けていきます。
1ヶ月半経ち、さらにトルコ語のボキャブラリーが増えているようです。
発音が完璧でなくても、文法が分からなくても、とにかく言葉を使ってみる。人と知り合いになる。
それが言葉を話すことができるようになる第一歩なのだと実感しています。
*気に入って毎日夕飯を食べにいっていたトルコ料理屋さんではいつも食後にトルコのお茶(紅茶)とケーキを出してくれました。
9.赤ちゃん?子ども?いろいろな選択肢を持つ
付き合い始めて間もない頃、子どもの話になったときに「あなたは私たちの赤ちゃんが欲しい?それとも子どもが欲しい?」と聞かれました。
ん???どういうこと???
と聞いてみると、彼には「(私が)赤ちゃんを産む」という選択肢と「子ども(養子)を迎える」という選択肢があるということが判明。
オランダは国際養子縁組をする人も少なくなく、珍しいことでもないという話は聞いたことがあり、実際に家のオーナーさん(オランダ人)も「娘はインド生まれなんだ」とサラリと言っていましたが、まさかこんなに当たり前のように子どもについての選択肢を持っているということにビックリ!
さらに、「あなたが今と同じように仕事を続けたいなら僕が子どもの世話をするよ」「赤ちゃんが夜泣いて僕たちが眠れなかったら大変だから、そのときは誰かお世話をしてくれる人に来てもらう(雇う)のもいいかもね」と。
子どもや子育てに関する選択肢が思っていたよりも色々あると知り、なんだかとても気持ちが楽になりました。
*オランダ・ハーグのビーチを散歩していた頃。つい数ヶ月前だけどなんだかとっても懐かしい。
10.生理の辛さもチームで乗り越える
いろんな場面で「We are team.」という彼ですが、ビックリしたのは生理痛が腰の痛みがひどくてマッサージをしてもらったときのこと。
「マッサージをしてくれてありがとう楽になったよ」と伝えると
「もちろんだよ!だって、僕らはチームでしょ」と。
え!?生理もチームの出来事なんですか!?
女性が一人でがんばらないといけないことではなくて!?!?
これまた全くもって考えたこともなかった視点で、本当にビックリ。
どうやら彼にとって私に起こることは「私たちのこと」であって、自分ができることをするのは当たり前という感覚なようです。
「僕らはチーム」
どんな場面でもそう言ってもらえることで、1ヶ月に一度の大変なときも以前よりも随分と楽な気持ちで迎えることができるようになりました。
*大好きなお抹茶で抹茶ラテを作るときも必ず二つ、私の分も作ってくれます。「わたし」も「あなた」も「わたしたち」もそれぞれ大切にすることを学んでいます。
「もっと良くなるなら素敵、でも今のままでも十分幸せ」
そんな彼とは英語でコミュニケーションを交わしているため、言いたいことが上手く表現できないくて(もしくは受け取ることができなくて)すれ違いが起きることもしばしば。
そんなときはとことん話をします。
「英語がもっと話せるようになって、あなたともっとコミュニケーションが交わせるようになるといいな」
と言う私に、彼は
「もっといろんな話ができたらそれは素敵。でも今のままでも十分幸せ」
と言います。
「今のままでも十分幸せ」
という感覚は、暮らすこと生きることを楽しんで毎日をごきげんに過ごす土台としてとても大切なものかもしれません。
・・・・・・・・・・・・・・・・
もしそんな感覚が今持てていなくても大丈夫。
今のままでもあなたはとっても素敵で、あなたの人生は「大丈夫」です。
このページをご覧くださってありがとうございます。あなたの心の底にあるものと何かつながることがあれば嬉しいです。言葉と言葉にならないものたちに静かに向き合い続けるために、贈りものは心と体を整えることに役立てさせていただきます。