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ヨーロッパ史を勉強してなくても覚えといてほしい2つの年

皆様こんにちは。
本田拓郎(Takuro Honda)と申します。
この記事へお越しくださいまして、ありがとうございます。

 このnoteでは、今現在観光業に就いている私が、私の目線で、「観光・旅行・歴史・文化・教育」について、知識や新たな発見の提供、その他自論を展開し、古代ギリシャでいう「アゴラ」のような場所を目指します。私が勉強していることを皆様とも一緒に学ぶというスタイルで、記事を創っていきます。

 私の本職は旅行会社勤務の営業マンですが、元々は教員を志していた人間です。よく「体育科?」って聞かれますが、中学社会科と高校地理歴史科です。大学の専攻が西洋史でしたのでね。
 そこで今週は、歴史を勉強していない方でも、歴史から現代を読み解くことができる2つの年にタイムスリップしてみましょう。今日はヨーロッパ編です。

拙い文章力と乏しい考察力ではありますが、
最後までお付き合い、お願いいたします。

1.800年

 歴史の年号を覚えるのに、語呂合わせを使っていたのが懐かしいですね。でも、この「800年」という年号にそんなもの必要なさそうですよね。めちゃくちゃキリが良いですから。

 この年に起きた出来事は、「カールの戴冠」です。「ヨーロッパ」という地域を定義付けた重要な事件です。

 カール大帝は、フランク王国においてカロリング朝を開いたピピン3世の息子で、彼もまた父からフランク王を継承した人物でもあります。46年もの間、その在位に就き、版図の拡大に成功し、フランク王国の最盛期を創り上げました。

 そんな彼が800年に授かった王位は、ローマ皇帝です。教皇レオ3世より、ヴァティカンのサン・ピエトロ大聖堂にてローマ皇帝の位を授かった彼は、ローマカトリックに入信し、古代ローマ文化、ローマカトリック文化、ゲルマン文化の融合と調和に尽力します。

 フランク王国は元々ゲルマン民族大移動で形成されたゲルマン人国家ですよね。そこに元より文化形成されていたキリスト教の文化を融合させることで、広いヨーロッパの統一を図ったのです。つまり、現代のヨーロッパの定義である、「キリスト教圏」の礎を築いたという意味で、とっても大事な年であり、事件なのです。

 彼の死後の843年に結ばれたヴェルダン条約で、フランク王国は、神聖ローマ帝国、フランス王国、ベネルクス、イタリアに分裂したことで、キリスト教国家が増え、より現代のヨーロッパの形に近付きました。そのことからカール大帝は「ヨーロッパの父」とも呼ばれています。

2.1492年

 日本においては、応仁の乱を終え、室町幕府の力が衰え始め、戦国大名たちが力を持ち始めた時代です。しかし、世界に目を向けると、大きな事件が2つも起こった年であり、これまた現代ヨーロッパを定義付ける上では、外すことが出来ない重要な年でもあります。

 まずは、1492年1月2日、「グラナダ陥落」です。

 そもそもイベリア半島の南側は、8世紀頃に北アフリカからムスリム勢力が侵入し、ゲルマン人国家の西ゴート王国を滅亡させ、支配していました。でも、それは前述のカール戴冠以前の話なので、まだヨーロッパにおいて、キリスト教という統一概念は存在していませんでした。

 しかし、カール戴冠以後にその概念が生まれると、キリスト教勢力はムスリム勢力を追い出し、土地を取り返す戦いを始めます。それが「レコンキスタ」です。スペイン語で表すと、"Reconquista"。"Re"は英語で言う「再」を表し、"Restart"や"Repeat"などで用いられている接頭語です。"Conquista"は「征服」を意味し、英語の"Conquer"と同じ意味です。

 レコンキスタにおける戦いは激しく、キリスト教勢力は苦戦を強いられていましたが、1492年の1月2日に、ムスリム王朝最後の王朝ナスル朝を滅ぼし、首都のグラナダを陥落させたことで、レコンキスタを完了させました。

 この事件以降、ヨーロッパにムスリム勢力は侵入することはなくなり、現代ヨーロッパを形成する「キリスト教圏」の概念を確立させたというわけです。

 そしてもう1つの大きな事件が、「クリストファー・コロンブスによる新大陸発見」です。

 スペインはレコンキスタで財政事情に不安を抱えていたにも関わらず、女王イザベラを中心にコロンブスの航海プランを厚く支援していました。

 その支援を受けてコロンブスはインドを目指しますが、到着したのはサンサルバドル島。思った航海ではなかったですが、未開の地に到達したことで、大航海時代の幕が上がります。

 これをきっかけにスペインとポルトガルは、新大陸に植民地を作り、1494年にはそれについての決まり事を定めるトルデシリャス条約に調印し、世界を分割していきます。特にスペインは、本土のイベリア半島、植民地として南アメリカ大陸、フィリピンを獲得し、「日の沈まない国」として、大きな富を手に入れることに成功しました。

 さらに新大陸を植民地化することで、キリスト教の布教にも注力していきます。現に、南アメリカ大陸のアルゼンチンなどはスペイン語が公用語でローマカトリックを信教していますし、現ローマ教皇のフランシスコはアルゼンチン出身ですよね。フィリピンもASEAN唯一のキリスト教信仰国ですよね。

 一見関係ないように感じる新大陸発見も、掘っていくと、ヨーロッパの概念を確立させるのに一役買っていたと考えることができますね。

3.歴史を読むことが現代を読むヒント

 私は今回の記事で、ヨーロッパの定義として「キリスト教圏」ということを挙げましたが、諸説あります。

 ただ、現代のEU加盟国と加盟申請国を見てみるとどうでしょうか。厳密にいうとアジアに分類される、キプロスとトルコを例に挙げてみましょう。前者はEU加盟国ですが、後者はそうではありません。その理由を「キリスト教」というフィルターを通してみるとどうでしょう。前者は信仰国で、後者は非信仰国ですね。トルコはイスラム教信仰国です。

 2015年に、トルコからドイツへのガストアルバイターが多いことから、トルコのEU加盟審議が行われましたが、結局加盟には至っていません。つまり、現代社会においても、「ヨーロッパ=キリスト教」という概念は色濃く残っている証明になっているんです。 

 ヨーロッパにおいてキリスト教がいかに重要か学ぶことはできましたか?歴史から現代がわかるという意味では、私が挙げた定義が有力だし、マジョリティの意見だと思います。

 歴史を勉強することで、現代社会がわかるというのは自明ですし、世界史は、広い世界で生きる上では必須科目です。報道される領土問題や、民族紛争も、世界史を学べば、理解できる鍵を手に入れることができます。

少しでも「歴史が楽しい」と思っていただければ嬉しいです。

今回も最後まで読んでくださいまして、誠にありがとうございます。
また次回お会いしましょう。
Ciao...

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