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アヴァンギャルドな開発日誌vol.4 『アヴァンギャルドな居酒屋』

毎週土曜日はこのwebメディア『アヴァンギャルド』の開発日誌を肩の力を抜いてお届けしています。

とはいっても、平日であっても記事を書き終えれば息抜きが必要が必要なわけで、そんなときによく"とある居酒屋"にいくんです。

今日はそんなお話を。



そこは学生時代の友人のおかんの店で、見た目は至って普通のこじんまりとした街の居酒屋で、おかん一人で店を切り盛りしている。

店に入ったら席につく、その前にカウンターに入っていって自分で冷蔵庫の中から冷えたグラスを取り出し、ビールを注ぐ。そしておしぼりをとって座席につく。

掟 その1:自分でできることは自分でやる

ビールを注ぐのは誰でもできるし、誰が注いでも味が大きく変わることはない。おしぼりもそうだ。それなら自分でやりましょうというのがこの店の掟だ。

もちろん料理や食べ終わった後の後片付けは店としてするけれど、決してお客様だからと無理はしない。それが長く店を続けるためであり、店が楽しいと感じられる秘訣だとおかんは言う。

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そんな居酒屋ではカウンターの前の棚に家庭的な料理がおばんざい形式で並んでいる。ある意味、家の料理と変わらない、特別感や華はないけれど、疲れてても落ち込んでてもいつでも喉が通る懐かしい味がする。

掟 その2:いつでも帰ってこられる家であり続ける

単身赴任や出張など様々な理由で家に帰れない人や、パートナーと離れてお互いゆっくりとしたい時間を確保したい人にとって、こうして帰ってこれる場所、二つ目の家の存在は生きる活力を生み出してる。

自炊だと栄養が偏るだろう、息抜きができる場所も必要だろうとこの店ではできるだけ家庭的な料理にこだわるし、気を使わないで済む仕掛けがたくさんある。


掟 その3:対等に、だからこそ本音が生まれる

この店では「お客様」は存在しない。だからこそ、自分でできることは自分でする、店がした方がいいことは店がする、と役割分担もできている。

それは決して店側の都合を押し付けているんじゃなくて、お客にとってもプラスに働いていてて、お客の多くはいわゆる"偉い人"たちが多く、いつもは多くの部下や取引先などからお世辞みたいなコミュニケーションばかりで疲れてしまっている。

でも、この店ではひとりの人間でしかない。「昼間は部長や社長だろうが、年がいってようが、金を持ってようが一人の人間でしかない」と、よくおかんは言う。

だからこそ、人と人とで向き合ってくれるし、それは客同士でもそうだ。対等に話せるからこそ信頼が生まれるし、だからこそ本音で話せる。


ただの居酒屋だけれどもコロナ禍であっても人が絶えない店だった理由がよくわかる。日常には過度なサービスが必要なのではなく、もっと手前に大事にすべきことがある。こうしてコミュニティってできていくんだと思う。

今回はあえて店の名前を伏せるが、あなたにもそんないつでも帰れる家(店)はあるだろうか?


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