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子どもたちと「M5stack」を使ってラジコンカーを作ってみた!(作り方PDF付き)

こんにちは! アバナード関西の山本です!

今回の note は、私たちが6月上旬に開催した「子ども向けラジコンカー製作&プログラミング教室」の模様をお伝えします!

ChatGPTの登場以降、世間はまさに生成AI花盛り。AIを使って何ができるのか、人間は何をすべきなのか。日々、さまざまな意見が飛び交っています。

大人だけじゃありません。急速に進歩する技術は、子どもたちの将来にも大きな影響を与えます。

「AIを使いこなす2030年の小学生の図」(DALL.E画伯)

「これからの時代、子どもたちにはどんな学びが必要なの?」
「AIに取って代わられることのない、スキルや経験ってなんだろう?」

子育て中の方なら、一度はそんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。

私たちも、子どもたちに何か伝えらえることがないかと考え、NPO法人ピープルアクティブライフ(PAL)さんと一緒に「マイコンモジュールを使ったラジコンカー製作&プログラミング教室」を実施することにしました。

トラブルあり、発見あり。
子どもたちと一緒に試行錯誤した一日の活動をご報告します!
 


◆ 使った器材とラジコンカーの仕組み

今回使った主な器材は、液晶ディスプレイやWiFi通信機能を備えたマイコンモジュール「M5Stack」と、学習用のモーター付き2輪駆動車です。

簡単に構造を説明すると…

①モーターをつけたアルミ合金製の車の上に、マイコンモジュールM5Stackを載せる
②ブラウザアプリでM5Stackを動かすプログラムを作成
③作成したプログラムをスマホを使ってM5Stackに伝達
④M5Stackとモーターをつなぐことで、プログラムの指示通りにタイヤを動かす

という仕組みです。

この設計を考えたのは、Avanade関西所属の中村さん。どのようにして仕組みを思いついたのか、本人に聞いてみました。

ー そもそも、今回のプログラミング教室で、なぜマイコンモジュールを使うことにしたんですか?

中村)もともと M5Stack を使って何か面白いことをやりたいなぁと思ってたんです。以前も、廃止された路線バスのルートや運行情報について、 M5Stack を付けた自動車で緯度・経度情報などを収集したことがあって。その時に、色々な使い方ができることを知ったんです。

↓ 中村さんが過去に挑戦した「廃止路線バスルート調査」はこちら ↓

ー ラジコンカーを作ったことはあったんですか?

中村)全くないです。「ラジコンカーを作る」という方針はPALさんから聞いたんですが、「え?できんの?」「難易度高くない?」ってなって。ちょっと冷汗が出ましたね(笑)。なので、まずは子どもたちが使えるツールとしてどのような器材があるのか、どうやってタイヤを動かせば良いのかを一から考えました。

ー 可愛いパワポ資料もありましたが、準備にはかなりの時間がかかったんでしょうか?

中村)あぁ、それは週末に一夜漬けで作りました(笑)時間は全然なかったんですけど、気合いで何とかした感じです。

↓ 中村さんが気合いで作成した「誰でもつくれる説明書」はこちら! ↓

はたして中村さんが考えたラジコンカーは本当に動くのか。

子どもたちと一緒に、いざチャレンジです!
 

1. 車体の組み立て

今回参加したのは小学校1~5年生の子どもたち9人。
3チームに分かれ、それぞれ1台ずつラジコンカーをつくりました。

まずは、2輪駆動車を組み立てるところからスタート。
それぞれのチームに配られた小さな箱を開けると、中には小さなタイヤとモーター、アルミ合金の板や、長さ数ミリの小さなネジなどがたくさん。
結構時間がかかりそうです。

2輪駆動車の組み立て図。私は写真撮ってChapGPTに投げました、すみません。

とりあえずは説明書を…と思ったら、箱に入っていたのは、ごく簡単な組み立て図が1枚だけ。しかも、解説文は英語のみ。

そんなに難しいことは書いてないんですけど、逆に情報量が少なすぎて、どこから手を出せば良いのやら。

大人だったら、思わず考え込んでしまうところですが、子どもたちは迷わず手を動かします。

とりあえず作ってみる!
三人寄れば文殊の知恵

「それ順番が違うよ。この板を先に入れないと」

「長いネジじゃなくて、短いネジじゃないと入らへんで」

紙の見取り図だけを頼りに試行錯誤し、どのチームもあっという間に組み立ててしまいました。

車体ができたら、その上に M5Stack とモバイルバッテリーを積み上げ、モーターと接続したら完成です。

午前中いっぱいかかるだろうと思った作業が、わずか小一時間で終了。小学生の集中力、おそるべし。
 

2. プログラミング

車体ができたら次はモーターに動きを伝えるためのプログラミングです。

今回はUIFlowというブラウザベースの開発環境を使って、簡単なプログラムを作りました。UIFlowでは、ブロックの形になったコマンドをドラッグ&ドロップで組み合わせ、プログラムを作ります。
作ったプログラムはiPadやスマホで操作することができます。

スマホ版のレイアウトを見ながらコマンドを配置
「このボタン、どこに置いたらいい?」

パソコンの扱いに長けた子どもたちは、ツールの使い方を覚えるのもあっという間。前に進むボタン、後ろに進むボタン、右回転に左回転…。そして、出力値を最大まで引き上げた「爆走」ボタンまで。すぐにいくつものコマンドを作り上げてしまいました。

M5Stack を積んだラジコンカーに、スマホのボタン操作で指示を送る準備ができたら、いよいよ試走です。

今回の会場となった区民ホールの床に養生テープを貼り付け、即席コースを設定。スタート地点にラジコンカーを置いて、いざ挑戦!

みんなで作った即席コース!障害物や坂道もあるよ
「ちゃんと動くかな~?」

ドキドキしながら、「前進」ボタンを押してみると…

「おおー!動いた!」

1秒未満のタイムラグがありましたが、見事に動き出したラジコンカーを見て、大人も子どもも声を上げて喜びました。

でも、全てのボタンがうまく機能したわけではありません。

右回転を押したのに、前に進んだり。停止ボタンを押しても反応がなかったり。不具合があればすぐに修正し、なんとか思い通りに動かせるようになりました。

どのボタンにどんなコマンドを割り当てたか、表にまとめて検証中…
教える大人も真剣そのもの

 

3. 小型カメラ装着

コースを走らせたら終わり…ではありません!

今度は、車体の上に小型カメラを付け、ラジコンカーの目線で周囲を見渡しながら、遠隔操作にチャレンジします。

使用したカメラは M5Stack 用の魚眼レンズモジュール。小さいカメラですが、周囲の様子を広く捉えることができます。

カメラの映像は無線送信されるので、パソコンやタブレットのウェブブラウザで確認することができます。

毎秒5~6フレーム程度のカクカクした動きですが、ラジコンカーの低い目線から送られてくる広角映像は迫力満点。

PCに送られてくるカメラ映像を確認する子どもたち

「椅子にぶつかるー!よけろ!」

「みぎー!もっと、み・ぎー!」

「後ろ後ろ!」

段ボール、パイプ椅子などを組み合わせて作った「迷路コース」を走らせると、臨場感あふれる映像に子どもたちのテンションも爆上がり。

タブレット上の映像をのぞき込みながら、操作する子に次々と指示を飛ばします(指示される方が大変そう…)。

カメラをラジコンカーに装着し、スマホを使って操作中
右側の子たちはリアルタイム映像をタブレットで確認し、指示を出しています

最後はバッテリーが切れるまで走り切ったラジコンカー。ひっくり返ったり、障害物にぶつかったりしながら、いろんな映像を届けてくれました。おつかれさまでした。
 

4. 社会課題解決にチャレンジ

たっぷり遊んだ後は、みんなで振り返りの時間を持ちました。

「おもしろかったー」「たのしかったー」という率直な感想に加え、「ラジコンカーやカメラを遠隔操作できたら、どんな社会課題が解決できそうか」という高度な話し合いにもチャレンジしました。

「水中を潜るロボットにカメラを付けたら、海の中がきれいになっているかどうかを調べられるんじゃない?」

「車いすの人が出かける時に、身の回りの安全を確認するロボットは?」

「そういうロボットを使ってもらって稼いだお金を募金に回せば、世の中の役に立つと思う!」

発表されるアイデアの数々。特に高学年の子からは、世の中のことをよく見ているなーと感心させられる提案がいくつもありました(コンサルタント裸足です)。

車体の製作から、プログラミング、試走とプログラム修正、社会課題に関する議論まで。大人だったら立ち止まってしまうような場面でも、とにかくやってみて、うまくいかなければ手を動かしながら考える。子どもたちの発想力とエネルギーに終始圧倒された一日でした。

当初は「子どもたちに何を教えてあげられるかな」というスタンスで臨んだ私たちでしたが、終わってみれば、むしろ子どもから多くのことを学ばせてもらった気がします。

AIをはじめとするテクノロジーが日進月歩で進む時代。
本当に重要なのは、ITの知識やスキルそのものではなく、新しいこと、やったことがないことでも果敢にチャレンジする「積極性」なのかもしれません。

参加した子どもたちと、PALさん・Avanadeのスタッフ

 

◆ 「将来」考えるきっかけに

最後に、今回のプログラミング教室を企画したAvanade関西所属の横田さんにイベントの狙いや企画に込めた思いを聞きました。

ー 今回の「プログラミング教室」を企画したきっかけを教えてください。

横田)ラジコンカー×プログラミングという具体的なアイデアは、PALさんと相談する中で思いついたんですが、子どもたちと一緒に何かやりたいなっていう思いは僕の中でずっとあったんです。

ー 教育関係に関心があったということですか?

横田)教育というとおこがましいですけど、僕も一人の親として、子どもたちが将来どんな大人になりたいか、どんな職業に就きたいかってことを考えるきっかけがあれば良いなと思って。

子どもたちの質問に圧倒される横田さん(左)と中村さん

ー 確かにエンジニアの仕事って、言葉だけでは伝わりにくいし、子どもたちには想像できないと思います。

横田)そうですよね。だから、今回の企画でエンジニアの仕事に興味を持ってもらえたら、すごくうれしいです。あと僕自身、実は家庭の事情で学校に通えなかった時期があったんですよ。将来どうしたら良いのか、かなり悩んでたんですけど、誰にも相談できなくて。それが結構しんどかったんです。そういう時、家族以外の大人にも将来のこととか、仕事のこととか相談できたら良いな、そういう場所を今の子どもたちにも作ってあげたいなって思ったのも、一つのきっかけですかね。

ー 今回のような「プログラミング教室」は私たち大人にとっても大きな学びになりますね。

横田)本当にそう思います。今回、たくさんの気づきがありましたし、正直うまくいかなかったところもあります。見つかった課題を改善していけば、もっと良い企画になると思うので、ぜひ第2回にチャレンジしたいと思います。
(了)

↓ 夏休みの自由研究におすすめ! ラジコンカーの作り方はこちら!
(ダウンロードの前に「スキ」ボタンを押してくれたらうれしいです!)

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