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「BLUE GIANT」ジャズの良さを言語化できなかった自分

 好きなジャズプレイヤーはジョン・コルトレーン。マイ・フェイヴァリット・シングスが大好き。

 原作は「岳」の石塚真一による同名作品。
 ジャズをテーマにし、主人公である宮本大が地元の仙台から東京、ヨーロッパ、そしてアメリカへと旅をしていき、その中で出会う人々や街とジャズを通じて、世界一を目指す話だ。本作では東京編が主軸で仙台での描写は少しの回想に留まる。


なぜジャズが好きなのか

 漫画を全巻持っているほど好き。元々ジャズをそこそこ聞いており、それをテーマにした漫画が面白いと勧められたので読み始め、見事にハマった。大きな理由は、今までなんとなく聞いていたジャズの良さ、それを何で良いのか、何が好きなのかを言語化できずにいた私にとって、「ジャズはデカい」というセリフが見事にマッチし、自分が言いたいのはこういうことだよ!と思ったからである。気取ったカッコよさとかではなく、激しさ、音楽に詳しい訳ではないのだが何か感じ取れる部分があること、それが私がジャズを好きな理由であり、漫画ではそれをまさしくテーマとしている点がピッタリとハマった。

 映画を観て、その“なぜジャズが好きなのか”の解像度がより高まった気がする。それは漫画では当然聴けなかった“音”があることは大きいと思う。映画というメディアが音楽と親和性が高いことは自明だが、その部分で「BLUE GIANT」で描かれるジャズがより解像度の高い説得力を持っているのかもしれない。セリフとセリフの合間や息遣いなどもその力を持っていそうだ。漫画より映画の方が優れていた、映画は脚色されていて漫画とはまた異なるから、と言いたい訳ではない。この辺はこれもまた上手く言語化できていない部分でもある。兎にも角にも、私の中での”なぜジャズが好きなのか”を漫画で初めて確認し、映画でその解像度がより上がったのだ。


めっちゃ泣いた

 何度も読んでいるお気に入りの漫画なので、物語の展開、ないしは泣きポイントは正直分かっているので、やや冷めた目で映画館に向かっていた。特に東京編のラスト、目標にしていた大舞台を直前に沢辺雪祈が事故による大怪我をしてしまいバンドに参加できなくなってしまうシーン。漫画でも衝撃を受けたが、映画でも観ていて改めて辛いものがあった。その後の大と玉田の2人でライブをするシーンは屈指の泣きポイントだ。映画では、雪祈が片手でアンコールだけ参加するというシーンが追加されていた(実際に、ピアノを担当した上原ひろみは本当に片手で演奏していたらしい)

 これらのシーン、観客に東京でずっと3人が世話になっていたアキコさんが一番私にとって気持ちとしては近かったのか、アキコさんと一緒に私も号泣していた。あとJASSとして初めてライブをしたときからいる古参おじさんがずっと玉田のドラムを聴いていて、「上手くなっている」と言うシーンがすごく好きで泣ける。

 ジャズっていいんだよなあ、を人に説明できずに中々広められてなかった僕にとって、まずはこの映画を観ろ、そして漫画を全巻読め、と勧められる作品である。もしこの映画を観てジャズを聴いたことがなかった人は、何でもいいのでジャズを聴いてみるといいかもしれない。この映画のサントラでもいいし、劇中登場したアート・ブレイキーのアルバムでもいいかもしれない。音楽を担当した上原ひろみら日本人のジャズプレイヤーでも、Youtubeでジャズと検索して出たものでもいい。それぞれ全く別の良さがあってその自由さが聴いてる側にも与えてくれるので敷居は高くない。願わくば、続くヨーロッパ編やアメリカ編も映画になってくると嬉しい。



おわり

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