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絵描きの保護猫さまとの出逢いと別れを綴ってみた (全四回)その二


今回主役の猫さまは、当初我が家ではなく、お隣のお家で保護された猫さまです。
色合いや配色の分布は、あのスタイリッシュで気の強いシャム猫さまのようでしたが、どうにもドヨヨンとした貫禄ある姿とスローモーションな動きが、果てしなく笑いと癒しを誘う猫さまなのでした。




梅の木にとまる子

早朝、大きなカラスの鳴き声で目を覚ましたお隣のお姉さん。
グアァ〜グアァ〜、グアァ〜グアァ〜
カラスにもいろんな声音があるけれど、随分長い間、近くで鳴き続けているその声は、カラスの中でも相当な濁声だったらしい。
お姉さんが窓からそっと覗いてみると、その正体は、梅の木にとまっていたシャム猫柄の太った猫さまなのでした。
どうやら梅の木に登って、降りられなくなって、ずっと鳴いて訴え続けていたようなのです。
グアァ〜グアァ〜

お姉さんは猫好きでしたので、すぐにその子を下ろしてあげて、お家の子にすることに決めたようです。
太った彼女の名前は「うめ」。梅の木にとまっていたから「うめ」。
突然現れたうめは、おそらく以前どこかのお家で暮らしていたと思われます。
隣のお姉さんと当時の私は、「シャム猫のような太った雌猫を保護しています」というビラを、近所のスーパーやコンビニなどのお店、自治会の掲示板や学校の校門付近に掲示させてもらいましたが、一ヶ月経っても音沙汰はありませんでした。
うめはお姉さんのお家の子になり、幸せにくらしていたはずでした。

「うめは腰の辺りをトントンと触ると、『が、が、が、が』と声を出して変な格好をするのよ」と言って、最初はお姉さんは笑っていたのですが、やたら階段から落ちたりするので、病院に連れて行ったところ、猫さまのヘルニアだと言うことが分かりました。
つまり、梅の木から降りられなかったのもそのせいだったようです。
そして随分と高齢であった事も分かりました。
「もしかして、病気だから以前のお家の人から捨てられてしまったのかもね。大事にしてあげないとね」とお姉さんと話したものです。


うめの命


ある日、幸せだったうめに影が忍び寄りました。
お姉さんは、当時25歳くらいだったと思うのですが、実は私の母と同じ薬を服用している難病の持ち主でした。 (何の因果か、我が家を含めて同じ土地内の四区画、4軒全てに同じ副腎皮質ホルモンの投薬をしている住人がいるという土地柄でした)
そのお姉さんの病状が悪化して、入院になってしまったのでした。いつ退院出来るかは未定です。
つまり、うめの面倒をみる人が居なくなったと言う事です。
お隣のおじさんとおばさんは、特に猫好きではなかったため、
「元気な猫ならご飯をあげるだけでいいけど、ヘルニアが悪化した年老いた猫は面倒が見切れない」と、回覧板を届けにきた時に、おばさんが母にそう言ったそうです。
「あっちゃん (お姉さんの名前) が入院しちゃって面倒みれないから、保健所にやっちゃおうかと思ってるのよ」と。
母は強かった。言い返した。
「なんて事を! それならうちで面倒みます!」

今思い出しても恐ろしい言葉。
太一 (以前旅立ったうちの子) がいなくなって一年経たないうちに、うめは我が家の子になったのでした。
太一の真逆で年老いていたから大人しい、腰が悪いから飛び跳ねたりしない。
おそらくうめにとって、穏やかな日々を送っていたと思います。

このままうちの子でいると信じていた私達でしたが、お姉さんが予定よりも早く無事退院してきて、うめは元のお隣のお家に戻りました。
私達家族は不安でいっぱいでしたが、お姉さんが絶対手離さないと約束してくれたので、信じる事にしました。
それからまもなくして、お姉さんに見守られて、うめは老衰で穏やかに旅立ちました。


もし、隣のおばさんが、回覧板を届けに来た時に、母にうめの保健所行きの話をしていなかったら、と思うと怖くて総毛立ちます。
状況が変わると、簡単に加害者になってしまう。
そんな世の中がなくなる事を祈っています。


今回は保護猫というより、預かり猫的だったかもしれませんが、命の大切さを、今一度考えるきっかけになりました。
写真が残っていないので、イメージを思い出しながら描いてみました。
顔つきがヒトっぽくなりました。
もっと激しいブサ猫さまだったと思います。



猫の声早く気づけと梅ひらく


「UMEちゃん」



第一回保護猫さまエッセイ

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中岡はじめさん(主筆)、アポロくん・橘鶫さん(監修)、有志投句
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「俳句でチャリティー」
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全ての猫さまが幸せになれますように

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