『天使の翼』第11章(5)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
わたしは、この宇宙時代に、狩猟が組織的な産業として成り立っている、という事実に驚いた。一体何を狩るのだろう?
「狩猟業が成り立っているということは、狩られる動物が家畜化に適していないか、きわめて豊富に存在していて、畜産としてよりも狩猟としての方が、格段に経済的効率がいい場合だ……。アンコーナの狩猟業については、その両方が当てはまる」
わたしの興味は、嫌が上にもかき立てられた。
「――およそ見たことがないような生き物だよ……なんでもいいから空想上の怪物を絵に描いてみろ、と言われても、たぶん誰にも描けやしない」
「……」
「しいて言うなら、ドラゴンに近いけれど、ちょっと違うな……」
「ドラゴンですって?空を飛ぶの?」
「もちろん!あの巨体で空を飛ぶとは、ちょっと信じられない位だ」
「どの位大きいの?」
「銀河標準8メートル」
わたしは、息を呑んだ――人の背丈の4人分以上ある……それにしても……太古地球の原始時代に空を滑空する巨獣がいた、とは読んだことがあるが……
「一体どうやって飛ぶ訳?」
「飛行艇に乗る訳じゃないよ」
わたしは、シャルル自身の操縦という、あのちょっとしたスリルを思い出して、彼の腕をひっぱたいた。
……なんだか久しぶりに彼の体に触れたような……ぐっとこみ上げてくるものを感じて、わたしは、その気持ちを急いで封印した。
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