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《連続投稿449日目》倉庫型店舗からメディア型店舗への転換~小売のパラダイムシフト~

 日経電子版の記事【「買いたい」引き出す 次世代AI店舗の正体】は、デジタルサイネージやタブレットと決済機能の付いたレジカートなどで、店舗のメディア化を推進する大手ディスカウントストア「トライアルカンパニー」を追ったリポートです。



 そもそも、小売の歴史を紐解くと、最初『掛売+配達』であったものが、『現金+持ち帰り』のシステムに変わったのが第一の大きな変化ではないでしょうか。

 この変化によって経費が大幅に節減され廉価販売が可能となったのですが、当初、このシステムは、来店客がカウンター越しに店員に注文し、店員が棚・倉庫から商品を取り出す、という『エコノミーストア』でした。

 それを、来店客が直接倉庫に入って⇨自分で商品を手に取って選んで⇨集中レジで精算する、という『セルフサービス』に変えたのが第二の大きな変化なのです。

▶小売システムの変遷

『掛売+配達』

『現金+持ち帰り』

『エコノミーストア』

『セルフサービス』



 つまり、それ以来長年に渡って続いてきた『セルフサービス』は、基本的には、旧態依然とした『倉庫型店舗』でしかない訳です。

 ネット通販に押され気味のリアル店舗が『倉庫型店舗』のままでいていいはずもなく、では一体どう変われば良いのか、その解の一つが記事で紹介されるような『メディア化』の施策だと思います。

▶メディア型店舗の例

(1)顧客への訴求

  ①『デジタルサイネージ』・・・単に既製のCMを流すだけでなく、
   「フィーバータイム」で店内のデジタルサイネージを一斉に同期させ
   たり、社員の吹き込みでライブ感あふれる提案を行う。
   ⇨ テレビ通販のリアル店舗版

  ②『決済機能・タブレット付きレジカート』・・・ストレスフリーな決済
   を実現するだけでなく、タブレットを使って、リアルタイムに
   レコメンド(将来的にはパーソナライズ)・クーポン発券・ポイント
   付与

   ⇨ 店舗外で買物していない時に提供されるのとは、ポテンシャルが
    違う


(2)購買行動の分析

  
①『AIカメラ』・・・POSデータからは分からない実際の購買行動を分析
   して、効果的な売場づくり
に生かす。

  ②『AIによるデータ分析』・・・例えばPOSデータを分析して、Aを買って
   いる人はBも買う傾向があるなど、今まで気付かなかった知見
   得る。



 このように、『メディア型店舗』は、リアル店舗を単なる倉庫の延長から、顧客の購買行動を読み解き、リアルタイムでパーソナライズされたレコメンドを行うメディア空間に一変させるものであり、小売の世界に起きた第三の大きな変化、と言っても過言ではないと思われます。まさに小売の世界に起きつつあるパラダイムシフトではないでしょうか。



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