『天使の翼』第10章(69)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
時として神の意図が人間に理解できないのは、その為かも知れない……
「なるほど」
と、クレー准将は、冷静に受け止めた。シャルルの戦闘能力を見極めたうえで、ここで反撃に出ても返り討ちにあうだけだと判断したのか、はたまた、ちょっぴり皮肉をにじませたその口調だけで、暗に、「確かに理屈の上ではそうかもしれないが、現実にはそんなことにはならないよ」と言っている様だ。……わたしは、シャルルにエールを送ることにした。
「もし他に選択の余地がなければ、自分をその装置にかけるしかないかも」
「もし、そのような装置ができたなら、わたしは、喜んで実験台となりましょう」
割って入ってきたのは、ハーゲン氏だ。
「――今のままだと、私は、歴史の一観察者のまま一生を終えるでしょうが、その実験に参画することで、自分が年表の一項を飾ることになるのです」
なるほど、そういう形で、自らを人類史上初の快挙の人身御供にすることによって、年表――いや、歴史に名を残すなんて、確かに一つのパターンではある……
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