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『天使の翼』第10章(122)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしのギターケースのポケットに入れて連れてきた猫ちゃんが、ギャーとやきもちを焼いて、さっさとローラの胸元に飛び込んでいった。
 「運賃なぞいらんからな」
 と気さくな主人に、わたし達は、店の外のベンチ席で服を乾かしながら――この気候では乾くのも早い――軽く食事をとることにした。他の星なら一番人出の多い時間といっても不思議はなかったが、街は、ゴーストタウンとまではいかないまでも、しんと静まり返って人影もまばらだ。
 「おなかすいたー!」
 ローラが、素っ頓狂な声を上げた。一番腹ペコだったのは彼女だろう。
 水の惑星らしく、現地の料理は、魚――星によって進化の系統樹は全く異なるから、正確には、魚のような生き物――主体で、わたし達は、結局軽く済ませるどころではなく、独特の辛くてすっぱい味付けを堪能した。猫ちゃんもご相伴に与ったのは言うまでもない。彼女は、安心しきった様子でローラの膝の上で眠り込んでしまった。
 「連れてはいけないよ」
 この機を捉えて、シャルルがきっぱりと言い渡した。このままずるずる、という訳にもいかない。

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