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『天使の翼』第10章(62)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 でも、それよりも、宰相の葬儀がいよいよ執り行われる、という。確か帝国葬は、皇帝陛下の臨席なく、アクィレイアで行うことまでは決まっていたはずだ……ちらとシャルルの顔をうかがうと、軽く頷き返してきた――当然のことだが、彼は、もうこのことを情報端末で確認済みだったようだ……
 はたして、下馬評通り、皇孫殿下ダニエル護民官が出席なさるのか?この機に、何らかの弔問外交が行われて、情勢が動くのか?――
 「ダニエル殿下がお出ましになるのかしら?」
 うまい具合に、ローラが話の穂を継いでくれた。
 「デラ公女とダニエル殿下の会談がセットされたということですよ」
 「わたし、絶対行くわ!アクィレイアへ!」
 ローラの突然の嬌声に、我々は皆驚かされた――もっとも、ローラが行くという訳は、驚くようなものではない……ローラがもしシャルルのような男性がタイプだとすれば、ダニエル殿下は……それ以上は、もう言わなくとも分かると思う。――敢えて付け加えるなら、殿下には、「男にしとくにはもったいないような」という形容がぴったりなのと、たいそう病弱でいらっしゃるという事……
 「ダニエル殿下って、見てるだけでうずいちゃうわ……ねェー、そうでしょ、デイテ?」

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