試行錯誤のイノベーション
日経電子版の記事【ハチに頼らずトマト受粉 カゴメ農場の挑戦】は、イノベーションを生み出すのに欠かせない『試行錯誤』が良く見える好リポートだと思います。
そこで、まず記事からその流れを整理してみると――
▶受粉をめぐる試行錯誤
(1)『前提条件』・・・結実には受粉が欠かせない。
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(2)『カイゼン前』・・・従来はハチによる受粉。
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(3)『問題点』・・・小さなハウスが大部分を占める国内に、ハチを大量
生産する企業がない。
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(4)『課題』・・・やむなく海外を使うが、1ヘクタールで数百万のコスト!
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(5)『試行錯誤』・・・例えば、特殊なホルモン剤をスプレーで吹きかける
方式は、規模が大きすぎて無理……
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(6)『ブレークスルー』・・・トマトの花を激しく振動させ、雄蕊から花粉
を飛ばして人工的に受粉すればいい!!
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(7)『問題点』・・・上から垂らしたひもを茎に巻き付けるオランダ式の
栽培方法を採用しているため、ひもが振動を吸収して
しまいトマトが思ったように揺れない。
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(8)『解決策』・・・「ひも」を「ワイヤー」に変え、かつ、「巻き
つける」のではなく「クリップで留める」方式に変更。
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(9)『成果』・・・ 1日1回10秒程度揺するだけで、電気代がかさむことも
ない!
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(10)『副産物』・・・「ひも」方式だと茎がねじれトマトがばらばらな方向
に実るが、「ワイヤ」方式ではほぼ同じ向きに実り、
省力化できるロボット収穫が導入しやすい。
この一連の流れ『試行錯誤』からは、事業課題解決のために、諦めずにPDCAサイクルを回していく過程で、ブレークスルーが生まれ、さらに、そこから良い連鎖が起きて、ロボット収穫による省力化へと繋がっている事が分かります。まさに、試行と失敗を繰り返しながらも解を探求し続け、徐々に見通しを付けながら解へと至る『試行錯誤』、その過程で生まれる『ブレークスルー』こそ、イノベーションの核心ではないでしょうか。
▶イノベーションに至る道
(1)課題解決を諦めないパッションと探求心。
(2)何よりも大切なブレークスルー。
(3)ブレークスルーをプロダクトに実装する工夫。
(4)革新的な方式がもたらすポテンシャルを余すことなく活用する。
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