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言葉の『意味』と『意図』~音声翻訳にどこまで任せるか~

 日経電子版の記事【音声翻訳で外国人と話せる? 真意つかむのは人、認識】は、通訳機の使い勝手を試した好リポートだと思います。



 記事などから、一般論として音声翻訳の課題をピックアップしてみると――

▶音声翻訳の課題

① 文章に主語や目的語などの省略があると精度が落ちる。

② 文章に主語や目的語などの曖昧さがあると精度が落ちる。

③ 意味不明の発言が返ってきた時、自分の発言が正しく伝わらなかった
 為か、相手の発言が正しく翻訳されなかった為か不明である。

④ 一度に翻訳できる量に制約があると、発言を細切れにする必要がある。

⑤ 一文が長いと誤訳が目立つ。

⑥ 言葉の微妙なニュアンスの違いが難しい。

⑦ 若者言葉の「やばい」など、良い意味にも悪い意味にもなる言葉
 難しい。



 これらの課題の中では、AIが、文章全体を考慮するなど、その学習を質的・量的に深めていく事で精度の上がっていく部分も大きいと思われます。

 ただし、そもそも、『会話』というのものは、ボディーランゲージや過去の経緯など膨大な情報を伴って成立しているものです。音声翻訳の機械では、精度の向上によって言葉の『意味』は正確に翻訳できたとしても、言葉の『意図』までは翻訳しようがありません

▶言葉の『意味』と『意図』

●『意味』=その言葉の文章としての意味。

●『意図』=その言葉で相手に伝えようとしている内容。



 人間というのは、便利な機械が出来ると、ともすれば全てを任せてしまいがちですが、今回の事例のように、例えば『音声翻訳』であれば、相手の発言の『意図』を判断し汲み取る作業は、当然当事者である人間にしか出来ない部分である、と考えられるのです。



#COMEMO #NIKKEI

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