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『天使の翼』第10章(120)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたし達は、ラプラスの郊外に初めて民家が見え隠れしだした辺りで、飛行艇を何食わぬ顔して着水させることにした。この水の惑星では、ちょっとした広めの水面などどこにでもある。ミラーが盗難届けを出すはずはなかったし、宇宙港周辺の空域を除いて、もともと圧倒的に数の少ない惑星内飛行機械は、いかなる管制も受けていなかった……
 
 ――いろいろと収穫はあったものの、とんでもない通過点となってしまったラプラス。
 わたし達は、昼過ぎには、むっとする暑さのラプラス市街へと戻っていた。ストレスに睡眠不足は否めなかったが、わたし達がぐったりしているのには訳がある。
 わたし達は、計画通り、植民農家と思しき民家のすぐ前に広がる湖に降り立つことができたのだが、何と、そこから街までの足となったのが……そう、例のウォーター・ホースだったのだ。と言っても、ウォーター・ホース・サブマリン――今となっては快適だった、あの、フランクの独創的な発明物などではなく、直接彼らにまたがって、連続する水系を伝い移動してきた……。フランクが大昔の入植者達の移動手段だったようなことを言っていたが、想像通りの結果、全身ずぶ濡れとあいなった。防水の端末はよいとして、もしギター・ケースが防水仕様でなかったら、と思うと……

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