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『天使の翼』第11章(4)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしとシャルルは、はっきり言って危険人物、本来の使命からすれば随伴した出来事に過ぎないことどもから足が付いて、いつどこから捕吏の手が伸びてきてもおかしくない状況だ。
 その後、わたしの心は千々に乱れ、あれこれと思い悩んで、少しもまとまらなかった。
 ようやく、アンコーナ到着前の数時間ほど、重苦しい睡魔が、わたしの心の中で主導権を握った……
 
 グラグラッと腕を揺さぶられて、わたしは、がばと目を覚ました。
 先にワープの眠りから醒めたシャルルがいた。
 「アンコーナだ」
 シャルルに促されて船窓を見やると、惑星の夜の側が視野いっぱいに広がっていた。
 サンス大公国第二の人口を誇る星だけあって、人工の灯かりが、くっきりと大陸の縁を浮かび上がらせている。何故か、内陸部に大きな灯かりの塊は見当たらない……
 前もって調べてあったのか、携帯端末で情報を仕入れたのか――恐らく前者だと思うけれど、シャルルが教えてくれた。
 「――この星の上で営まれる人類の文明は、サンス大公国の中でも最古の部類に属するのだけれど、星自体の地質学的年代は、幼年期と言っていい位若いんだ。プレート活動、造山運動も活発で、内陸部には険しい山々が連なっている。人口の都市部への集中は、90%を超えている……」
 「そう言われると、残りの10%が気になるわね」
 シャルルは、したりとばかりに頷いた。
 「アンコーナの人々が内陸部へ行く理由は何か?――それは、端的に言って、観光・林業・鉱山、そして……」
 「そして?」
 「狩猟業」

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