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『天使の翼』第11章(37)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「――SSIPは、犯罪組織の変種のようなものだから、敵に回すと、しつこいし、何を仕掛けてくるか分からないわ。目的のためにはどんな悪辣な手もためらわず使うから、デラ公女といえども、恐れは覚えるはず。彼女は馬鹿じゃないから、相当に勇気のあるところを見せたわね。逮捕劇は、グラン・サンス現地時間の早朝のニュースで流れたわ。完全に秘密裏にことを進めた。電撃的にね……。デラの性格からして、自己の利益のためにやったのではないことは確かだわ。SSIPのごとき組織がセラ公女と結びついて国権を掌握するような事態を未然に防いだのよ」
 「セラとの関係はどうなったんだい?」
 「事件にセラ公女の名前は一切出てこなかったわ。セラ公女は、全くの知らん振りを決め込んでいる。デラとセラは、もともと口もきかない関係よ」
 口にこそしなかったものの、わたしの心の中では、いくつもの疑問が渦を巻いて互いに干渉しだした。たくさんの不協和音を奏でながら……

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