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『天使の翼』第10章(132)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 嬉しいことに、店の主人が声をかけてくれ、200人近くもの人が集まっていた。……チラと、スリムなジーンズのパンツをはいたマリア=アンナが見えたような?……気のせいだろうか……
 とても長く感じたが、一日足らずでこの星を出ることになった。わたしは、心の中に想念の泡を膨らませた――

  人は誰しも、捜しものを抱えた宇宙の旅人
  心に秘めた捜しものが、
   心を揺さぶり、旅へと導く――
  人を捜す人
  物を捜す人
  皆一人ひとり、捜すものがある……
  捜しものは、その人の歴史の中に
   鏤められているから
  捜しものは、
   気付かぬうちに心に芽生え
  ある日、その時が来ると、
   葉が開くようにして呼びかけてくる
  ――「わたしを捜して。
      いつまでも待っているから」
  ……わたしを捜して。
      いつまでも待っているから……
 
  旅人の心は揺れる
  ――遥か遠くへ行かなくては……
  時として捜し物は残酷だ
  ――「あなたが来てくれるまで、
   いつまでも、
   涙を流して、泣いています」
  ……いつまでも、涙を流して……
 
  旅人の心はもだえる
  ――どうすれば見付けられる!
  わたしの捜し物よ!
  出会いは、意図してもかなわず
  名だたる星の大都会の人混みに
   在る訳でもない
  最果ての辺境の星で、
   捜し物は、じっと
   あなたの来るのを
    待っているかも知れない
 
  ……
  わたしは、祈る――
   どうか、わたしが、
    捜し物の傍を通る時、
   わたしの心が曇っていないように
   心の目と耳は、簡単に他の事に
    気を取られてしまうから……
  だからわたしは祈るのだ
  日々の生活に埋もれながらも
  必ず日に一度――
  
  わたしの愛しい捜し物のため


(第10章 完)

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