《連続投稿547日目》進化するコンビニのオペレーション~未来型コンビニの4種の神器~
日経電子版の記事【ファミマ、商品陳列用ロボ導入 人手不足緩和へ】では、ファミリーマートがロボット開発ベンチャーとのアライアンスで、VR端末を使った遠隔操作で店舗の商品を陳列できるロボットを導入する旨リポートされています。
さっそく、記事からこの驚くべきロボットの特徴を整理してみると――
▶商品陳列ロボットの一例
① 離れた場所で操作できる=一人で、移動することなく、複数店舗の陳列
ができる。
② 店舗で必要な従業員数を減らせる=人手不足の緩和に繋がる。
③ ロボットは人とほぼ同じ動きができる。
④ 人間と同等の作業効率(品出しのスピード)・陳列できる品数の大幅増
が目標。
⑤ 遠隔操作は自宅からも出来る。
⑥ 商品陳列の他、調理や、物流倉庫で棚から商品を取り出す作業などに
も。
など
最初この記事のタイトルを見た時には、思わず自動で商品を陳列するロボットを想像してしまいましたが、さすがにそれはなく、あくまで人間によるアバターの遠隔操作でした。
よくよく考えてみれば、重さも大きさも形も硬さもバラバラな商品を、往々にして混乱したストック場から探し出し、様々な形態の陳列棚・陳列場所に、不良品・先入先出(日付の古いものを手前に陳列する)・フェイスアップ(商品をキチッと前向きに陳列する)等に留意しながら陳列する『品出し』という作業をロボットが自動でこなせるようになるには、さらに言うなら、うっかり商品を取り落としてしまうようなイレギュラーな事態に対応できるようにするには、ストック場や陳列棚の規格化を初めとした様々なハードルが無数に存在しており、とても実現可能とは思えない夢物語なのかも知れません。
しかし、今回の記事のような事例は、そんな夢の『自動陳列ロボット』へと繋がる最初の第一歩である、とも捉えることが出来ます。そこで、もし将来、そのような『自動陳列ロボット』が実現したら、どのような変化が起きるのでしょうか――
▶夢の『自動陳列ロボット』が実現したら……
(1)『品出し』という作業が、人間のオペレーションを外れ自動化
される、という事は、第一に、『品出し』業務に人間という制約が
掛からない、という事。
① 時間を選ばず、例えば閉店後の深夜、照明の落ちた真っ暗な中、
赤外線で画像認識しながら稼働する陳列ロボット。
② ロボットなので、疲れ知らずで、休憩もいらず、稼働し続ける
(もちろん、充電等で、定期的に休止する必要はある)。
(2)『自動陳列ロボット』が実現しても、エンド(陳列棚の端の主要通路
に面する部分で、期間限定の催事・プロモーションなどに使う)の展開
などイレギュラーな陳列・演出がなされるスペースでは、人間が活躍
すると考えられる。つまり、コンビニの従業員は、通常の陳列棚の管理
はロボットに任せて、より創造性の必要な、また、競合との差別化に
なるエンドの業務、あるいは接客等に集中できる。
こうしてみると、『自動陳列ロボット』、あるいはそこまで進化していなくても記事に登場するような陳列ロボットには、コンビニのオペレーションを大きく変えるポテンシャルがあり、それは、①単に人手不足対策になるというだけではなく、②お客様のいない深夜にお客様の邪魔にならないように『品出し』業務の大方を終わらせてしまう等の顧客体験の向上に繋がり、また、③従業員がより創造的な業務にシフトして、人件費を店舗の差別化に直結する業務に集中することができるようになるのです。
ここに、改めて、近年進化の著しいコンビニのオペレーションを整理してみると、それは、おおむね4つありそうです――
▶未来型コンビニの4種の神器
(1)『レジ無し』・・・セルフレジ・無人レジどころか、商品の決済その
ものが、カメラやセンサーによって自動で完了し、
顧客は決済にまつわるストレスから解放され、店舗は
文字通りレジ業務から解放される。
(2)『電子棚札・デジタルサイネージ』・・・POPの付け替え等の作業は
一切なく、ダイナミックプライシング・一人ひとりの
顧客の属性に合わせたレコメンド等にも対応。食品
ロス削減に繋がるタイミングの良い値下げなども。
(3)『自動陳列ロボット』・・・(上記で検討)
(4)『自動発注』・・・通常の売場の発注はAIによる予測に委ねて、値下げ
や廃棄などのロスもチャンスロスも少ない自動発注
へ。人間はイベントなどイレギュラーな発注に集中。
未来型コンビニの実現は、まさに、「売り手良し」・「買い手良し 」・「世間良し」の三方良しであり、今後の動向から目が離せません。
また、このようなオペレーションの進化は、他の様々な業態、スーパーやドラッグストアなどにも広がっていくのかも知れません。
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