『天使の翼』第10章(93)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
ローラがいろいろと興味深い余談を披露している最中だった――
突然、ウィル・ミラー氏が、高い笑い声を上げた。
「まあ、どうでもいいけどよォ!」
それと同時に、警備兵――この別荘に着いた時、人数のちょっと多いような気のした、あの警備兵がなだれ込んできた。
「おっと、動くんじゃねェ!准将閣下」
クレー准将の手には、いつの間にか銃が握られていたが、たちまち警備兵によって取り上げられてしまった。
「伍長、何をする!」
フランク長官が上ずった声を上げた。
「長官閣下、こいつは伍長なんかじゃねェ。俺の部下だ。見たことない顔だろ!」
長官は絶句して、目を白黒させた。
「最初に言っておく――」
ミラーが、一人悠々とソファーにふんぞり返って、宣言した。
「――俺のターゲットは、フランク一人だ。今、この星は……嫌、他の星もだが、政府のやり口に対する怒りで爆発寸前なんだよ!ハハ、そこで、俺は思い付いたって訳だ。反抗分子の振りをしてフランクを誘拐し、たっぷり大公の野郎から身代金をせしめてやろうとね」
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