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『天使の翼』第10章(60)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、ミラー氏に手招きされるまま、彼と長官、巨漢二人の間の狭い空間に席を占めた。ギターは、ソファーの後ろに立てかける。……なんだかとても暑苦しい……と、不思議なことに、シャルルは、いつの間にか、ローラと別な男性の間に座らせられている……魔法でもかけたの?
 「次なる登場人物は――」
 ローラが言っていた。うまいことシャルルを隣に座らせて、少しハイテンションになっているように、わたしには見えた。
 「――がらりと毛色が変わって――」
 「『毛色』ときたか!」
 ミラー氏の一言に、――シャルルを除く――男達が笑った。
 「……歴史学者のニコラス・ハーゲン氏よ」
 「歴史上、残念ながら、『毛色』の違いが重大な――往々にして悲劇的な役割を演じたことだけは、申し上げておきます」
 このくそまじめな発言に、またも男達が爆笑した。――少しばかり不謹慎……
 ハーゲン氏は、長髪を振り乱した、やせぎす長身の人物で、今の発言は、まさにいかにも、という感じ。何やらとっつきにくく、信用ならない臭気を発散している。教授、ということだが、どうせ三流の大学に決まっている……

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