コロナ危機を乗り越えていく店舗とは~ユニクロ原宿店に見る~
日経電子版の記事【ユニクロ、東京・原宿に8年ぶり出店へ】では、郊外型路面店が主だったユニクロが、その知名度を上げ、「フリース」ブームへと繋がった原宿店(その後2012年に閉店)が、8年振りに原宿に帰ってきた事がリポートされています。
コロナ危機が流通サービス業界に突き付けた2つの大きな課題、①ソーシャルディスタンスと②オンライン化の加速(テレワークなど)をどう乗り切るのか、リアル店舗のあり方が問われる中、顧客接点の潮流が2000年代に始まった都心回帰(駅ナカなど)から郊外型店舗や地元の商店街に大きく逆流している状況で、原宿という都心の一等地に再進出するユニクロの最新型店舗は注目度大と言えます。
さっそく、記事やユニクロ原宿店のサイトなどから、その店舗の施策、デザインを整理してみると――
▶ユニクロ原宿店のデザイン、2つのポイント
(1)『マネキンのデジタル化』~マネキンからディスプレイへ!~
人気のインフルエンサーや消費者の投稿したコーディネート画像から
気に入ったファッションを選んで、それに似た商品をユニクロとGU
から探し出せるアプリ「スタイルヒント」を活用して、店内に240台の
ディスプレイを設置し、①欲しい商品が店内のどこにあるのかチェック
したり、②そのままQRコードを使って通販で購入することもできる。
⇨リアルなマネキンの量的・質的な限界を超えて広がる着こなしの提案。
⇨リアルなマネキンと違って、商品の陳列場所を教えてくれたり、ECに
誘導してくれる双方向性がある。
⇨リアルで確認してネットで買うというUXを実現。
(2)『ショップのインフォメーション化』~先行販売・限定販売なども
絡め、小売りの現場から情報発信基地へ!~
トップアーティストなど豪華なコラボレーターとコラボしたUTの
グラフィックTシャツやUTグッズのコレクションを原宿店限定で販売
したり、先行販売するなど、「新しいファッション」・「新しい
カルチャー」を情報発信する場としての機能が強化されている。
⇨店舗には、ただモノを売るだけでなく、最新の情報を発信する、という
価値がある。
⇨日本のポップカルチャーの中心地である原宿という『都心』の価値を
最大限活用する。
⇨外部の情報発信(取材など)に頼らず、自らが情報の発信源になれる
店舗は強い。
大きくは上記2点、『マネキンのデジタル化』と『ショップのインフォメーション化』だと思われますが、他にも、同店のオープニングに登場したアーティストらによる特別な「Spotifyプレイリスト」など『ハレの演出』もあり、コロナ危機を乗り越えていく店舗のポテンシャルがひしひしと感じられます。
『マネキンのデジタル化』などのデジタル化の施策によって①店舗の間口をバーチャルに大きく拡大し、また、情報発信機能によって②店舗の魅力を大きく向上させる施策からは目が離せません。
(付記:2020年5月19日、皆様のおかげをもちまして、noteへの連続投稿が500日を達成できましたことに、改めてお礼を申し上げます。下記の拙稿で振り返りをしています。)
《連続投稿520日目。
当ページにご来訪いただき、ありがとうございました!》