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人口の100%を顧客にする

 日経電子版の記事【アウトドアメーカーは都市で成功できるか スノーピーク「楽しいまま! 」成長を続ける経営(第3回)】は、アウトドアメーカー「スノーピーク」が、上場を通して、人口の100%を顧客対象とする施策に舵を切っていく物語です。

 


 そもそも、企業の顧客対象は、①その企業の事業領域に関わる(例えば既にアウトドアを楽しんでいる)消費者を対象にいかに自社製品をアピールするか、また、②その事業領域(記事の事例ではアウトドア)に関心を持つ消費者をいかに増やしていくか、という観点で見られがちです。

 ところが、記事の事例では、企業が、その事業領域の持つ根源的な存在意義、ユーザーにとってのベネフィットを問い直して、その人間にとって普遍的なベネフィットに連なる領域、つまり人口の100%に関係する領域へと事業を拡張していこう、というフロンティア精神にあふれた発想が見られるのです。

 具体的には、主要顧客であるキャンパーが、キャンプを通して心身をリフレッシュさせるそのベネフィットを、人間本来の鋭敏な感覚、野性の感性を取り戻す「人間性の回復」と再定義し、「人間性の回復」=人と自然をつなぐことをメインテーマにして人口の100%を顧客対象とするのです。



 顧客層の拡大、市場の拡大は、企業にとっての至上命題ですが、自社の事業領域のもつ普遍的なベネフィットをブランドのコンセプトとして人口の100%に訴求していく施策には卓越したもの、ビジネスパーソンのあるべきフロンティア精神とは何なのか、その一つの答えを見たように思います。



#COMEMO #NIKKEI

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