『天使の翼』第10章(71)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
一同は、無言で傾聴していた。わたしは、シャルルがやりすぎやしないかと、ひやひやした。シャルルにとってはどうってことなくとも、聞いている方にとっては、感銘を受けるだけでは済まないことがある。
「――したがって、『ぬいぐるみ』は、神へと通じ、神は、最初に言ったように、不滅への前提条件です」
聞いている者は、しばしその言葉の余韻に浸った。いろいろなことを考えさせられるのだ。……わたしは、『ぬいぐるみ』のような些細と思われることまで、そのように重大であるとするならば、人類の生存と、その不滅への道のりが、ほとんど奇跡の連続のように思えた……
その後、この話題については、滅びることは美につながる――そう言ったのはフランク長官だ――とか、貨幣制度の本質が人類の発展を支えている――これは、ウィル・ミラー。わたしは、含蓄のある見解だと思う――とか、相当に盛り上がった。……もしかしたら、トークのレベルを上げること自体が、シャルルの目的だったのかも……。そうすれば、必然的に、質の高い情報の量が増える。
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