『天使の翼』第10章(58)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
件の男性は、野太い抗議の声を上げていた。
「つまり、俺は、この部屋にいる男の中で一番下っ端って訳か?」
「そんなことは言ってないわ。そもそも、下っ端って言うけど、何を基準にしているの?社会的地位?」
「はっ?……」
男性は黙ってしまった。
「順番なんてどうでもいいの!男の価値は、ずばり知性よ……そして、キュートかどうか」
わたしは、勝手なこと言ってるわ、と思ったが、次の瞬間、あら、表現の仕方こそ違え、わたしの基準と妙に似通っている、と気付いた。
「――あっ、それと清潔感のあることね」
(うん、うん)
その男性は、自分で自分の全身を嘗め回すように見て、鼻をくんくんさせ、周囲の男性陣に向かって両腕を広げて見せた。
失礼ながら、今ローラの挙げた三条件を全て満たしてらっしゃらないようで……
わたしの心は、ちょっぴりローラとの距離を縮めた。――ローラの三条件、バンザイ!
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