『覆面デバイス』のポテンシャル
日経電子版の記事【ロームや東大など、EV向け無線給電を開発 走行中に異物入らず】は、タイヤホイール内に受電部を搭載し、電気自動車が走行中に道路からワイヤレスで充電できる給電システムに関するごく短いリポートです。
また、同じく【NTTドコモ・AGC、「ガラスに見える」基地局 窓にアンテナ、都内で導入へ】は、ビルなどの窓ガラスの内側に取り付ける板状ガラスのような携帯電話向け基地局アンテナに関するものです。
この2つの共通項は、特定のデバイスを、全く異種のプロダクトの中に(分からないように)組み込んで、課題を解決するというもので、仮にこのようなデバイスを『覆面装置』、『覆面デバイス』と呼ぶなら――
▶『覆面デバイス』とは
① 特定のデバイスに特有の課題を、このデバイスを他のプロダクトに組み
込むことで解決するモノである。
② その特定のデバイスは、他のプロダクトに組み込まれることで、
本質的な課題が解決するだけでなく、省スペース・目立たない(目障りで
ない)・小型化などを実現する。
③ 『覆面デバイス』は、他のプロダクトに組み込まれることで、例えば、
今まで設置できなかったような場所でも活用できるようになる。
このような『覆面デバイス』として、改めて記事で取り上げられた事例を見てみると――
▶『覆面デバイス』の事例
① タイヤホイール内に受電部を搭載し、電気自動車が走行中に道路から
ワイヤレスで充電できる給電システム
● 受電部が車体の下にある従来方式では、金属の異物が入ると、給電を
止める必要がある、という大きな課題を解決。
● 次世代材料「炭化ケイ素(SiC)」を使うことで、コア部品の小型化が
実現。
② ビルなどの窓ガラスの内側に取り付ける板状ガラスのような携帯電話
向け基地局アンテナ
● 基地局を建物の屋上・壁面に設置する従来方式では、設置場所が
限られ、また、街の景観を損ねる、という大きな課題を解決。
● 「窓の基地局化」により、アンテナの半径100~200メートルのエリア
に電波が届き、データ通信量拡大に対応できる。
『覆面デバイス』の事例としては、例えば、ショップのショーウィンドウなどに映像を投影するテクノロジーなど、様々なものが考えられ、発想の転換によるイノベーションの好例だと思います。課題解決の手法の一つとして大きなポテンシャルがあるのではないでしょうか。
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