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『天使の翼』第10章(61)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 そして――
 「こちらは――」
 その人物は、ある意味わたしが一番注目した人物だ。サンス大公国宇宙軍の正規の軍服に身を包んでいる。
 「――我らが連合艦隊の重戦艦G-ムーンⅢの艦長閣下、アンドレ・クレー准将!」
 明らかにローラは、この軍の客人に一目置いていた。こちらの男性も、額の辺りが薄くなっていたが、その物怖じしない視線といい、ハンサムといってよい。それにしても、連合艦隊の……
 「あの有名なサンス連合艦隊の艦長殿が、よく休みを取れましたね」
 シャルルだった。待ってました――シャルルのさりげない仕切り。この会合は、情報収集のまたとないチャンスだ。
 「何、ちょうど帝国宰相の国葬の日取りが決まって、司令長官殿下が、昨日出立なされたのです。この機会に、休みを取ってなかったものから優先で、一時帰郷を許されたのですよ」
 と言うことは、クレー准将は、この植民星の出身なのか……。辺境の地から立身するには、軍に志願するのは、優先順位の高い手段だと思うけど、本当のところは、彼は、何を夢見ていたのだろう?……後で聞いてみたい気もする――

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