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世界初の意味するもの~技術・人間・社会~

 少し前の日経電子版に、人間とテクノロジーの関係を象徴するような記事【米ヴァージン「宇宙旅行」成功、乗客乗せ高度90キロへ】が掲載されました。世界初の民間宇宙旅行は、改めて人間とテクノロジー、そして社会との関係について考えさせてくれます。



 世界初の民間人の宇宙旅行は、文字通り『始まりの始まり』です。その意味するものは、非常に大きいと思います。
 第1に、民間での宇宙旅行を夢見た人たちがいて、第2に、民間宇宙旅行を事業化しようと考えた人たちがいた。そして、第3に、実際に民間宇宙旅行を事業化した人がいて、第4に、その安全性に賭けて乗船した民間人がいる。その事実の重みは、人間の宇宙時代の歴史の色刷りの1ページに値すると思います。
 SFのようで信じない人もいるかも知れませんが、いつか、宇宙旅行がコモディティ化して、ごく普通の事となる、その最初の大きな第一歩が記されたのです。テクノロジーの進歩は、やがて、テクノロジーの民主化をもたらし、人類の夢を実現する。民間宇宙旅行は、まさにその典型的な事例になるかも知れません。


 ここで、改めて技術・人間・社会という3者の関係を紐解いてみると――

▶絡み合う技術・人間・社会の進化

進化し続けるテクノロジー

将来の技術水準に対する推測・期待

夢のテクノロジーを使ったプロダクト・サービスの夢想

事業化

開発過程

最初の商品(プロダクト・サービス)

初期の顧客(リスクを取るイノベーター)

改良

コモディティ化(普及)

社会の変化


 技術的な夢が、画期的なプロダクト・サービスの夢となり、事業化、開発、そして発売と、その実現可能性が0%から100%へと上昇していく。実現した後は、改良が重ねられ、コモディティ化したプロダクト・サービスは社会のあり方までも変えてしまう。その商品が社会に浸透する普及可能性が0%から100%へと上昇していく訳です。


 民間での宇宙旅行という世界初を通して見えてくるのは、人間の様々な営みが、人間とテクノロジーの関係性のなかで形作られ、育まれている、という事です。人間・テクノロジー・社会、この3者は切っても切れない関係にあり、だとすれば、テクノロジーの進歩による社会の変化が、人間にとって正しいベクトルを持つようにコントロールすることは(何が正しいか議論したり、互いの意見を尊重することを含めて)、人間にとっての最重要課題の一つである、と言っても過言ではないと思います。

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