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『GRIT やり抜く力』は本当に必要か

子どもの親・教育者にお勧め度:★★☆

「情熱」と「粘り強さ」が成功の鍵だった!

「なんと古典的で根性論的な主張だろう」と最初思いました。
最近ではあまり流行らない主張ですよね。
でも、何かずっと探していたような主張でした。

『GRIT - やり抜く力』という本の主張です。
アンジェラ・ダックワース。
全世界で話題になり、オバマ大統領にも影響を与えたという...

グリット

才能やテストの点、学歴よりも大切な事

本書で紹介されている様々な研究結果は、将来の収入や就職に大きく影響を与えていたのは、「才能」や「テストの点数」、「IQ」、「いい学校への入学」などではないという事を示していました。
大きく影響していた力、それは「やり抜く力」だったのです。

特に学生時代、頻繁に行う課外活動で2年以上継続して頑張った子は、大人になって成功している可能性が非常に高いのだそうです。
この場合、課外活動の種類やその中での本人の役割はあまり影響しないんだとか。

あなどっていた「やり抜く力」

正直「やり抜く力」って、古くさいと思っていました。
昔ながらのスポーツチームや根性論的な集団で、大切にされているような。逆に、最近はやりの興味開発のような習い事では、この力は重視されていません。

でも、思い返せば自分も小学生、中学生、高校、大学とそれぞれで2年以上何かを続けていたわけで。
継続して努力することが、間違いなく自分を成長させる。
その事を知らず知らずに学んでいたと思います。

本書でも、そこがとても重要だと指摘します。
つまり、才能ではなく、努力の継続が本質なんだと。
(なんだか、書けば書くほど当たり前なように感じますが、意外と盲点だったりすることを本書を読んでいて痛感しました)

本能は才能を重視してしまう

例えば、才能を重視する人。
この人は、失敗や負けた時に、原因を自分の才能のなさに求めます。
すると、努力で失敗や負けを克服しようという動機がうまれず、そこで挫折をしてしまいます。

「いやいや、さすがにそんな幼稚な考えしないよ~」
と思った方、ちょっと想像してみてください。

目の前に、あっと驚くようなすごい人を見たとき
「すごい才能だ!」
と、つい思ってしまわないですか?
それは人間の心の防衛本能がそうさせているようです。

すごい人を見たときに、「どうしたらあんなふうになれるのか」と考えてしまうと、それができていない自分と比べてしまい、引け目を感じ、心に傷を負ってしまいます。
それを防ぐために、代わりに「すごい才能だ」と考えることで、我々はそこで思考停止をさせ、自分の心を守っているのです。

継続した努力で能力が伸びると知っている人

逆に、才能よりも継続した努力を重視する人はどうでしょう。
この人が失敗や負けた時には、自分の努力の足りなさに原因を求めるでしょう。
そんな人は、継続した努力を積み重ねれば、今の自分よりも成長できるという希望が常にあります。
だから、一度は大いにへこたれても、また起き上がって努力を続けられるのです。

本書では、こうした「才能の過大評価」を否定することに大きなエネルギーを使っています。

なんでも、ずっと続けるべきか?

一方で、本書は何でも最後まで続けるべき、やめるべきではない、と主張しているわけではありません。
自分の中に最上位目標を持ち、その目標に合致していないことであれば辞めてしまっても構わないと言います。
ただし、辞めて余った時間は、最上位目標をやり抜くために使うべきだと。

なるほど、自分が小さい時に嫌で嫌で仕方がなかったことを、勇気をもって辞められたとき。
それは今考えても、よかったなと思えるのです。

そうか、この最上位目標と、それを達成するための複数の中間目標の取り方が、情熱を持って粘り強く続けられるかの鍵になってくるのだなと思いました。

「やり抜く力」を育てるために最も大切なこと

最後に、本書では子ども達の「やり抜く力」を鍛えるために最も重要なのは大人の姿勢だと指摘します。
例えば、親が自分の人生の目標に対して情熱と粘り強さを持って取り組んでいたら、それが一番の「やり抜く力」を伸ばす育て方だと。

なるほど、だから僕も情熱と粘り強さをもって生きよう。
「やり抜く力」を鍛えていこう。
そう思えたことも、本書を読んでよかったことでした。



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