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「非主張的自己表現」の呪いから抜け出せない妻たち。

「突然、妻が怒り出し、別れると言い出したんです……。」

いつもは自分の意見を言わず、夫の意見に逆らうこともない。

そんな妻が、突然人が変わったかのように怒り出す。

そんな話を何度も聞きました。

妻には何も不満がないと思っていたのに、一体どうしたらいいのか……?

夫への怒りはやがて嫌悪感へと変わり、そして無関心や婚外恋愛へと発展していく。

なぜ、突然、妻は怒り出したのか?

その背景には、「非主張的自己表現」というコミュニケーショントラップが存在します。

なぜ今まで、妻は何も言わなかったのか?

この問題の原因は、女性側の話を聞く中でわかってきました。

夫に日頃から文句を言えない女性たちは、言えない不満を募らせていき、それがストレスとなり、心の中にたまっていきます。

その時は、(わたしが我慢すればいいから…)や(たいしたことじゃないから……)などと感情にフタをし、平静を装いますが、何度も繰り返すうちに雪のようにストレスが降り積もり、いつか大雪崩を起こすのです。

「夫婦・カップルのためのアサーション」ではこう書かれています。

まず、自分の言いたいことを抑え込むことによって、自分自身にストレスがたまります。そして、それが抑うつ感や無力感などを伴う心身の変調につながることも少なくありません。また、自分の心の中にあることを言っていないにもかかわらず、パートナーが気づいてくれないことに対して次第に怒りをためていき、最終的に爆発させる人もいます。

夫婦・カップルのためのアサーション P87

自分の意見を抑えることでストレスが生まれ、気がついてくれないことに怒りを覚えるようになる。

では、なぜ妻は、抑うつ感や無力感が生まれるほど、自分の意見を言えなかったのでしょうか?

ぼくがお話を聞いている中で多かった理由は、「自己犠牲を払いすぎている」「自己評価が低すぎる」といったものでした。

自己犠牲に慣れてしまう女性たち

共働きだけど、子どもの体調悪化による保育園からの呼び出しはいつも自分が応じていた。

自分と子どもたちが体調を崩してしまい、残業中の夫に早く帰ってきて欲しいと伝えたが、取り合ってもらえなかった。

家事育児の比重が自分の方が大きいけれど、夫は仕事で大変だからと耐えてきた。もしくは、「母だから」「妻だから」負担が多いのは当たり前と自分に言い聞かせていた。

日常的に自己犠牲を払うことが当たり前となり、夫に対して無意識のうちに服従的な態度を取るクセがついてしまった。

そんな女性の話をいくつも聞きました。

彼女たちは、男尊女卑の思考に取りつかれているわけでもなく、家父長制に賛成しているわけでもなく、ただ慣れてしまったんです。自分が犠牲になることに。

そして、自分は「母だから」これくらいやるのは当たり前。子どもに対して無償の愛で応えないといけないと、みずから自分を追い込んでいきます。

時に、夫からの「君は母親なんだから」という言葉は、彼女たちの自己犠牲をさらに加速させます。

その結果、違和感を感じてもその感情を飲み込み、精神に負担がかかっていることに気づかず、みずからを犠牲とし続けるのです。

「母だから、妻だから」という幻想のもとに心身を酷使し、気がつけば夫に不満を言えない人間になってしまった女性がたくさんいました。

自己評価が低く自信を持てない女性たち

自分より夫の稼ぎが大きい経済力のアンバランス性、女性は声高に意見を主張してはいけないというジェンダー感覚、母の愛が一番という母性志向などにより、多くの女性が自己評価を大きく下げていました。

自分への評価が低いと、夫に対しても強く意見を主張することができず、言い返されても反論することができなくなってしまいます。

また、日常生活でのコミュニケーションにおいても、小さな主張すらできなくなり、自分に対する価値を低く見積もるようになります。

わたしなんてたいした存在じゃないんだ。

わたしの意見なんて意味がないんだ。

わたしは夫から大切にされる価値はないんだ。

次第にそう思うようになります。

ですが、夫としては妻からの反発がないため、夫婦関係はうまくいっていると思いがちです。

夫は「きっと妻は何の不満もない」ととらえがちですが、それは大きな勘違いであり、妻は単に自己評価を下げ、自分の殻へと閉じこもっているだけなのです。

多くの女性と話す中で、ぼくは自己評価の低下は、生まれ持ったものというより、環境の影響が強いように思うようになりました。

育った家庭では父親や祖父が強い力を持っており、女性は強い意見が言えなかった。

職場でも強い主張をする女性は敬遠されるので、キャリア構築のため自己主張の抑圧を学習していった。

家庭と社会からの影響により、結婚相手を選ぶ際も自分が意見を強く主張する必要のない人、つまり、「自分勝手な男」を選んでしまった。

もしくは、結婚後に夫に対して服従的な態度をついつい取ってしまい、そのことに気がつかなかった。

そういった女性が多かったように感じます。

根深い「察して問題」

「夫婦・カップルのためアサーション」では、非主張的自己表現の他の要因として、次のようなものが挙げられています。

葛藤を避けたい気持ちが強すぎる。

嫌われたくない気持ちが強すぎる。

察して欲しい気持ちが強すぎる。

「察して欲しい」「言われなくてもわかるでしょ」と妻から言われ続けた男性が何人もいましたが、「察して問題」は根深いと感じています。

なぜなら、察して欲しいと言いながらも、感情を言葉にすることを拒否したり、「して欲しいこと」を態度に表さないことが多々あるからです。

わたしが不機嫌な態度を取っているのだから察して。

私が疲れ切った顔をしているのだから察して。

ねえ、わかるでしょ?

そういった心理が、多くの女性の心の底にあるのではないかなと感じています。

「夫婦・カップルのためのアサーション」にもこう書かれています。

また、皮肉なことに、察してほしい気持ちが強い人は、自分の気持ちや考えや欲求を言葉にしないだけでなく、自分でも気づかないうちにあえて表情や態度には出ないようにしていたり、本心とは反対のことを言ったり行動として表したりすることがあり、パートナーにますます気づかれにくくなるという自己矛盾に陥っている人もいます。

夫婦・カップルのためのアサーション P89-90

自分(夫)には不満がないと思っていた大人しい妻が、突然、鬼のように怒り狂い、別れると言ってきかなくなる。

その裏には、本人でも気づかないこういった根深い問題があるのです。

「非主張的自己表現」の呪いにかかってしまった女性たちは、無意識のストレスを限界に達するまでため続けます。

夫には「突然」に思える爆発は、実は妻の「非主張的自己表現」の継続により、何年も前から約束されていたものだったのです。


ーーあとがきーー

英語学校ブライチャーで発音とライティングのクラスを取っているのですが、以前よりも発音がうまくなった気がしています。(先生もそう言っていたので、気のせいじゃないはず・・・)

こないだ、海外支社から英語ネイティブの方が来社した際に、ちょっとだけ会話をしたのですが、以前よりも自信を持って話せたんです。

以前は正しい英語を話せないことにコンプレックスを持っていましたが、多少文法がアレでも、発音が良ければ言いたいことはそこそこ伝わったようです。

それから、ポッドキャストの聴き取りも以前よりしやすくなり、相変わらず初心者向けから抜け出せませんが、この二つを毎日聴いています。

But Whyは聴き取れない時が多いけど、VOAはほとんど聴き取れるようになり嬉しい限りです!

英語でも夫婦関係に関するポッドキャスト配信をいつかやりたいなーと思っているので、引き続き楽しみながらがんばります。


ーーお知らせーー

この記事は「男性向け夫婦関係改善本」のための下書きです。

下の目次の(←ここ)とある箇所の記事です。記事を書き足していき、最後は一冊の本にします。

下線がある目次はすでに書いた記事へのリンクです。クリックすると記事に飛びます。

本が完成するまで記事を書き続けますので、応援していただけると嬉しいです。

また、ぼくの夫婦関係研究へのサポートも募集しています。

サポートはポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」運営費用、取材費などに使わせていただき、毎月末にサポートメンバー向けに、活動報告記事をお送りさせていただいています。

ぼくと同じく「世の中から夫婦関係に悩む人をなくしたい」と思ってくださる方、アツを応援してもいいと思う方は、ぜひサポートをよろしくお願いします。


第一部:なぜ、あなたは妻から嫌われたのか?

◾️第一章:恋から愛への移行不具合

恋のメカニズム
○産後の妻の変化への無理解
産後の妻の変化1:オキシトシン分泌によるガルガル期突入
産後の妻の変化2:肉体と精神がズタボロになる産褥期
産後の妻の変化3:産後女性の性欲減少メカニズム
産後の妻の変化4:圧倒的な社会的孤立
産後の妻の変化5:失われたアインデンティティ
絆を構築する共同体験の欠如

◾️第二章:無から愛の生成不良

○「Who you are? 」ではなく「What you have ?」であなたが選ばれた場合

◾️第三章:夫への恨みの生成過程

○未完に終わった夫婦の発達課題
結婚前に獲得すべきだった「本当の親密さ」とは?
未確立な夫婦のアイデンティティ
親になること、夫婦になること
○非主張的自己表現の呪いから抜け出せない妻(←ここ)
○攻撃的自己表現によりエスカレートするネガティブループ
○妻の不信感を募らせる、夫の非自己開示
○時限爆弾となる「夫への恨み」
○増加する”婚外恋愛”願望

◾️第四章:セックスに関する無理解

○産後にセックスに興味を失う理由
○生理周期に伴う性欲の変化
○性に関する夫婦の話し合いの不在

◾️第五章:現状把握と事態の受け入れ

○妻の恨みの根幹を知る
○思い込みにとらわれず質問を恐れない
○客観的に自分たちを見つめる

◾️第六章:妻から嫌われる3つのパターン

○家庭より仕事を優先してきた
○家族の幸せより自己実現を優先させてきた
○妻への思いやりより自己の欲望を優先させてきた

第二部:では、どうするか?

◾️第一章:皿洗いをする前にやるべきこと

○夫婦の絆の土台となる”親密性”
○「受け止めてもらえる」安心感を妻に与える
○柔らかな感情の掘り起こし

◾️第ニ章:愛着の形成が二人の絆を作る

○柔らかな感情の共有
○相互理解という快感
○夫婦に恋愛は必要ない
○ドーパミンではなく、オキシトシンが愛を作る

◾️第三章:自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーション

→詳細考え中

◾️第四章:セルフコンパッションで関係改善の努力を継続

→詳細考え中

◾️第五章:セックスは愛の最終形態

○セックスは手段、目的は親密性への触れ合い
○性の話し合いを恐れない

第三部:フェニックスマンの特徴

○夫婦関係を改善できる男性の特徴とは?


それでは、また!







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