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出産後の"夫目線"での心境の変化-家族観-
「父親になるとはどういうことなんだろう?」
「父親として生きるとはどういうことなんだろう?」
子どもが生まれる前は考えもしなかった問いを、出産後は何度か考えました。
夫婦関係がさまざまであるように、家族関係も人それぞれです。
「これだ!」という答えはどこにもなく、もし、「これがあるべき家族観だ」と断言する人がいたとしても、それは彼らにとっての答えなんだと思います。
自分たちにとっての答えを探し続けなければならず、今でもぼくは薄ぼんやりとした霧の中をさまよう船のように、迷いの中にいます。
だけど、迷いながらも、家族と向き合うために指標としている考え方はあります。
今回のポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」では、出産後の「家族観」に対する"夫目線"での心境の変化をお話ししました。
この記事では簡単なまとめを書いています。ぜひ、ポッドキャストも聴いていただけると嬉しいです。
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◇
子どもが生まれるまで、ぼくは「家族」について考えたことなんて、ほとんどありませんでした。
いつだって、頭の中は自分の願望でいっぱいだったんです。
やってみたい仕事、行ってみたい場所、経験したいこと、欲しいもの。
自分の欲望と夢の追求が自分の人生であり、結婚してからもしばらくはそういった考えのままでした。
ですが、妻が双子を妊娠しているとわかった時から、今後の経済的な心配をするようになりました。
当時のような働き方や経済状況では、子どもたちを養っていくことは難しかったからです。
この記事でも書いたように、ぼくは堅実に収入アップを見込める仕事を求め、知り合いのつてをたどり、なんとか転職することができました。
妊娠発覚からぼくの頭の中はお金の心配でいっぱいになりました。それは今でもありますが、当時は本当に収入が少なかったので、とてつもなく心配だったんです。
この思いは子どもが生まれてからはさらに強くなり、ぼくは家族を支えるために新しい職場で積極的に仕事をこなすようになりました。
毎日3時に起き、子どもの面倒を見て、そのまま出社し、夜は定時で家に帰る。
妻も辛かったと思いますが、ぼくも睡眠不足で気を失いそうになりながら働いていました。
当時、ぼくと妻は二人で何もかもをやりすぎていたんだと思います。実家やシッターやシルバー人材センターなど、頼れるところは頼りまくった方が良かったと今では後悔しています。
今日を生きるのに精一杯で、現状を客観的に見つめることが難しかったんです。
ぼくの家族観が変わり始めたのは、三男が生まれてからでした。
辛いなあと感じていることを妻に話しても大丈夫と思えるようになってきたんです。
ぼくが弱さを見せても、この人はぼくを拒否しない。
そう思えるだけの信頼関係が出来上がっていたから、ぼくは経済的な不安を妻に伝えるようになってきました。
当時、ぼくは(ぼくが死んだら、家族全員野垂れ死ぬんじゃないか)としょっちゅう心配していたんです。
収入の心配を妻にしても何も変わらないし、話す意味がないと思っていたんです。
ですが、妻はこう言ってくれました。
「あたしもいつだってフルタイムで働けるんだし、もし大変な状況になったら一緒にがんばればいいのよ」
この言葉を聞いたときから、肩から重いものを取り払われたようにスッキリしたんです。
ああ、ぼくは一人で勝手に抱え込みすぎていたんだなって。
二人で頑張ればいいのかと。
だからと言って、ぼくが仕事をだらけ始めたわけではなくて、家族に集中しべきタイミング(生まれて数年間や、その時その時で家族の課題を解決するときなど)では、仕事よりも家族を優先するようになりました。
それから、妻に弱音を吐いたことで、以前よりも覚悟を決めやすくなったなとも思うんです。
以前は、家族全員の命を背負っているようなプレッシャーに潰されそうになっていましたが、一人で背負っているんじゃなくて、妻と一緒に背負っているんだと思えると、より力が湧いてくるようになったんです。
問題が起こっても、ふたりで話し合い、協力し合いながら進むことができるからです。
家族が病気になったとき、子どもが精神的に不安定になったとき、今後の収入をどうやって増やすか考えるとき、家計をどうやって抑えるか考えるとき。
ぼくらはふたりで考えるようになりました。
妻は個人事業主なので、少しでも収入になるように小さな商売を一緒に始めてみたり、家計を抑えるために二人で方法を一緒に考えたり、また旅行先もふたりで一緒に考えたり。
以前は、家族の健康は妻がすべて担当し、家計に関することはすべてぼくが担当していました。
でも、今はすべてふたりで一緒に考えています。
それによって、だいぶ精神的に楽になったんです。
ぼくらが乗っている船がどこに向かうのか、突然の嵐にどう対処するのか、この霧はいつ晴れるのか、悩みは尽きないけれど、ぼくらは間違いなく「ひとつの船」に乗っているんです。
子どもが生まれるまで、ぼくは一人で小さな船に乗っていました。
そして、妻もまた別の船に乗せていたんです。いや、ぼくが妻を別の船に乗せていたのかもしれません。
ぼくらは小さな船を寄せ合って、川を下っていたんです。
ぼくの人生はぼくだけのものであり、妻の人生もまた妻だけのものでした。
ですが、子どもが生まれ大海原に出たことで、小舟では航海ができなくなり、大きめの船に乗り換えることになりました。
今では、一つの船に、ぼくと妻と3人の子どもたちが乗っています。
ぼくらは一つの船に乗っているんです。ぼくだけ勝手に小舟に乗り換えるわけにはいかないんです。
個人的な願望を抱くときもあるけれど、家族になったからには、「この船にみんなが乗っている」という前提条件のもとで、物事を決めていくことになります。
いつでも小舟で逃げ出せるという選択肢は存在しないんです。
その覚悟を決めることができたことで、やっとぼくは「家族が自分ごと」となり、「家族の幸せ」と「自分の幸せ」がリンクするようになりました。
妻が幸せに暮らせること、子どもたちが幸せに暮らせること。
それがぼくにとっても幸せであると、結婚11年目にしてやっと思えるようになってきたんです。
個人的な夢もあるにはありますが、それもまた「この船に乗っている」という前提条件の上で考えるべきかなと、ぼくは思っています。
悩むときもあるけれど、「家族の幸せが自分の大きな幸せ」というコンパスがあれば、進路をぶらすことなく、前へと進むことができるんじゃないかなと思うんです。
むしろ、個人的な願望だけに囚われていた独身時代より、ぼくは今の方が幸せを感じています。
それはもしかしたら、自分にとっての幸せの根源を見つけることができたからかもしれません。
◇
■アツの夫婦関係学ラジオ
#466 出産後の夫目線での心境の変化【家族観編】
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