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妻の「床上げプロジェクト」をリードせよ!肉体と精神がズタボロになる産褥期とは?

「全然、育休の意味なかったよね?」

最初の出産時の1週間の育休取得に対して、妻からそう言われたことがあります。

子どもが生まれる日から育休を取得したため、妻が退院する頃には育休が終わっていたからです。

退院後、3ヶ月ほどは自宅から近い妻の実家にみんなでお世話になり、妻のお義母さんのケアにより、妻は産褥期から無事に回復することができました。

ぼくは育休中、何の役にも立たず、妻が退院して数週間後には、三泊四日の社員旅行に参加してしまうほどでした。

産褥期さんじょくき

この言葉を聞いたことがありますか?ぼくは三人目が生まれるまで知りませんでした。

この言葉の意味を知り、妻のうまくケアすることができれば、産後直後の夫婦関係の悪化は乗り切りやすくなります。

また、もう子どもが大きくなっていたとしても、当時の自分たちに何が起きたかを知るためにも、知っておいた方がいいと思います。

産後の妻の変化2:肉体と精神がズタボロになる産褥期


産褥期とは、女性が出産し、産前の身体に戻るまでの回復期間(約6週間)のことを指します。

産褥期の女性の変化は、肉体と精神に分けることができます。

子宮が元の大きさに戻ろうとする肉体面での変化、そしてホルモン変化による精神面の変化です。

子宮が元の大きさに戻るだけなら問題ないと思いますよね。ぼくもそう思っていました。

ですが、実際には死にいたることもあるほど危険な状態のようです。こちらの体験談はかなりの衝撃です。

子宮が元のサイズに戻らないため起こる「子宮復古不全」や、子宮内に胎盤や傷やしこりががあるため起こる「晩期産褥出血」など、産褥期の女性が無理に動きすぎると、命に影響を与える出血が起こる可能性があります。

ぼくの妻は出産翌日、無理に動きすぎてしまい、二日目に体が動かなくなり、ベッドから起き上がれなくなりました。

お見舞いに訪れると、妻が腕をプルプルと震わせながらぼくに伸ばし、消え入りそうな声で「…動けない」と言った日のことは忘れられそうにありません……。

次に精神面の変化ですが、これは女性ホルモンの変化によるものです。

出産前の女性は、プロゲステロンとエストロゲンが空高く登るジェットコースターのように上がり、産後に突然急降下します。

ジェットコースターのようなホルモン変化に振り回され、そのあまりの変化に座席から放り出されそうになります。

産後、ぼくの妻は抜け毛がひどく、両手に絡みつく抜け毛を見てはため息をつき、気持ちが落ち込むことも増えました。

これはエストロゲンの減少が原因です。エストロゲンが減少することによって、不眠や気持ちの落ち込みが主な症状である産後の気分障害「マタニティブルーズ」が、約3割の女性に起こるといわれています。

出産2〜3日前から産後2週間にかけて、自分の妻が突然泣き出したり、理由もわからずふさぎ込んでしまったことはありませんか?

それがマタニティブルーズです。ぼくは、子どもを持つことに対する不安がマタニティブルーズだと思っていましたが(マリッジブルーと同じようなものだと思っていた)、産後にも起こるようです。

「気分」障害だから病気ではないのでは?と、ぼくは思っていたのですが、脳内神経伝達物質の働きの低下が原因なので、本人にはどうしようもないようです。

出産直後の妻が落ち込んでいるのを見て、「母親なんだからしっかりしないと。君がしっかりしないでどうするの」などと、励ました経験はありませんか?

産後のホルモン変化は、本人の意思ではどうにもできず、あなたの妻もどうしたらいいかわからず不安なのです。

本人もどうしていいかわからず戸惑っているので、「がんばって」と言われてもさらに落ち込ませる要因となり、いずれ発生する夫への恨みの元凶へと変わっていきます。

マタニティブルーズは産後2週間で収まりますが、それ以後も続くようなら産後うつになっている可能性が高いです。

うつも気持ちの持ちようではなく、脳内神経伝達物質の伝達不具合が原因で起こる病気です。

セロトニンというホルモンを聞いたことがありますか?

別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、ネガティブな気分を改善させ、他者に対する怒りや敵意を減らし、共感と直感を強化させ、疲労感を軽減させる働きがあります。

なぜなら、セロトニンは大脳皮質(思考の領域)、大脳辺縁系(心の領域)、前頭前野(共感・直感の領域)、自律神経、痛覚伝導など、さまざまな脳部位や神経に影響を与えるからです。

Googleが導入しているマインドフルネス、iPhoneの生みの親スティーブ・ジョブズが習慣としていた坐禅(彼は自身の結婚式を禅の師匠の元で行うほどのめり込んでいた)も、セロトニンを分泌させる働きがあるとされ、注目されています。

逆にセロトニンが減ると、不安になったり、落ち込みやすくなったり、怒りっぽくなったり、疲れやすくなったりと、あらゆる不調が一気に押し寄せてきます。

そして、産後の女性はこのセロトニンの働きが鈍ることがわかっています。産後のホルモン変化によるエストロゲンの減少が原因です。

そのため、産後の女性は疲れやすく、気持ちが安定せず、落ち込みやすい状態が慢性的に続き、さらにステップが上がると、自殺願望を含む産後うつへと進んでいくのです。

ぼくは、何人もの女性から「産後、子どもを抱えてベランダから飛び降りそうになった」と言われました。

産後うつになる女性は10〜15%と言われていますが、通院せずになんとかしてしまう方や、長く引きずってしまう方もいるため、実態はもっと多いのではないかなと思っています。

産後のホルモン変化は、人によりけりですが、産後6ヶ月ほどで元に戻ると言われています。

子宮の回復、そしてホルモンバランスの回復。

この二つが産後女性にはとても重要であるということが、よくわかりますよね。

数十年前の日本では、産褥期を「産後の床上げ」と呼び、決して無理をさせない風習があったそうです。

東野産婦人科院長 東野純彦さんの著作「知っておくべき産後の妻のこと」にも、こう書かれています。

一昔前まで、産後間もない女性は「産後の床上げまでは家事をせず、布団の上で寝ていなさい」と教えられていました。この教えは絶対で、どんなに厳しい姑でも産後のお嫁さんには「床上げまでの間は身体を休ませるように」と言う人がほとんどだったのです。

「床上げ」とは、産後の女性が心身ともに通常の働きを取り戻し、日常の生活に復帰することで、敷きっぱなしだった布団をしまうことから、そう呼ばれるようになったといわれています。

「知っておくべき産後の妻のこと」より

三世帯家族が多かった昔の日本では、産後の女性を休ませることがしやすかったのかもしれませんね。

ですが、今は実家から遠く離れた場所で出産をするケースが多かったり、実家の祖父母が高齢で頼れないこともあると思います。

そんな時は、ぼくら夫が妻の「産後の床上げ」プロジェクトを率いる必要があるのだと思います。

妻の肉体と精神の回復のため。

だからこそ、男性の長期育休(3ヶ月以上)が重要なのだと思います。

ぼくは三人目の出産時に3ヶ月間の育休をとり、やっとそれを痛感しました。あの時の3ヶ月間がなかったら、今ほどの深い関係性は築けなかったかもしれません。

ぼくにとっての「床上げプロジェクト(3ヶ月間の育休)」が終わる頃、ぼくと妻の間には確かな絆が作られており、欲を言えば(一年間の育休を取りたかったな……。)と思ったほどでした。

産後の恨みは一生ものと言われますが、この時期に妻を支えなかったことによって、多くの男性が妻から恨まれるようになります。

今さら過去には戻れませんが、「産後の妻に何が起こったのか?」を正しく理解することが、妻との関係改善の第一ステップにつながると、ぼくは信じています。

参考書籍:
「知っておくべき産後の妻のこと」
「脳科学者が教えるやっかいな脳のクセをリセットする朝5分の呼吸法」

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この記事は「男性向け夫婦関係改善本」のための下書きです。

下の目次の(←ここ)とある箇所の記事です。記事を書き足していき、最後は一冊の本にします。

本が完成するまで記事を書き続けますので、応援していただけると嬉しいです。

第一部:なぜ、あなたは妻から嫌われたのか?

◾️第一章:恋から愛への移行不具合

恋のメカニズム
○産後の妻の変化への無理解
産後の妻の変化1:オキシトシン分泌によるガルガル期突入
産後の妻の変化2:肉体と精神がズタボロになる産褥期(←ここ)
産後の妻の変化3:赤子養育のために性欲減退
産後の妻の変化4:圧倒的な社会的孤立
産後の妻の変化5:失われたアインデンティティ
○絆を構築する共同体験の欠如

◾️第二章:無から愛の生成不良

○「Who you are? 」ではなく「What you have ?」であなたが選ばれた場合

◾️第三章:夫への恨みの生成過程

○未完に終わった夫婦の発達課題
○非主張的自己表現の呪いから抜け出せない妻
○攻撃的自己表現によりエスカレートするネガティブループ
○妻の不信感を募らせる、夫の非自己開示
○時限爆弾となる「夫への恨み」

◾️第四章:セックスに関する無理解

○産後にセックスに興味を失う理由
○生理周期に伴う性欲の変化
○性に関する夫婦の話し合いの不在

◾️第五章:現状把握と事態の受け入れ

○妻の恨みの根幹を知る
○思い込みにとらわれず質問を恐れない
○客観的に自分たちを見つめる

◾️第六章:妻から嫌われる3つのパターン

○家庭より仕事を優先してきた
○家族の幸せより自己実現を優先させてきた
○妻への思いやりより自己の欲望を優先させてきた

第二部:では、どうするか?

◾️第一章:皿洗いをする前にやるべきこと

○夫婦の絆の土台となる”親密性”
○「受け止めてもらえる」安心感を妻に与える
○柔らかな感情の掘り起こし

◾️第ニ章:愛着の形成が二人の絆を作る

○柔らかな感情の共有
○相互理解という快感
○夫婦に恋愛は必要ない
○ドーパミンではなく、オキシトシンが愛を作る

◾️第三章:自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーション

→詳細考え中

◾️第四章:セルフコンパッションで関係改善の努力を継続

→詳細考え中

◾️第五章:セックスは愛の最終形態

○セックスは手段、目的は親密性への触れ合い
○性の話し合いを恐れない

第三部:フェニックスマンの特徴

○夫婦関係を改善できる男性の特徴とは?

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