架空書評:新海誠『小説 君の名は。』
※本書評はこの本を読んでない筆者がタイトルのみから連想し、架空で拵えたものです。
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DQNネームの隆盛は子どもの人生に深い哀しみをもたらす。親のエゴによって、子どもはスティグマを負い、救いようのない日々を過ごすことになるのだ。
本作は「小説」と名付けられた鈴木小説の半生を描いたフィクションの私小説である。学校では「小説君」と呼ばれており、平凡な名字とのギャップからやれ芥川だの太宰だの川端だのと、友人達にいじられ、からかわれる日々を過ごす。これは両親の小説好きに由来する名前で、小説のような人生を送ってほしいとの願いから、名付けられたものである。そんな思いをよそに、終に小説君は20歳を迎えて自らの名前を改名することになるのだが、それまでの人生は壮絶なものであった。
そう、時はDQNネーム戦国時代。小説君の周りにはむしろDQNネームが当たり前になっており、小説君などとはむしろ目立たない陰気な名前であるがゆえ、酷いいじめに合うのだ。学校のカーストは名前のDQN度で決まる。Y中学校の頂点立つのは吉本急性胃腸炎ニクラス・ルーマンモンスターハンターGポータブル宇都宮餃子出前一丁3世(よしもとたろう)。両親共々コロンビアの貴族の生まれで、親子共々権力を振りかざし、その地位をほしいままとしていた。彼女のいじめは陰湿で、小説君の海馬や小脳をどこかに隠してしまったり…とやられっぱなしなのである。
そんな小説君は高校で自分よりDQNネームの田中お布団の磁場が強いため今日は会社をお休みします(たなかよしこ)に恋をする。しかし、小説君のような雑魚ネームがよしこのような高貴なDQNネームに話しかけることなんてできず、無用に3年間を過ごし、後悔に暮れるのである。
しかしよしことは小説君が20歳の時に、劇的な再会をする。小説君がアルバイトでコロンビアの貴族を暗殺していると、同じ任務でよしこがコロンビアの日本大使館で武器を補給していたのだ。小説君は農林水産省からの依頼、よしこは文部科学省からの依頼であり、どちらが先に任務を遂行するかで競い合う形となった。そこに運命の糸が絡み合い、かつてのいじめっ子よしもとたろうも加わって、大混戦。そんなミッションの最中、小説君はよしこに振り向いてほしいあまり、法的な手続きを踏んで超弩級のDQNネームに改名する。その名前の長さは本作の半分にも及ぶ150000字。そう、名前そのものが一編の小説という、小説君からの見事な羽化を果たすのだ。その詳細と恋、そして暗殺の結末はぜひ、本書の中で確認してほしい。
本書はこのDQNネームが蔓延る現代社会に警鐘を鳴らしている。生半可なDQNネームだと、かえっていじめられる危険性があり、どうせつけるならいっそ振り切ってしまえ、とDQNネームをつけるバカ親の啓蒙書になっているのである。本作は皆さんも街でよく見ることかと思う。DQNネームをつけがちなヤンキーの車のフロントガラス下にある白いモフモフに埋もれる形で、目にすることが多い。彼等は本作を買うものの、直ぐに飽きてそこに置いてしまうようだ。ちなみに、本書の表紙はなぜか直射日光に触れると色が白く変色する素材で出来ており、日をますごとに白いモフモフと同化する様子がなお侘しい。これもまた、作者の策略なのだろうか。
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※画像出展
https://item.rakuten.co.jp/felice-vita/car-as-040/
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