【月報・コンテンツ編】6月に読んだ・見た・聴いたもの
いつも目標振り返りの月報と合わせてたのですが、今月からコンテンツは別にしちゃおうと思います。
一覧を早く知りたい方は先に目次見ちゃってください〜!
1コンテンツあたり1000~2000字ずつあるので記事全体としては長めなんですが、興味あるところだけでもぜひ!
小説:記憶に残っていること/堀江敏幸 編
ほぼ1ヶ月かけてのんびり読みました。
正式タイトルは『新潮クレスト・ブックス 短編ベスト・コレクション 記憶に残っていること』です。
「記憶に残っていること」は収録されているアリス・マンローの作品タイトルですが、全体として、何かを失いaliveな状態でなくなって記憶の中で残っていくものについて描かれていて、読み終えたあとにどこか頭の中に残ったものの余韻が響くような短編集だったなあと思います。
正直純文学(特に海外文学)はそこまでさくさく読めるわけではないので、好きなものが見つかったらいいなと思いながら読んでいたのですが、無事、うわ〜好き、とか、これは残るなあと思うものに出会うことができました。
好きだったり印象に残ったりしたのはアダム・ヘイズリット「献身的な愛」、ベルンハルト・シュリンク「息子」、ウィリアム・トレヴァー「死者とともに」。構成やフレーズが印象的でした。
「献身的な愛」はシンプルに好きでしたね。登場人物は3人で、AからCへの愛と、BからCへの愛が絡む作品だと思っていたけど、終盤でBからAの愛でもあったのか? と気付かされる構成。原題はDevotionですが、誰から誰への献身だったんだ、と読後考えさせられる作品でした。
「息子」は冒頭の方にある「何かを終わらせるには適度に疲れていないといけない」というフレーズが印象的でした。取り返しのつかないこととして、戦争と主人公の生活が重ねられていく感じ。これは好きというか苦々しさが刻まれる作品で、印象的な作品でした。
「死者とともに」はとにかく余韻の残る作品でした。結構好きだったな。夫を亡くした未亡人のところにお節介なおばさん2人が訪れるのですが、幸せな結婚生活ではなかったことをなぜか2人にどんどん話してしまう。自分を殺していたのは残された妻の方だったのか、と、ああ、私きっとタイトルの意味を考えさせられる作品が好きなんですね。「献身的な愛」もそうでしたが。
ウィリアム・トレヴァーはもう少し色々と読んでみたいです
あとは堀江敏幸先生による解説「人はなにかを失わずになにかを得ることはできない」もよくて、これ踏まえてまた読み返したいなと思いました。好きな作品は特に読み返したいな。
読みながらのメモに「記憶に残っていることとは、記憶にしか残っていないことでもある」「記憶に残そうとしたこと」とありました。
記憶に刻まれてしまったこと、記憶に刻もうと決めたこと……色んな在り方があって、既に記憶でしかないものどのように向き合っているかっていうのを全体として味わえたのがよかったなと思います。
さくさく読めるわけではないと前述しましたが、翻訳小説の文体に慣れることも実は今回の読書の目的でした。でも背景の言語を知ってると何となく飲み込み方のコツが掴めてくる感じがします。倒置法になってるところとか、日本語だったら使わないだろうなっていう指示語の使い方とか、翻訳元が何となく見えてきて、だから納得して読めるというか。何にせよもっと触れたいなと思います!
小説:蜜蜂と遠雷/恩田陸
目で見て楽しむ、音を聞いて楽しむっていう文字だけじゃ再現不可能な芸術を小説でどう表現して再現を試みるか、その描写に込められる工夫とか味とか、なんかもうこういう小説が書かれてそれを読んで楽しめるという営み自体に美しさを感じてしまいます。だからピアノが題材という時点で惹かれるものがあるんですよね。
ちなみにまず感動したのが装丁でした。カバー外したときのこの白黒の光沢のピアノっぽさ、粋すぎて感動しちゃいました。。。ちなみにこの分厚さで2段組なので本当に長い小説でした。
この本、長いのもあったのですが、私には珍しく、長編でしたが数日に分けて読み進めました。
二次予選まで/三次予選を2回に分けて/本選、と4回に分けて読んだのですね。
作中の物語のスピードと読んでいる感覚を合わせたい気持ちも少しあったのですが、最後の2回とかは別に分けなくてもよかったのに、読み終えるのがもったいない気持ちのせいだったんだと思います。
……さて、そろそろ内容の話に入りますね。
4人のコンテスタントを軸にした、ひとつの国際ピアノコンクールを巡る群像青春小説。
陳腐な感想だけど4人とも個性的で、人間としてもピアニストとしても違う生活・性格なんだけど、でも、こういう人間がこういうピアノを弾く、こういう生活者がこういうピアノを弾く、こういうピアニストはこういう生活を送る、というように「人間として」「ピアニストとして」は混ざり合っていて、分ける必要がない、分けられないものなのかも、と思わされていきました。
それだけ音楽と人間の生活が身近なものだという描写も、人間性すべてをかけて音楽に挑むのだという描写も両方あって、この2つは穏やかさと苛烈さで相反しそうだけど、根底の哲学は同じなのかもしれないですね。
ところで私は大学でピアノサークルに入ってたので少しだけイメージできるものがあったのですが、このクラシックピアノをテーマとした小説がこんなにも人を惹きつけたのってすごくないですか、って思います。
でもどんなジャンルであれ突き詰めた人間や境地には通ずるものがあって、そういう描写って読んでいて胸を熱くさせるのですよね。
私たちにも、突き詰めなくても日常的に触れかけていたり、過去に1番頑張ったことで触れかけた経験があったりするから、あの天才や秀才ばかりの物語を、いきいきと想像したり共感したり、深く感動できたりするのかなあ。
私たちも何か触れかけているはずだっていうのを裏付けるように、ピアノはスポーツ、数学、宇宙、掃除とさえ作中では紐づけられていて、比喩というか、クラシック音楽・ピアノ・国際コンクールに出る天才秀才たちと、身近な営みが絡められて描かれてたのは本当に面白かったなあ〜。
感想が一周回リマスが、「ピアニストとして」「人間として」が区別つかなくなるのは実際、作中で「これからも生きていく」と「これからも音楽をやっていく」が重ねられていたことによっても肯定できると思います。
そうやって生活とこの素晴らしい音楽家たちが地続きに描かれていたことが、私はすごく希望に感じたというか、また感想が戻るけど、私は私の生活を磨いていこうって、これは漫画ハイキュー!!のときも思ったんだけど、そういう希望をもらった気がします。
風間塵がホフマン先生に与えられた、音楽を外に持ち出すこと、これはなんかね、音楽の演奏っていう「今・ここでしかできない体験」を、小説という手段自体が「今・ここ以外に連れていってくれる体験」だから、そのメタ的な構造も私は好きだったなあ〜。
初読の感想、毎回作品の構造とか全体の感想に終始してしまいますね。今回のこれは初読ツイートを少し整理した程度だったんですが、映画を見て、続編スピンオフの『祝祭と予感』を読み終えたら改めてこの作品に対する長めの記事を書けたらいいなあ〜。
好きなキャラクターも好きなセリフもいっぱい出てきました。亜夜が好きだったなあ〜。亜夜と塵が出てくるシーン全部好きだった。
あと『蜜蜂と遠雷』の「遠雷」が何を指してるのかも改めて考えたいし、本当に、また改めて感想分書きたいです。
とにかく本当に心に響いた読書でした!
小説:透明な夜の香り/千早茜
初めて読んだ作家さんでした! 漫画貸したらコンテンツ借りるのでコンテンツ貸しますってなぜか貸されたんですけど、まあでも、すごく面白かったので貸しつけてくれてありがとうの気持ち。笑
古い洋館での家事手伝いのアルバイトを始めた主人公・一香。調香師の小川朔は、幼馴染みで探偵の新城とともに客の望むあらゆる「香り」を作るという依頼を引き受けていた。人並外れた嗅覚を持つ朔に窺える孤独。
主人公が書店員をやめてアルバイトを始めた背景も、物語が進むにつれて明らかになってゆく――というあらすじ(背表紙の文言を多くお借りしています)。
解説で小川洋子さんが仰っていて帯にも記載のある「言葉の意味を越えて、嗅覚が際立つという稀有な体験をさせてくれる小説」はその通りで、文字を追いながらも記憶と嗅覚が刺激されて香ってくるような読書でした。
そして香りもそうだけど、五感にまつわる描写が多くて、イメージを想起させる力がすごく強い物語だなという印象でした。
それは比喩としても、説明としても(あらゆる説明は比喩、というのはここでは置いておいて)。
一香が朔の声を指す「紺色の声」もそうだし、「ティーカップの底では、紅茶が茶色い染みになっていた。」みたいな心情描写、あと「起きあがるのが遅くなればなるほど朝は重くなっていく。」ていう比喩とか。
そういう没入感を与えてくれる小説の中の空気感、緩急も結構好きで、基本的に穏やかで丁寧な暮らしみたいな時間が流れているけど、依頼や事件が起こると時間がぎゅっと進む感じ。あるいは序盤の主人公の重い時間と、ある程度健康になってきた頃のリズムある生活の時間の対比とか。
人間関係の描写も人間の内面の描写もよかったですね……。
五感にまつわる描写が多かったってことはその登場人物が何を感じたかが描かれてたということになりますが、人間関係にもそれが表れていたように感じました。
登場人物それぞれ繊細さを持っていて、微妙な所作とかで窺わせる――それこそ匂わせる、直接じゃなく示す感じ。登場人物のコミュニケーションの手段としても、小説の雰囲気としてもあって、好きだったなあ。
そして、一香と朔が内面に深い世界を持ってる二人で、あまりに深いから表面上で上手く付き合えてたところからそのバランスが崩れる瞬間、本当に、物語の醍醐味って感じでよかったです。
一度解体したものをもう一度築こうとするというのは、そうしようという意志がないと発生しなくて、その意志のエネルギーが好きだから、終わり方がとても好きな小説でした。
私は再起の物語が好きなんですけど(これはヒロアカの映画特典インタビューとかで出てきてなるほど!!! と思い幾度も使わせていただいている表現)、全体として主人公一香の緩やかな再起の物語であり、一香と朔が一度関係性を解体してからまた再構築しようとする、さらなる朔をも巻き込む再起の場面で終幕する物語だったと思います。
ひどく内向的というか、自分の世界を内側に閉じ込めてる2人を中心とした香りの物語。
香りは記憶に永遠に残るから、記憶と向き合う物語でもあり、それは自分と向き合う人間の物語だと言えると思います。
そういう内省的な人間が外部=他人と関わろうとしたときに生まれる・揺れだす感情の物語だから、愛の物語だ、と私は言いたい。
年齢差的にも安易に恋愛に結びつけられない絶妙なバランスの2人、とてもよかったな……。これ続編も出てるんですね。貸してもらった本なんだけど、続き気になるな〜!
とにかく世界観や空気感に浸れる楽しい読書でした!
買った漫画リスト
め、めちゃくちゃ買ってる……。このうちね、冊数ではなくシリーズカウントで、6シリーズが紙でリアル書店で買ってるんですよ。やはり本屋には魔力がある。
7のフィーヤン本誌は、違国日記の最終話が載ってるので買いました。まだ読んでないです。今の暮らしが主に実家なのをいいことに、母に「これは私が読まないように持っていてくれ……」とお願いしたのでお母さんの部屋にある。笑
8月最終巻楽しみです。。。
同じ日に買ったのが言葉の獣と星旅少年で、この日メンタル的に疲れちゃってて、物語が必要。。。の気持ちで買ったんですよね。だから書籍代じゃなくて医療費かもしれませんね(?)。セルフメディケーション(?)。
青のフラッグは紙の本しか持ってなかったんですが、以下のカミングアウトの記事で引用したくていっそ全巻買いました。もう3年前に完結した漫画ですが、本当に、登場人物たちが妥協なく対話してる漫画なんです。ぜひ読んでみてください。終盤の方ですが、記事に引用したところだけでも読んでほしいです。
ピックアップ漫画:言葉の獣/鯨庭
共感覚(?)で、言葉が独自の獣に見える少女と友達になる物語。
――このあらすじだけで気になった人はぜひ買ってください。
主人公は高校生2人、片方は現代詩とかが好きで言葉に対するこだわりが強くて、詩の授業に納得いかなくても国語の先生と話して、あなたはしっかり向き合ってくれてるよね、授業については私の力不足でもあるけど、という会話の最後に「頑張ってね」って言われたことに納得がいかない。
もう1人は共感覚(と表すにはスケールがでかいんだけど)で、誰かの言葉が生き物になって見える、関わりのないクラスメイトの名前は覚えてないような、少し変わった二人。二人は言葉の獣の世界を共有できて、人によって同じ言葉でも違う獣になることを深掘りしてその言葉について考えたり、獣のかたちから言葉の真意を汲み取ろうとしたりする。
言葉が好きでこだわりがあって、言葉を発信することや言葉を残すことの意味をきっと人より重く捉えている、それを自分の良さだと信じているけど時折自分でも面倒くさくなる――、そんな私にとってはすごく、必要な物語になったなと思います。続きが楽しみです!
映画:スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース
前作が大好きだったんだけど最高でしたやっぱり映画館で見るべき映画!
2Dと3Dアニメが交差するのに加えて絵柄のタッチも交錯していて目が楽しすぎる!
ストーリーも安心して入り込める王道感と期待を超えてくる部分とあって、本当にあっという間の2時間半でした……ていうか続編が来年また出るって知ってたのに今回の続きになる、今作ではエピソードが完結しないって把握してなくてまじでここで幕引きだと分かった瞬間、I DIDN’T KNOW THAT!!! ってなった。。。
でもそうやって驚くくらいの時間感覚だったんだよ!
そして続きものなんだ?! という叫び、同じく見た友達2人とも同じこと言ってました。笑
もう少し具体的な内容面で言うと、各スパイダーバースにスパイダーマンは1人で、ただでさえ孤独を感じる唯一の存在だけど、別の次元に気持ちをシェアできるスパイダーマンがいるって分かってるからこそ孤独感が際立つ、分かち合える誰かの存在を諦められないっていう前半の導入が印象的でした。
でも誰にも本当の意味で自分のことを分かってもらえないことって誰でも抱える問題で、スパイダーマンとしての孤独には共鳴できなくても個人が抱える孤独として共鳴できる。
家族の物語っていうのもすごく感じました。
家族のことを愛している、愛しているはずだ、愛されているはずだ、愛したい、愛を確かめたい、でも後ろめたいことがある、とか。
で、そういう人間関係や感情の描写×マルチバースの世界観×最高のアート、やっぱり最高のエンタメ!
もうキャラデザとかビジュアルが好きすぎて……アクスタとクリアファイル買っちゃったよこれ超かわいくない? 私グウェンのキャラデザがめちゃくちゃ好きなんだ…。
私スパイダーマンはこのシリーズしか知らないんだけどさすがに本流?のシリーズ見た方がいいかな……と……思っているところです。来年の続編までに見れたらいいですね。
展覧会:アーティゾン美術館「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」
正式には「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォービズム、キュビスムから現代へ」という副題まで。
アーティゾン美術館自体にも初めて行きました。
たまたま近くで用事があって、たまたま辿り着いたので、寄ってみたら、建物自体も現代的でスタイリッシュで好きな感じでしたし、あと思ったよりもずっと内容が充実してました。予想してた3倍くらいあった。笑
セクションが11くらいあったのかな。セクションって大体3~5、多くて7くらいの展覧会が多くないですか?
抽象美術は特にちゃんと知識がなくて、印象主義とかキュビスムが、写実的な美術から、私達って実際そんなカメラみたいに精巧には物事を認識してなくない? っていう流れから来てる……みたいなざっくりとした理解はあったんですが、それくらい……。
ちなみになぜそれくらいの理解はあったかというと、大学が英文学専攻だったので、英文学にも文学史的なものがあり、モダニズムとかと合わせて先生が触れてくれたからちょっとだけ学んだという経緯です。
でもねー、抽象的になるほど、絵の上には特にモチーフがなくなるわけで、「この色遣いが好き!」「この色と形の組み合わせが好き!」とか、頭使わずにこの絵、雰囲気が好きかも! で楽しめたのでめちゃくちゃ楽しかったです。
好きだなあと思った作家さんも新しく見つけてハッピーです!
このあたりの方々かしら。
ピックアップ アーティスト:tacica
今月はさ、ほかのnoteも読んでくださってる方だともう分かってるよって感じだと思うんですが、私は1ヶ月間まるまる休職していた&7月末まで休職が延長した月でした。
そんでね、私は元気がないときに聴きたい音楽って、2種類あるんですが、まず1つが、アップテンポだったり力強かったりする、元気づけてくれる、背中を押してくれるような曲。それから2つ目は、元気にならなくてもいい、ただ人生にはそういうこともあると寂しさや悲しみの隣に座っているような曲。
凹んでるときとか休養が必要なときって、1種類目は逆にしんどくなっちゃうというか、いや、今振り絞るエネルギーもないんだ……ってなっちゃうときがあるので、2種類目の曲たちが必要なんです。休みが必要であること、凹んでいる状態も肯定してくれるというか、肯定さえしないというか、もはやそれがつらいと歌っているような感じでもいいです。
もちろんその間みたいなアーティストや曲、両方を持っているアーティストもたくさん存在しますが。
――と、いう長い前置きありきで、私にとって2種類目の曲を提供してくれるアーティストが、tacicaというバンドなんです、という話です。
特に「ナニユエ」という最新曲がね、「何故に生きているんだろう 何故に生きていくんだろう」「何故に生きていたいだろう」という問いを歌ってしまっていて、しかもこの問いで終わるような曲で、なんか泣きそうになるんですよね。
もちろんこの問いが響くのは前提となる歌詞があるからなわけですが。
「やらないでいられない事し続けよう」の部分は、2番では「憧れで終われない事し続けよう」に変わります。
ただ生きているだけでそういう欲求を持ってしまう、それを遂行しようと歌う、でも「盛大なフィナーレ(2番では『自分のフィナーレ』)はどうせ観られない」からなんで生きているんだろう、生きていくんだろうって思っちゃう。
こういう曲に救われてしまうんですよね……。
なんかね、理由が分からなくても、それでも、生きていることや生きていくことは前提なんですよね。どこかやるせなさや途方に暮れている感じもあるのに希望が見えるのは、その前提があるからかもしれない。
あとtacicaの曲だと、まあ高校生の頃から聴いてるから好きな曲や改めて聴いて良さに気付く曲もいっぱいあるんですけど、最近だと「stars」と「不死身のうた」が刺さりました。不死身のうたとか、ただシャッフルで流れてきて、ずっと聴いてる曲だから(2011年、、、)なんとなく歌ってたんですけど、歌ってたら泣けてきちゃった。。。
「そんな僕を全うしたいから 逃げ出した風景画」のところで喉がぐっと詰まっちゃった。なんででしょうね。
この曲もね、サビは「好き 嫌いのもっと向こう/どこまでも付いて行くつもりだったけど/そこまでは行けなかった歌」で終わっていて、「どこまでもいきたかった歌」で終わるんですよ。だから希望と、それができないことが一緒に歌われてて、できないことを歌ってるのに、どうしてか優しく響くんですよね。
これはほか2曲と合わせた3曲のMVをまとめた動画があるのでぜひ見てみてほしいです。
「stars」とか、あと「煌々」っていう曲は、同じような理由で好きなんですけど、この曲たちはすごく、生きている世界の希望的な側面に眼差しを向けようとしている歌たちで、好きです。
やっぱりというか、後ろ向きというか、人生のままならなさことを歌っている箇所もあるんですよ。
気付いたんですが両方とも、何ならナニユエも不死身のうたも、引用した箇所全部冒頭歌い出しですね。。。
そしてそこから、光の方へ向かっていく。
なんか冒頭で、
元気にならなくてもいい、ただ人生にはそういうこともあると寂しさや悲しみの隣に座っているような曲
休みが必要であること、凹んでいる状態も肯定してくれるというか、肯定さえしないというか、もはやそれがつらいと歌っているような感じでもいい
……と書いたんですけど、なんかそれだけじゃなくて、でも希望はあるんですね。寂しさや悲しみが隣にいても、希望を求めてしまうし希望を見つけてしまう(だから届かないとき悲しいんだけど)、とそういう歌い方をしてるんだなということを歌詞を見返しながら気付きました。喜怒哀楽ぜんぶが光なんだもの。哀も光になっちゃうんだ。
そしてこれは私が好きな物語の構成ですね……なるほどtacicaが好きなわけですよ……。
まああと声がね! 何より! 大前提ですが! あの低くて深い声は本当に優しい。耳馴染みがいいというか、低音って頭じゃなくて心臓に響く感じがする。これは個人的な感覚ですが。
やばい1万字超えました。
語るのとても楽しかったですが、語りたいこと語れた感あるのでここら辺にしておこうと思います。今月のピックアップアーティストのコーナー、今後もやっていきたいと思います。
*
そういう感じで、コンテンツ版の月報は初めてでしたが分けて正解だねという文字数で終わります。
好きな作品、気になる作品をピックアップして読んでくださった方も、全体通して読んでくださった方も(後者の方にしかこれは届かなさそうだけど)、読んでくださったあなたに感謝です!
ではでは。今月も色々楽しんでいこうと思います~
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