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人生に目的がある高齢者の歩行スピード
皆さんの歩くときのスピードは,どれくらいでしょうか。混雑している街の中を歩くとき,駅の中を歩くときに,周囲の人たちよりも速いスピードで歩く方でしょうか,それとも追い抜かされる方でしょうか。
歩行速度
特に高齢になると,歩行速度は健康の重要な指標だと言われています。
◎歩行速度が遅さは,心血管疾患や心血管に関連する問題のリスクに関連
◎歩行速度の遅さは,長期的な機能上の制限の発生リスクに関連
◎歩行速度の遅さは,転倒リスクの増加に関連
◎歩行速度の遅さは,エピソード記憶の悪化に関連
◎歩行速度の遅さは,認知症発症リスクの増加に関連
◎歩行速度の遅さは,長期的介護リスクの増加に関連
◎歩行速度の遅さは,早期死亡のリスク増大に関連
歩く速度が速いか遅いかは,高齢者にとって多くの問題に関連する「マーカー」として機能することが分かります。
歩行速度に影響する要因
さて,これら多くの問題が,歩行速度の前に生じるのか,後に生じるのかも問題です。
もちろん,身体的な病気があれば歩行速度は低下します。進退に問題があれば,次第にどんどん歩行速度の低下が観察されることでしょう。また,身体活動の増加は,歩行速度を改善していくはずです。
心理要因
心理的要因も,歩行速度の変化に影響している可能性があります。たとえば,パーソナリティ特性に関して言えば,神経症傾向が高く,外向性・開放性・勤勉性が低い高齢者は歩行速度が遅い傾向にあることがこれまでに報告されています。
また,自分自身が実年齢に比べて何歳くらいかという認識を意味する主観的年齢が若いほど歩行速度は速く,時間の経過による歩行速度の低下が生じにくいという報告もあるようです。
加えて,広い意味でのウェルビーイングが高い人は,長期的に歩行速度を維持し,身体機能の低下が遅い稽古言うにあるという報告もなされているようです。
生きがい
心理的なウェルビーイングには多くの要素があります。人生全体,生活全体について,目的を持っていると感じたり,生きがいを感じたりする程度も,そのひとつです。
というわけで今回は,生きがいの意識と歩行スピードとの関連を,大規模な複数のデータセットで検討している研究を見ていきましょう。こちらの論文です(Purpose in life and slow walking speed: cross-sectional and longitudinal associations)。
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