いろいろとポジティブな活動をすると幸福感が高まるのか
幸福であることには,どのような「良いこと」が見込まれるのでしょうか。これまでの研究によれば……
◎寿命が長くなること
◎自殺の長期的なリスクの低下
◎収入が多くなること
◎充実した結婚生活を送ること
などなど,非常に多くの「よいこと」をもたらすとされています。世界中で多くの人々が「幸福」であろうとしており,研究の中でも何をすれば幸福が高まるのかが盛んに検討されています。
幸福を高める要因
では実際,何が幸福を高める要因なのでしょうか。こちらも,多くの研究で検討されています。
◎親切な行為を行うこと
◎感謝を表すこと
◎楽観的な将来を想像すること
などなど,こちらも多くのポジティブそうな活動が,幸福を高めることに影響をおよぼすと考えられています。
ところが,これらの多くの活動は確かに幸福に影響をおよぼすのですが,その影響は短期的で,すぐにもとに戻ってしまう可能性も指摘されています。
持続的に幸福を高めるには,どうすればよいのでしょうか。
一時的適応
幸福にはいくつかの要素があります。よく取り上げられるのは,ヘドニックな側面とエウダイモニックな側面です。
◎ヘドニックな側面:快楽を中心とする幸福
◎エウダイモニックな側面:良く生きること(well-being)を中心とする幸福
ポジティブな経験をするというのは,どちらかというとヘドニックな側面を高めます。それは,経験が終わればベースラインに戻りやすいものであり,ポジティブな出来事を経験してオネガティブナ出来事を経験してもそれは同じです。たとえ悲しい経験をしても,しばらくすればもとの生活に戻っているものです。これは,ポジティブな経験をしても同じだということですね。
では,どうすればよいのでしょうか。ひとつの考え方は,多様なポジティブな活動を経験することです。いろいろなポジティブな経験を積み重ねていけば,ひとつのことだけを追求するよりも,安定した幸福につながりやすいのかもしれません。
このような観点から,実際に幸福感におよぼす影響を検討した研究があります。こちらの論文を見ていきましょう(Is variety the spice of happiness? More variety is associated with lower efficacy of positive activity interventions in a sample of over 200,000 happiness seekers)。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?