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日々是好日・心理学ノート

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2021年7月の記事一覧

2021年7月のまとめ

このnoteを書き始めたのが2018年7月でしたので,書き始めて丸3年がすぎたことになります。 そして今月,書き始めて1111日がすぎました。『投稿1111日記念に継続させるコツについて』という記事も書いています。 今月読まれた記事では毎月恒例,今月投稿してよく読まれた記事を紹介していきたいと思います。 第5位第5位は『あおり運転をしてしまいそうなときには』です。日本語ではあおり運転ですが,運転をしているときに怒りがこみ上げてきてしまうことを英語で「road rage」

パーソナリティ障害はどれくらい遺伝するもの?

ある心理特性がどれくらい遺伝の影響を受けるのか,また環境の影響を受けるのかという研究は,ふたごを対象とした研究や養子の研究で検討されてきました。 そして,おおよそどんなパーソナリティ特性であっても,おしなべて考えるとその個人差に対する遺伝の影響力は0.4から0.5くらいとされることが多いと言えます。もちろん,このあたりの数値は研究によっても幅があって,パーソナリティ特性の種類によっても変わってきます。0.3くらいと報告されることもあれば,0.7くらいだと報告されることもあり

家の中が混乱していると子どもたちに何が起きるのか

自分自身が育った家の中を想像して,次の質問に答えてみてください。「まったく当てはまらない」は1点,「どちらでもない」は3点,「とても良く当てはまる」は5点の5点満点で得点をつけてみてください。 何点くらいの得点がついたでしょうか? カオス状態これらの質問項目は,実際に研究で使われているものそのものではなく,一部を意訳して,得点がつけやすいように逆転項目も逆転させない方向に修正したものです。 質問項目を見ると分かると思うのですが,これらの質問項目が何を測定しようとしている

ナルシシズムの捉え方

今回はよく授業の中で質問も出てくるような問題について,簡単にまとめておこうという内容です。ナルシスティックなパーソナリティを題材に,その捉え方を簡単にまとめておきます。 ナルシシズム(自己愛)的なパーソナリティについての研究は,1980年代から盛んに行われてきました。 カテゴリか連続かナルシシズムというとナルシストを思い浮かべる人がいると思います。しかし,世の中に「ナルシスト」と「そうではない人」だけがいるというわけではありません。 ナルシシズムというのはパーソナリティ

ヒヒの大胆さを測定する難しさ

21世紀に入ってから,動物のパーソナリティの研究が行われるようになっています。「動物の名前+personality」で検索すると,それぞれの動物の種類でパーソナリティが研究されていることがわかります。「動物でもパーソナリティというのか?」と疑問に思うかもしれませんが,論文のタイトルから「パーソナリティ」という言葉が使われているのですよね。 これまでに紹介した研究これまでにも,動物のパーソナリティの研究を紹介してきました。たとえばオランウータンの研究です。 イルカのパーソナ

知能にまつわる35の神話

知能については,あれこれ言われることがたくさんあります。今回は,35項目にのぼる知能にまつわる神話や誤解をまとめた論文について見てみましょう。 果たして,どんな内容が出てくるでしょうか。皆さんも一つ一つの項目について考えながら確認してみてください。 議論の余地ただし,論文を読んでいて私自身も納得できないポイントもありました。論文で扱われている項目はある本からとっているのですが,その本の内容も全面的に肯定できる,というわけでもなさそうです。この問題は未だになかなか難しいとこ

ユーモアスタイルと政治態度

近年,ユーモアスタイルに関する研究が(特に海外では)数多く行われています。一口にユーモアといっても,いくつかのパターンに分かれます。 もちろん,ある人がある特定のユーモアしか使用しないというわけではありません。複数のユーモアを使い分けますので,これらは「タイプ」というよりは「傾向」だと捉えるのが良いでしょうね。 2次元マトリックスまたこれらのユーモアは,2つの軸で捉えることもできます。 ひとつは自分か他者かという軸です。ユーモアの目的が自分を高めようとするものであるのか

遺伝と環境の両方なんてあたりまえじゃないか

この記事のタイトルなのですが,授業をしていても本当に「そんなのあたりまえじゃないか」という反応がよく出てくるのですよね。 でも,そんなに簡単ではないし「あたりまえ」と思っていながらも何だか釈然としなかったり,「でも結局どっちなの」とつい思ったりするのが,よくあるパターンです。 というわけで,今回はこの話について少し考えてみましょう。 なぜヒトは学ぶのか安藤先生の著書『なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える』の中にも,次のような一節が書かれています。 「遺伝と環境の

罪悪感と後悔をわけるポイント

見出し画像がケーキになっていますよね。ダイエットをしているときに,ついケーキを食べてしまう……すると「罪悪感だよね!」という言い方をすることがあります。でも,やってしまったことについては「後悔する」という言い回しもあります。 自分で決めたルールを自分で破ってしまったことに対して「罪悪感」と言うのはちょっと本来の意味とは違うように思うのですが,こういう感覚は微妙なもので,深く調べてみると面白いことがありそうです。 夏休みの自由研究に是非どうぞ。 自己意識的感情後悔とか罪悪

投稿1111日記念に継続させるコツについて

昨日,noteを毎日更新し続けてから1111日目を迎えました。これが記念のスクリーンショットです。 ちなみに,ここから次の1111日目を迎えるのは2024年8月になるようです。2222日目ということですね。 継続させること今回はこれまで書いた記事の中から,ものごとを継続させることに関連するポイントをピックアップしてみようと思います。 まずヒントになりそうなのは,新年の抱負について書いた記事です。年が変わったり大きな出来事があると,「これからやってみよう」と決意を新たにす

抑うつの治療に伴って自尊感情は変化するか

抑うつ傾向と自尊感情との関連を考えてみれば,両者の間にマイナスの関連が生じるのは当然だと思うのではないでしょうか。自尊感情は自分自身を評価の対象としたときに,どれくらい自分を肯定することができるかを表す心理特性です。ということは,抑うつ傾向との間にマイナスの関連があるはずです。 ただし,何をもって「マイナスの関連だ」と言うのかも,なかなか複雑な事情がそこにはありそうです。 たとえば,質問紙への評定というのは,自分をどれくらい正しく把握するかという問題に密接に関連しています

研究を進めるときの235種類の歪み

科学的な研究というものは「客観的」で「正しいもの」だという印象をもつのではないでしょうか。しかし,実際に研究をおこなっていくときには,さまざまな問題が生じてきます。 最近『生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場』という本を読みました。新型コロナウイルス感染症のワクチンは非常に速いペースで開発されましたが,薬の開発現場で起きる様々な問題について書かれている本です。内容はとても面白いので,それはまた別の記事で。 今回は,この本の中に取り上げられていた論文についての紹介です。

プロ野球で成功する性格はあるのか

プロ野球に性格?見出しのようなタイトルで記事を書いているわけですが,そんな性格というのは見いだすことができたりするのでしょうか? クロニンジャー(Cloninger)のパーソナリティ理論にもとづく性格検査を使って,プロ野球選手のパフォーマンスを検討した研究を見つけましたので,今回はその論文について紹介してみたいと思います。 クロニンジャー理論クロニンジャーは,性格(Character)と気質(Temperament)という枠組みでパーソナリティを捉えています。気質は遺伝の

定額払い

今回紹介する本は『サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル』です。 このnoteの記事についても,マガジン購読していただいている方がいらっしゃいますが,それもまさにこのサブスクリプションにあたります。 サブスクリプションへの移行ブログでも動画配信サイトでも,「広告収入」で収益を上げるというのが基本でした。しかし,どうしても広告収入は社会の変動を大きく受けることにもなります。不景気になれば広告収入は一気に減少しますし,ネット上では広告というのは