ユーモアスタイルと政治態度

近年，ユーモアスタイルに関する研究が（特に海外では）数多く行われています。一口にユーモアといっても，いくつかのパターンに分かれます。

◎親和的ユーモア......他の人との関係性を良くするユーモア
◎自己高揚的ユーモア......ストレスフルな出来事に遭遇してもユーモアで自分を持ち上げるようなスタイル
◎攻撃的ユーモア……他者をからかったりあざ笑うユーモアのスタイル
◎自虐的ユーモア……自分を過剰に低めて他の人に受け入れてもらおうとするユーモアのスタイル

もちろん，ある人がある特定のユーモアしか使用しないというわけではありません。複数のユーモアを使い分けますので，これらは「タイプ」というよりは「傾向」だと捉えるのが良いでしょうね。

2次元マトリックス

またこれらのユーモアは，2つの軸で捉えることもできます。

ひとつは自分か他者かという軸です。ユーモアの目的が自分を高めようとするものであるのか，他者との関係を育もうとするものであるのかです。じぶんを

もうひとつはポジティブさの軸です。ユーモアがポジティブで善意に満ちたものであるのか，ネガティブで悪意に満ちたものであるのかという次元です。

これらを組み合わせると，次のようになります。

◎親和的ユーモア......他者との関係性を育もうとするポジティブなユーモア
◎自己高揚的ユーモア......自分を高めようとするポジティブなユーモア
◎攻撃的ユーモア……他者との関係性に向けられるネガティブなユーモア（結果的にウケれば関係性が良くなるかもしれない）
◎自虐的ユーモア……自分に向けられるネガティブなユーモア（結果的にうまく行けば自分の評価が高まるかもしれない）

これらは，いい面も悪い面もあるといえます。攻撃的ユーモアは，標的となっている相手には不快感を抱かれますが，周囲の人は面白いと思うかもしれません。それには，その場の雰囲気や関係性が関係してきます。

ユーモアと政治

ユーモアと政治って，意外と密接に結びついているのです。政治家が自分のパーティでスピーチをして，聴衆を笑わせることはよくありますよね。そしてそこで失言してしまうことも……。そこでウケる話をしていて，失言だととられてしまうということは，特定のユーモアのパターンがあるといえるのではないでしょうか。

というわけで，政治的な態度とユーモアとの関連について検討した研究がありますので，こちらの論文を見てみましょう（The politics of being funny: Humor styles, trait humorousness, and political orientations）。

The politics of being funny: Humor styles, trait humorousness, and political orientations