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この音楽に出会えた喜び。

Saigenjiさんの音楽に出会ったのは、一昨年の春。
娘の乳離れに大苦戦して、寝不足とストレスでボロボロだったある日の午後。
ランダム再生のamazonミュージックで不意に彼の音楽に触れた。
誰かに呼び止められた時のようにスピーカーの方を振り向いて凝視したのを今でも覚えている。そのあとは、ただひたすら自然な涙、涙、涙。
音に慰められるとはこういうことか、歌詞に救われるとはこういうことか、一体この人は誰なんだ、とそこに表示された音楽を端から聴きあさり、アーティスト情報を検索すると、プロフィールと共に近所のブラジルレストランで行われるライブ情報に釘付けになった。子連れOK。奇跡としか言いようがない。もう行くしかない。痛むばかりだった胸が高鳴った。

爽やかな5月の夕方スタートの屋外ライブ。
なぜかチケットとセット販売だった温泉券を使い、家族3人いい茹で上がり加減で会場へ。1歳の娘がいつ寝てしまってもいいように万全の対策を施して参加した。

しかし、娘は寝ない。

寝ないどころか、温泉上がりの肌着姿で最前列に躍り出てSaigenjiさんの目の前で踊り始めた。迷惑でなかろうかと一瞬ヒヤリとしたが、会場のあたたかい雰囲気と、Saigenjiさんのウエルカムな眼差しを受けて、私も夫も手拍子を送り続けた。
娘のダンスは止まらない。時に恍惚とした表情で夜空を仰ぐ。

連日の苦労が一気に労われた。
家族3人がちゃんと笑顔だった。
娘はこの日、おっぱいを忘れ、「おんがく」という言葉を覚えた。

私は音楽のジャンルとか、専門的なことはわからない。
でも、彼が目の前で紡ぎ出す音の艶と、真っ直ぐなエネルギーと、言葉の美しさを目の当たりにして、素晴らしいアーティストに出会えた感動を噛み締めた。
アートの力を思い知った。

その翌月、私はアトリエはなこの開業届を出した。
子育てに追われようと何しようと、1日数分でも創作してお客さまと繋がるくらしがしたいという気持ちがふくらんだ。
Saigenjiさんの姿に間違いなくモチベートされた。

それから、彼の音楽はずっと、私のくらしや創作活動をそっと支えてくれている。

採れたての野菜や果物、丁寧に炊いた玄米を噛みしめるときのような、健やかな喜びが彼の音楽の中にある。
カフェインでドーピングするよりも健全な覚醒が、そこにはある。

そんなSaigenjiさんが新しいアルバムCompassをリリースした。

ライブでご本人に直接お会いしてしまってからSaigenjiさんの音楽について文章を書くのは恐縮すぎてずっと躊躇って来たけれど、新しいアルバムを手にしたらどうしても書きたくなってしまい投稿(汗)。

リリース、本当におめでとうございます。
たくさんの方のお耳に届きますように。
2月2日、FMやまとWeekend Navigationでも楽曲紹介させて頂きたいと思います。

花村湖子

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