お空の交換
夫は出張で1週間くらいぽっかり家を空けることが多い。
調べないとイマイチどこにあるのかわからないようなカタカナの地ヘ行く。
海とお空と時間を超えて。
でも、最近はLINEもできるし、テレビ電話も無料でできてしまうし、あまり「遠くへ行っちゃった」感はない。
トレーシングペーパーみたいなスケスケの便箋にびっしり文字をしたためたあの時代や、要点を箇条書きにしてめっちゃ緊張しながら国際電話のダイヤル(!)を回したあの時代のような、圧倒的な遠距離感はないのだ。
それでも、同じあたたかいスープを食べるわけに行かない事実を何かで埋めようとする。
今日の空だよ
こっちはこんなだよ
行き交うのは空の色。月の形。日の入りの橙。雲の形。
なんとなく、お互いが同じ星の上に居ることを感じることができる。
海の砂よりもまだちいさい、塵のようなふたりが、自分のお空を切り抜いて交換する。
神様は何を思って私達を作ったんだろうね?
どうしてお月さまをお空に吊るしてみようと思ったんだろうね?
地球ってどうしてこんなに不自由でロマンチックなんだろうね?
オットが居ない間の自分の独り言がわりと好きである。
私の日の入りは、彼の朝日になるんだなあ。
来週一緒に食べるあたたかいスープについてぼんやり考えながら、
今日の日はおやすみなさい。
∞花湖∞
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