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アベラール

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12世紀の神学者・哲学者・修道者のアベラールについて
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2023年12月の記事一覧

中世キリスト教修道生活の核心その7 すべてを捨てる・自己放棄3/3(フーコー) ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その7 すべてを捨てる・自己放棄3/3(フーコー) ChatGPTでアベラールとエロイーズ

前回からの続き

フーコーによる自己放棄の説明

 戒律・規約はアベラールが言うとおり、自己放棄は上長に完全服従し、「他人の支配下に自己を委ねる」ということであった。このことからアベラールはごく標準的なことを書いていたと結論できる。フーコーも同様な指摘を「性の歴史 4巻 肉の告白」(新潮社、慎改康之訳)第1章4節「技法中の技法」において展開しているが論旨の展開順が異なるので見てみよう。
 まず、p

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中世キリスト教修道生活の核心その6 すべてを捨てる・自己放棄2/3(修道院会則・戒律) ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その6 すべてを捨てる・自己放棄2/3(修道院会則・戒律) ChatGPTでアベラールとエロイーズ


前回の続きである

戒律における無所有・清貧無所有・清貧についてルカ伝14の33の系譜を辿る:
戒律そのものについては以前まとめておきましたので下記を参照ください

ディダケー(12使徒の教え)

(1世紀後半から2世紀前半 シリアで成立、中世思想原典集成1巻)によると、第13章に「金銭や衣服、すべての財産の初物を、あなたがよいと思う仕方でとって、掟に従って捧げなさい。」とある。

ポンティコス

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中世キリスト教修道生活の核心その5 すべてを捨てる・自己放棄1 ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その5 すべてを捨てる・自己放棄1 ChatGPTでアベラールとエロイーズ

今回は「すべてを捨てる sine proprietate vivatur=omnibus renuntiare」

自己の放棄の復習

アベラールとエロイーズにおいて「自己放棄」はどのような意味合いか、まずは第8書簡の3つの核心の提示から復習:

所有物を持たず、すべてを捨てる。
引用元のルカ伝14:33

修道院のメンバーになるには全てを捨てることが用件になっていたようである。ではすべてを捨てる

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中世キリスト教修道生活の核心その4 禁欲2 ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その4 禁欲2 ChatGPTでアベラールとエロイーズ

禁欲1の続きです:

アベラールの文書の次は節制・禁欲について修道院文書で確認しよう。

修道院規則に現れる貞節・禁欲について

 アベラールはルカ伝12の35(腰に帯)の引用に続けて「貞節というのは、使徒が熱心に説いて、「婚姻せぬ女と童貞女とは、身も霊も聖くならん為に主のことを慮るなり」(コリント前書7の34)と言っているその純潔である。・・・」と述べており腰に帯というのは聖書からは全く読み取れ

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中世キリスト教修道生活の核心その3 禁欲1 ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その3 禁欲1 ChatGPTでアベラールとエロイーズ

前回は序論 ー禁欲・自己放棄・沈黙ーの列記でした。

 上記で禁欲・自己放棄・沈黙についてアベラールの冒頭を確認しました。今回から本論です。
アベラールが掲げる修道の核心である3点の禁欲・放棄・沈黙について評定すべき修道院規則の確認、そして今回はそのうち一つ目の禁欲(Continentia 節制・禁欲)について検討しよう。

アベラールの主張を確認 

前回、節制・禁欲はルカ伝12の35の腰に帯を

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中世キリスト教修道生活の核心その2 序論 2ー禁欲・自己放棄・沈黙ー ChatGPTでアベラールとエロイーズ

中世キリスト教修道生活の核心その2 序論 2ー禁欲・自己放棄・沈黙ー ChatGPTでアベラールとエロイーズ

前回からの続きです:

ルカ伝14の33:無所有=すべてを捨てる

31,32ときて33になる話の流れが見えないが、下記のようにキーワードは順番が違うが出てくる。この差がなんなのか私にはわからないがChatGPTでは差がない。
renuntiat omnibus(聖書)→omnibus renuntiare(アベラール)
格が読めれば問題ない倒置なのかも。
 このように無所有は本当に全て自分の財産

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