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【次代のSalesforceはこの市場から生まれる】カスタマーサクセス×SaaSのニューノーマル

こんにちは、木村です。少し前に、投資家の方をお招きし、イベントを開催しました。100名近くの方に申し込みいただいたレポートを少し時間が経ってしまいましたが、作成しました。

現在、スタートアップの資金調達の市場環境、特にSaaS関連の事業評価は厳しい状況におかれています。そのような中、Asobicaは27.2億円の大型資金調達を達成しました。投資家の方々がAsobicaの何に魅力を感じて投資をしてくださったのか。FastGrow様のイベントでその裏側を語っていただきました。


登壇者紹介

千葉道場ファンド プリンシパル廣田 航輝 氏
Salesforce Ventures プリンシパル細村拓也 氏
株式会社 Asobica 代表取締役今田 孝哉 

創業秘話・大型調達と成長の裏側にあった苦悩

ー創業時にカスタマーサクセス領域に課題を感じた経緯はどのようなものだったのですか?
今田:まずAsobicaのミッションを作っていき、それを事業に落とし込んでいった感じでした。
参考にした書籍は「ビジョナリーカンパニー」です。

「自分の情熱が注げる分野」「世の中に価値がある分野」「世界一になれる分野」という3つが重なる分野を軸に考えて、今後大きくなる領域を考えていきましたね。

はじめは、「コミュニティ✖️ブロックチェーン」に着目し、今のカスタマーサクセスとは別の事業を始めました。ただ、その事業をやっていくうちに、どうせやるなら規模を大きくしたいと思うようになりまして。「ARR100億を最低限達成できて1000億を狙えるか」を軸に考えた時に、その事業では達成できる確信が持てず、ピボットに踏み切りました。

ーピボットの際にSaaSにいこうと思ったきっかけはなんだったんでしょうか?

今田:創業時、前身のFeverというサービスと、現在のcoorumの二つのサービスの構想がありました。自分の得意領域はcoorumだったんですけど、当時ブロックチェーンが盛り上がっていたのでチャレンジした、という形だったんです。その後に、もう片方のcoorumの方に戻したという感じですね。

ー今田さんと廣田さんはどのように出会ったのですか?

今田:
廣田さんとは実は新卒前から、友人を介して出会っていました。
廣田:2017年に出会ったんですが、とにかく行動力がすごかったイメージしかないです(笑)ある意味、お互いに少し生意気でいろんな人に会っていた時期。
そして私が前職を退職したタイミングで、今田さんに投資を申し出たんです。2人で一緒にチャレンジできるんじゃないかと思いまして。

今田:廣田さんとは何か一緒にやりたいなと思っていました。実はAsobicaにジョインしてくれないかとタイミングを見計らっていたくらいで(笑)

ー細村さんが投資したいと思ったきっかけはなんだったんでしょうか?

細村:私が楽天で働いていた時期にお会いしました。その後に何年かを経て、ICCサミット京都で今田さんが登壇されていて、その時の素晴らしいプレゼンを見てすぐに連絡させていただきました。
Asobicaに投資したいと思った点は3つです。

1つ目は、ファーストパーティーデータを取得できる点です。他のCSプラットフォームとアプローチが異なり、そのユニーク性を強く感じました。
2つ目は、データを活用してタイムラインでお客様がアクションした結果を見ることができるダッシュボードがある点。
3つ目は、とにかく成長が半端なかったんですよね。BtoBの企業がお客様であることがほとんどなのですが、BtoCの企業にも採用が広がっていました。


カスタマーサクセス×SaaSの市場の魅力

ー世界的に見てもカスタマーサクセスの市場は注目度が高まっていますか?

細村:前提としてサブスクリプションやSaaSは継続的に利用してもらって対価をいただくので、お客様が成功してもらう必要がありますよね。カスタマーサクセスはマーケティング、プロダクトなど全社的に関わるHubのような組織です。だからこそ、カスタマーサクセスはとても重要で、投資をしないといけないという市況であると感じています。

今田:SNSの浸透も大きいですね。今までの企業の意思決定は、広告やマーケティングなどが起点になっていたのですが、今では個人のツイッターなどをもとにして意思決定した方が精度が高い。そうなると、顧客の満足度を上げていかないといけないのですが、そのためには顧客体験をよくしないといけない。経営の物差しやマーケティングなどの販売数ではなく、顧客満足度というCS部分に変わってきていると思っています。

ーカスタマーサクセスというとSaaSやサブスクリプションというイメージですが、Asobicaのお客様には飲料メーカーなども多い印象を持っております。その背景を教えてください。

今田:これまで多くの企業は「新規顧客を獲得する」ことで事業を伸ばしてきたのですが、人口減少が進む中で新規顧客は増やしにくくなりました。そうなると1人のエンドユーザーに商品を1つではなく、2つ3つ買ってもらうことが重要になってきます。新規獲得の予算を顧客体験に回していこうという流れがきているんです。それを背景に、SaaS以外のお客様にもcoorumが使われるようになってきました。

細村:特に不況時にはカスタマーサクセスが重要になってくると思っていて。これからは、カスタマーサクセスがアップセル、クロスセルを通じた事業成長のドライバーとして位置付けられるのではないかと思います。また、今までSaaS企業が成長性のみを求められていたのが、効率性や収益率をともなった成長が求められるようになる。そうなると、カスタマーサクセスはより重要な機能になってくると考えています。

ーカスタマーサクセスという新しいマーケットを開拓していく段階で難しかったところはなんですか?

今田:カスタマーサクセスに対する理解がないところからだったので、まずはお客様にフォーカスして成果を作ることにこだわりました。2、3つ実績が出てきたところから広がり出しましたね。

ーこのマーケットにおける難しさはどのようなものでしょうか?

細村:カスタマーサクセスというとBtoBで新しい潮流のように感じますが、既存顧客に対してサービスをリピートしてもらうことはBtoC企業もやってきています。今までのカスタマーサクセスプラットフォームでは十分なデータ量がなかったりしてうまく運用やサクセス自体ができていませんでした。今後は、お客様のデータを可視化し、どのようにお客様のアクションに繋げていくのか、さらにそのアクションも自動化するなど考えていくことがさらなる成長につながると思います。

今田:おっしゃる通りで、さらに言うとこの業界のプレイヤーもいないので、自分たちが発展させていかないといけないと、という責任感も持っています。

ーAsobicaが目指す顧客の「圧倒的な成果」とはどんなものでしょうか?

今田:お客様の売上です。coorumを活用することでどれだけ売上を上げたのかが成果だと思っています。

細村:SaaS投資家の視点で補足すると、NRR(Net Revenue Retention/売上継続率)も一つの指標だと思っています。NRRと企業価値は相関関係があり、既存のお客様から多く買っていただくと効率的な成長ができ、それに伴って企業価値が上げられるという評価ができます。

ーAsobicaが第2のSalesforceとなれると思う理由を聞かせてください

今田:今後の流れとして、経営のあり方が販売数からリピート率やロイヤル顧客の数を指標にするようになるはずです。また、それがサブスクだけでなくさまざまな領域で必要になってきます。さらにこの流れが10年、20年続くと考えていますので、カスタマーサクセスの市場も成長するし、Asobicaも成長できると思っています。

細村:Salesforceはプリセールスにおいてお客様への営業活動を科学することを祖業に成長してきた会社ですが、ポストセールスにおいてお客様とのコミュニケーションを可視化して成功を支援できる大きなプレイヤーは出てきていないと認識しています。また、米国のある調査だと、CSへの投資が売上の4%から10%へと増加しています。このような流れをみた時に、カスタマーサクセスの領域でお客様のデータを蓄積し、カスタマーサクセスをサポートしていくプレイヤーは今後大きくなっていくのではないかと思っています。

廣田:「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」とありますが、「ホリゾンタルSaaS」といっても業界に偏りがあったりするなど、意外と狙っている領域が小さいSaaSがあるんです。その中で、Asobicaのcoorumは「え?そんなとこに入ってるの?」って言うことが多いんですよね。例えば、ホノルルマラソンの運営事務局とかにも入っていて。実際よくよく考えてみると既存のユーザーコミュニティの中でファンがいる会社は本当に幅広い。その意味でAsobicaのcoorumは本当の「ホリゾンタル」でどんなお客さんにも入っていくような気がしていて。今後、どんなお客さんにAsobicaのcoorumが使われるのかワクワクしています。


Asobicaが目指す今後の展望

ー調達した今の心境はどうでしょうか?

今田:あまり調達前と調達後で心境は変わっていないのが正直なところです(笑)ただ、調達したからこそ、ここからが本番だなと。今後どうしていきたいかの話をするとき、僕は8年くらい行きつけにしている焼き鳥の話をしています。
そこの店主の接客がすごくクオリティが高いんですよね。また行きたいなといつも思うんですが、その接客をデジタル上で再現したいなと思っていて。デジタル上になるとお客様がデータになってしまい、顔が見えないので、想いがこもらずに接客の質が下がってしまう。やりたいことはその焼き鳥屋の店主のような、お客様に寄り添った接客がデジタル上でできること。お客様の顔や肌感がわかるようなUIを作ったりすることをやって行きたいと思っています。

ー今のAsobicaにジョインする魅力やカスタマーサクセスの魅力を教えてください

今田:現在のAsobicaは業務委託合わせて90名程度ですが、まだまだ創業フェーズだと思っています。提供したいプロダクトも。ゼロから作りたいプロダクトもたくさんある。0→1も1→10も両方ありますので、船に乗りたい人ではなく、船を作って一緒に漕ぎたい人にとっては面白いフェーズだと思います。

細村:急成長している会社の一つで、そのような成長を味わえる企業はなかなかないのではないかなと思っています。今後の流れでもあるように、カスタマーサクセスの位置付けが経営の意思決定を司るようになるので、そのような領域で最先端の知識や経験も身につけられることも魅力ではないかなと。

廣田:今田さんの視座の高さも魅力の1つだと思っています。今後はこの調達資金をどのように使っていくかが重要なフェーズになってくる。大きな視座に向かって一緒に進めていけると思える経営者はなかなか出会えない中で、今田さんはそれができる人です。
もう一つ、Asobicaには温かい人が多い。働いている人たちにおいても、ファンがキーワードになっているんだと思います。ガツガツ成長だけにフォーカスしてる訳ではなく、「本当にお客様のためになっているんだっけ?」といった会話が日々交わされており、本当に温かい組織だなと思っています。

ー(今田さんへ)この話を聞いてAsobicaは改めてどんな組織だと思いますか?
今田:おっしゃる通りで温かい人や素直な人が多いですね。採用の方針にも、ミッション、ビジョン、バリューの体現ができるかに絞っています。自分達の業務を「工夫しながら楽しもう」とするメンバーが多いです。社内でタスクフォースを作り、部門横断で参加してもらったり。直近、調達リリースを社内で盛り上げていこうと、広報チームだけでなく、「PRタスクフォース」が積極的に社内を巻き込んだケースもあります。
まさにValueにある、「Asobigokoro」を体現するようなエピソードです。自分達の業務を自分達で楽しいものに変えていこうという姿勢が各メンバーに浸透しているのではと思っています。
組織の課題を自分ごとの様に捉え、アクションしていくことができる方や好きな方はAsobicaのカルチャーにもきっとマッチするのではと考えています。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
最高の顧客体験を提供し続け、壮大なミッションを実現していくために多くの仲間を探しております。

少しでもAsobicaに興味を持っていただきましたら、ぜひ以下のページも覗いてみてください。

イベントにも登壇いただいた細村様を含む、投資家鼎談の記事もご用意しておりますので、ご覧くださいませ。


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