コロナウィルスの中で4倍に成長した、あそびのイベント会社の2年間を会社代表が振り返る
初めまして、赤坂(@asobi_startup)と申します。
楽しいことを仕事に、遊ぶように働く、人を笑顔にする仕事。よく聞く言葉ではありますが、実際にそうであることは少ないし、難しい。ですが本当に今、そういう仕事をしているのかもしれません。私は「あそび」の会社を経営しています。
株式会社IKUSAは「あそびの会社」
私の事業は「あそび」をビジネスサービスとして企業や自治体に提案するいわゆる「イベント屋」、とはいえ一般向けのイベントはほとんどしていません。BtoB専門のイベント会社になります。自社でサービスである、「チャンバラ合戦」や「宝探し」「防災イベント」などを企業や自治体、代理店に提案、実施することがメインとなります。今から遡ること1年と9ヶ月くらい、私たちは2020年度に250件のイベント見込んでいました。そしてコロナウィルス襲来、その結果なんだかんだで会社の業績が4倍になるのですが、ここまで何もまとめて来なかったことを反省し、この約2年を振り返りたいと思います。
イベント業にとってのコロナウィルス
コロナの中で社会に何が起こったのか、多くの方がまだ記憶もあるかと思いますので細かい事象は省きますが、2020年3月よりイベント事業全ての仕事のキャンセルが始まりました。その数はおよそ70件以上、4月には予定も含めると億近い仕事が全てキャンセルされることが決定。イベント業のリードタイムはおよそ3ヶ月から6ヶ月、つまり半年の利益0も確定。2020年のイベント数も最終着地が173件、見込んでいたら250件から80件近くがキャンセルに。弊社にとってはダメージも大きく。今後の見通しも立たない、客観的に見れば、まさにお先真っ暗状態。4月6日には新入社員研修が決まっていました。
状況に合わせ、人・モノ・金、全ての最善手を打つ
とにかく状況に合わせて最善手を打つしかありません。幸いにも弊社には強く逞しいメンバーが多くいました。2020年度、打った手は主に3つです。
人・・ちょうど研修の時が緊急事態宣言2日前でした。この時リアル研修を実施すると決めたことがこの会社の行く末を決めました。この時入った新入社員5名が今、うちの大黒柱です。
モノ・・サービスを全部見直すことにしました。強みはそのままに、リアルから非接触イベントとオンラインイベントの開発に振り切りました。
金・・色々計算して1.5億借りました。ハンコを押す以外この時の自分の仕事はありませんでした。
一言で言えば、引かずに愚直に手を出す、というかやり返してやるぞ、というファイティングポーズをとったということです笑
2020年5月中旬には新サービス「リモ謎」が完成、9月から手応え
社員全員の力で、企業向けオンライン謎解きイベントである「リモ謎」をリリース。8月まではzoomってなんなの?他にもあるの?みたいなイベントチームですら怖い怖い状態でしたが9月くらいになると、みんな自信を持ってサービス運営ができるようになってきました。そしてそのくらいから多くのニーズをいただきはじめ、現在では年間数百件の開催を行っている大ヒットイベントとなりました。
逃げない、社員全員の力が道を作った
一番やってはいけないことは、事業のバイオリズムを止めないこと。周囲のイベント業では休業、もしくは一部社員の休職とするところがほとんどでした。
事業のバイオリズムはうねりのようなもの、全員で作り上げるものです。会社が前に進まないと宣言してしまうなら、なんのためにうちみたいな小さい会社に入ったのかわからなくなります。それは最も避けなければいけないことだと感じました。
そして危機に陥った時の全員のエネルギーは今までにない景色を見せてくれました。仕事がないので役割がない、ルーティンがないことで、これまで6年で4〜5サービスしかなかった弊社に1年で10サービス以上が生まれることにつながりました。特に事業のエースたちが全員ここに集まったことで素晴らしいサービスが短期間で開発されたと思っています。
2020年はV時回復、YOY128%増
最終的にはYOY128%増の結果となりました。成功と言って良いかなと思っています。業務量が9月から激増し、とてつもない需要の波がきて、私の役割は採用になりました。
2021年度はスピード &パワーの時代
2020年4月が受け身の中でどう対応、変化していくかを決定づける月だったとしたら、おそらく次の分岐点は2021年1月だったのではないでしょうか?
この時、周囲の業界からは「もう戻るかな・・」という雰囲気がありました。そんな中でも再度の緊急事態宣言でした。
個人的には世の中のムードが「読めないことが分かった」からには、あとは変化するニーズにいかに素早く対応できるメンバーを育てられるかにかかっていると感じていました。積極採用による戦力アップ、経験値の蓄積と育成、そしてそのスピードが鍵になる年になると思っていました。
スピード&パワー時代の人・モノ・金戦略
そのスピードを維持し伸ばすためには一言で言えば物量しかありません。
人・・需要増に耐えるため、1年間私は採用をメインに行いました。効率を上げる意味でも、応募者に訴求する意味でも自分が一次面接を担当していました。結果とても良かったと思っています。
モノ・・大ヒットした「リモ謎」を横展開するサービス、それ以外の需要を包括するサービス、進化する顧客に対応してのバージョンアップなどを行いました。こちらに関してはメンバーの方がインサイトが深く、合理的だなと思ったら全てにGOを出していました。
金・・人には惜しみなく投資、オンラインイベント用オフィスを3つ契約し、オフィスも増設。合計6つのオフィスになりました。
採用の成功により、メンバーは一気に若返り、新世代の活躍が目に見えて増えています。採用基準はよく言う「素直で、いいやつ」ですが、IKUSAでは顧客志向とやり抜く力を重視しています。その辺はまた別で書かせていただくとして、総論としては、人材に環境が追いつかなくなることが1年近くあり(一言で言えばハードワーク)、これは本当に私の反省点です。また、オンラインイベントなのに、オンラインイベントをやる場所がない、という訳のわからない状況にもなりかけました・・。
現在もYOY100%以上成長、ハイブリッド時代への対応が鍵
結果として、現状も順調な推移となり、コロナ期比較で売上的にも利益的にも4倍以上の成長を果たしています。4月には人員も40名になる予定です。12月は月間イベントギネスを更新。みんな本当にお正月をゆっくりしてもらいたい気持ちです。
今後はコロナが明ける明けないに関わらず、イベントはリアルとオンラインという二極化と言うより使い分け、ハイブリッドな形が増えていくと思います。弊社でも海外からの参加が容易な点や、ファミリーイベントがしやすい点、多拠点からの参加でもコストがかからない点などユーザーも利点をよく理解してきていると感じています。
また、この事態で、変化に強い業態と分かった部分に新規参入することも検討しています。強みが活かせれば答えが出ている市場でも勝つことができます。
総括
この二年間で生き残れた(今のところ)理由をまとめると以下の三つかなと思います。
・既存サービスではなく「顧客の課題解決」にフォーカスした
・多様性のある組織風土
・あそび人たちの強さ
既存サービスではなく「顧客の課題解決」にフォーカスした
これまでとゲームが変わってしまいました。それまでのソリューションにこだわって考えていくと、どうしても今求められているものに合わなくなっていたと思います。即座に自分たちの強みは課題解決と気づいて、あそびで課題を解決する視点でサービス開発ができたのは大きかった。
その視点で見れば、まだ誰もライバルがいない広大なオンラインイベントという市場が現れたわけです。ここであとは顧客のニーズをさらに聞き、改善を進め、それによりさらに多くの仕事で経験を蓄積するという正のループができました。
多様性のある組織風土
弊社では一人が二つ以上の仕事をすることを奨励しています。マーケティングとイベント、セールスとサービス開発などメインとなる仕事を全うできるなら、多くの事業に携わってもらっています。入って半年で新規事業をやってるメンバーは何人もいます。非常事態下では、こういう人材は可動域が広いですし、何より新しいことに強い。セグメントで仕事をしていたらとても対応できなかったと思います。
あそび人たちの強さ
そして1年での採用と育成に限度がある中、ずっといるメンバーが一人も欠けずに支えてくれたことに感謝しかありません。不思議なもので、全くゲームが変わった事態で生まれた「リモ謎」などのサービスでも、圧倒的に習得やレベルアップが早いのが旧来からのメンバーでした。そうしたサービスを向上させ続け、かつ、人と異なり簡単に上下するイベント数を臨機応変に凌ぎきる力。一人一人の顧客に手を抜かない姿勢はこれからの文化を作っていくと思います。
結果としてこの1年半でリピート率は30%を超えました。リアルの時が10%前後だったことを考えるとすごいことです。それが今新世代に受け継がれていくのが楽しみでなりません。
今後のnote予定
上記のようにとても特殊な二年間でした。事業をされている方、好きなことを仕事にすること、人を楽しませることで生きていきたいと思う人に少しでも役立ってもらえると嬉しいです。月一回くらいずつ書いていければと考えていますので、よろしければフォローいただけますと嬉しいです。
赤坂(@asobi_startup)
広報お鶴(@otsuru_pr)
目指すのは「遊びの総合カンパニー」
あと3年以内に企業や自治体の中で「楽しい」何かを求めるならIKUSAと言われるあそびの総合カンパニーを目指したいと思っています。周囲にいるのはそれが実現できるメンバーです。本能に忠実だけどいざと言うときには結束する、海賊みたいな最高の戦友が揃っています笑
世の中には「楽しい」が必要だし、楽しいことで解決できるものもあります。楽しさを科学して、社会課題を解決するプロフェッショナルな「遊び人」たちが集う、そんな会社になるための手を粛々を打っていきたいと思っています。
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