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#11 暇だからアメリカ横断する―キーウエスト、旅の終わりの始まり

終わりに

こんばんは。

今はマイアミ空港のターミナルで飛行機を待ちながら執筆しています。日本だと日本語で何かを書いていると周りが気になるのですが、海外だと空港でも、飛行機内でも執筆が出来るので良いですね。さて、今日は旅の終わりを書いていきましょう。

宿は最低だったけど、キーウエストは最高だった

今日は最終目的地のキーウエストを回りました。

キーウエスト

(スターの場所が今日回ったところです)

朝、この旅で最も値段が高く、最も程度が低かったホステルで寒さに震えながら起きました。共同の空間に二段ベッドが押し込まれており、二段目は気を付けないと頭を天井に打ち付けるような造り。決して広いとも、綺麗とも言えないホステルの共同ドミトリー。ニューオーリンズのホステルとは次元が違いますね。寝るだけなので良いかと思いましたが、共同のエアコンが20度に設定されています。なのに、掛布団がシーツ一枚って……。アメリカ人仕様か。上はパーカーを着ていたのですが、下は短パンだったのが判断ミスでしたね。寒かったです。笑

ただ立地は良かったので、年末年始の値段相応($94)だと思います。一晩$300以上出せる人はちゃんとしたホテルに泊まってもいいでしょう。

それが丁度いい感じに目覚ましになってくれました。
 
眠い目を擦って、頭を打ち付けないように起き、支度をして散歩に出かけました。

・アメリカ最南端Southernmost Point

目指すは歩いて10分もかからない場所にあるSouthernmost Pointです。アメリカ合衆国の最南端を示すマーカー。

陽が高くなると写真を撮る人々が列になっているというポイント。ただの道端にポンっと2mくらいの簡単な樽型のモニュメントがあります。ペンキで「最南端」と書かれています。朝7時台だと人もまばらで列は出来ていませんでした。

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砂漠からここまで来たんだなー、と何だか感慨深かったですね。

さっと写真を撮って、道の反対側からも引きの写真を撮ろうと道路を渡って、振り向いた瞬間、突如、後ろの家の庭から「クックドゥードゥルドゥー!」と大きな鳴き声が聞こえ、びくっとして振り向きました。

すると、そこには立派な野良ニワトリが……。

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やっぱり、ちょっと待ってください

ニワトリの鳴き声はクックドゥードゥルドゥーって聞こえないですよね。どう聞いても「コケコッコー」の方が近い気がします。アメリカ式は視覚的にも声音的にも長いし。これだと、勢いで笑わせる系の芸人が突如庭から出てきたようです。

擬音語に限らず日本語のオノマトペの豊富さは、物事の雰囲気を伝えるのに便利ですよね。「ぬめぬめ」とか「ぬらぬら」とか「もにゅもにゅ」とかが好きです。

ん、話が逸れた。
キーウエストに戻りましょう。

キーウエストではニワトリがそこら中にいます。その後も、いたるところでニワトリの鳴き声が聞こえていました。我が物顔で道路を歩いているので和みます。ヒヨコを連れていたりするともっと和みました。

・なんてことはないスタバ

ニワトリを少し観察した後、元来た道を引き返します。

すると途中に、綺麗な海岸が開けていたので、立ち寄ってみると砂浜のすぐ脇にカフェとスターバックスが併設されているではないですか。

僕はカフェラテグランデを買い、オープンテラスのハイチェアーに座ります。ちょうどヤシの木が赤く燃える朝陽を遮り、陰になっていたので眩しくはありません。
 
打ち寄せる波と、水面に移る朝陽の太い筋。軽く青い空は今日も爽快な風を送り込んでいるようです。朝陽に切り取られてくっきりと黒いシルエットを残すヤシの木と看板代わりの大きなチェアーと、目の前のカフェラテ。

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まだ日が昇っていないので、気温も丁度良く、目の前に広がる素晴らしい風景を眺めながらコーヒーを飲みます。

すみません、プラスアルファでインスタを更新していました。そりゃ、しちゃうよね。こんな景色を見て朝カフェなんてしちゃったら。

それほどに(?!)素晴らしい情景でした。

早起きは三文の徳、と言いますが、その通りですね。

エアコンの設定温度が20度で良かった。
と、過ぎたことも良い事のように変換することが出来ました。

ゆっくりと朝陽が昇るのを眺めながらコーヒーを飲み干し、軽くなった足でホステルに戻ってチェックアウトします。

中心街に近いパーキングに車を停めなおした後、歩いて中心街の観光を始めます。

・ヘミングウェイの家

まずは、ヘミングウェイの家。
お恥ずかしながらヘミングウェイは読んだことがないのですが、物書きとしてお家は見たいと思っていたので、お邪魔しました。

これで創作意欲がマシマシに……!

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とかは特になく、出てきた感想は「猫可愛い」です。
ヘミングウェイの愛した六本指の猫Snowballの子孫たちが館内のいたるところでくつろいでいました。

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広いお庭で寝転がっている子もいれば、屋根の縁で寝転がっている子もいて、噴水の水を飲んでいるかと思えば、テラスの椅子の上で丸まっている。

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ここでヘミングウェイが……。という感動もありましたが、印象に残ったのは猫ですね。猫好きは行ってみて下さい。超癒し空間だと思います。

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ちなみにですが、ヘミングウェイは朝6時から正午まで毎日執筆し、500~700語の筆の速さだったようです。ある翻訳家の料金体系では大体220語~225語で400字と計算するそうで、それだと900~1300字くらいの分量ですね。

決して速筆ではありませんが、歴史に名を残すのに必要なのは筆の速さではないと感じさせられました(ネット小説ではまた別の戦略が必要ですけどね)。

たっぷり猫ハウスを堪能した後は、目抜き通りのデュバルストリートへ。ここでもニワトリが闊歩していて、自由だな、と呟きました。

・ヘミングウェイ行きつけSloppy Joe's Bar

目抜き通り、デュバルストリートを歩くときに至っては、もう汗をかき始めていました。半袖短パンでも感じる暑さ。気持ちが良いですね。日差しを受けていると何故かくしゃみが沢山出ます。……どうしてだろう。

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南から北に向かう途中、1ブロック先に国道1号線の終わりの標識があるので、それをちゃっと写真に収めたあと、ヘミングウェイが通ったというSloppy Joe's Barへ――。

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僕はカウンターに座って早速、Frozen "Local Rum" Rum Runnerを頼みました。ラム、キイチゴのブランデー、バナナリキュール、フルーツの果汁を加えた真っ赤なカクテル。Frozenの名の通り、飲み物というよりシャーベットです。その上には冷凍サクランボが乗っています。

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なんだこれ。
めちゃくちゃ美味しい

お酒とは思えない飲みやすさです。シャーベット状の氷が美味しく、飲み過ぎるあまり二~三回頭がキーンとなりました。一人でなると耐えるしかないので、辛かったです。

大きな木のプロペラが飾られてある濃い茶色の木のカウンターで雰囲気を楽しみながら早々に飲んでしまいました。これは真夏の海の家とかで売り出したら売れるんじゃないかな。そんなことを考えます。僕だったらこれがあれば女の子に奢りまくりますもちろん、下心しかありません。知らぬ間に女の子のガードが甘くなり、手でも繋げれば儲けものですね。それ以上は望みません。

運転まで時間があるとはいえ、もう一杯飲むのは流石に憚られたので、チェックを貰って店を出ました。家の近くにFrozen Rum Runner置いている店が欲しい。そう思えるほど気に入りました。

・快い酸味 Kermit's Key West Key Lime Shoppe

心なしか足取りが軽くなった僕が次に向かうのは、キーライムパイのお店「Kermit's Key West Key Lime Shoppe」。

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このデザートはキーライム、果汁、卵黄、コンデンスミルクをパイクラストに入れて作るお菓子です。僕はアメリカに来るまでキーライムパイの存在すら知りませんでしたが、大抵のステーキハウスは置いてあるので、当初から気にせずに食べていました。

でも、その名の通りこのデザートのオリジナルはフロリダキーズにあります。

キーライムパイのお店はたくさんあり、その中でも味が全然異なるらしいのですが、今回はおススメ頂いたお店に向かいます。旅人ですから。

先ほどのバーから北に向かうとすぐに発見、目と鼻の先にありました。可愛らしい小さな青いお店ではショーケースにパイが並べられています。お年を召した女性の店員さんが笑顔で迎えてくれました。

「こんにちは。試食はいかが?」
買うつもりでしたが、もちろん頂きます。
「あなたはここに観光で来たの? それとも船員さん?」
思わぬ質問に驚きましたが、ついに海の男と思われるようになったかと、内心にやりと笑ったのは内緒です。

一つパイを買って、店の裏側の椅子に座って賞味します。

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程よい大きさのパイは、オーソドックスなパイ生地に薄黄色のフィリングが詰められ、クリームが絞られています。
一口食べると柑橘系のキーライムの淡い酸っぱさが広がり、甘味を残してするりと溶けていきます。おいしい。

いつもステーキを食べてお腹いっぱいになった後に、誰かが頼んだものをつまむ位でしたが、お腹が減った状態で本場のものを食べると美味しいですね。

よく行くステーキハウスのものより小ぶりで、フィリングがとても軽いです。より酸味がふわっと口に広がる気がしました。

ぺろりと食べ終えると、僕は海岸沿いの公園で海を見ながらお昼ご飯のレストランを探し始めます。

もうあとは、お昼を食べて、要塞を見て帰るだけ。

最後のお昼ご飯は食べたかったものを食べよう。そう思って調べます。ご当地の海鮮料理でも、メキシカンでも良かったのですが、僕はまだ典型的な南部料理を食べていない。

ということで、名物であるコンク貝には目もくれず、僕はYelpで見つけた店に足を向けます。

・最後のランチ Firefly Key West

着いたのは「Firefly Key West」というテラスを持つ二階建てのレストラン。落ち着いた良い雰囲気で、お昼時ですが、満席でもなく一人にはもってこい。評価が高いのに、意外でした。ラッキーだったのかもしれません。

そして、僕は「Chicken & Waffles」を頼むのです。
そうです、南部料理の典型。チキンとワッフル。

出てきたのはまさに想像通りの料理。ワッフルの上に大きなフライドキチンが乗っており、たっぷりとハチミツがかかり、白い粉砂糖でデコレーションされていました。

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「これこれ!!」
と思いながら、かぶりつくとこれも想像通りの味でした。

旅の終わりも自分に甘く。
すべてが甘い旅は、甘さとサクサクのチキンで締めました。満足です。


腹ごなし程度に南北戦争時に築かれたという要塞を見学して、近くの海岸をぷらぷら散歩して、僕の全ての目的は達成されました。

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空港までは4時間、そろそろ良い頃です。

僕は路駐した車に乗り込み、マイアミ国際空港レンタカー返却口を目的地に設定し、エンジンを掛けました。

最後に失態 

……それにしても、今日の朝から歩きだしたらくしゃみと鼻水が止まらない。これは、もしや……。

そう。僕は最後の最後で失態を犯してしまったのです。

”猫アレルギー”

僕は涙目になりながら、夏に合う曲をかけて、再び橋の上を走っていきます。

無事、何の問題も無くレンタカーを返却し、空港でチェックインをして飛行機を待ちます。飛行機も遅れるどころか20分早く運航していました。最後の最後まで上手く回った旅でした。くしゃみと鼻水は止まりませんでしたが、猫は可愛かったので、痛み分けです。
 
次に来るときは、ヘミングウェイの家は最後に行こう
そんなことを思った、2020年の三が日でした。



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